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スタディの結果、心筋梗塞に対するステント挿入後には標準的な薬物療法よりもbivalirudinの方が優れていることが示された [2008-10-28] |
Study demonstrates superiority of bivalirudin over standard drug therapy after stenting for myocardial infarction |
Bivalirudinは標準的な抗凝固療法と比較し心筋梗塞に対する血管形成術後の死亡リスクを有意に減少させると、トランスカテーテル心臓血管治療(Transcatheter
Cardiovascular Therapeutics:TCT)学会Late Breaking Clinical Trialsセッションで発表された。前向きHORIZONS
AMI(Harmonizing Outcomes with Revascularization and Stents in Acute Myocardial
Infarction[急性心筋梗塞に対する血行再建術およびステント挿入術の成績の調和])トライアルでは症状出現から12時間以内の有症状のST上昇心筋梗塞患者3,602人を組み入れた。この無作為化多施設試験ではbivalirudinをヘパリンとGP
IIb/IIIa阻害薬の併用療法と比較した。これらの患者のうち3,000人が無作為化に適しており、Taxusパクリタキセル溶出ステントまたはExpressベアメタルステントのいずれかに3:1の割合で割り付けられた。1年後にbivalirudin群の総死亡率および心関連死亡率はコントロール群と比較し相対リスクがそれぞれ、43%(p=0.029)および31%(p=0.005)低かった。研究者らは、持続的な死亡率低下はおそらく出血性イベントの低下(重大な出血はbivalirudin群の5.8%に対しヘパリンで9.2%[p<0.0001]であった)によるものであろうと考えている。1,204人の患者において血管造影の経過観察が可能であり、病変ごとのバイナリー再狭窄率はExpress群よりもTaxus群の方が有意に低かった(10.0%対22.9%;P<.0001)。 |
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術前のベータ遮断薬の使用は死亡および心筋梗塞のリスクを増加させる [2008-10-28] |
Beta-blocker use before surgery increases risk of death and myocardial infarction |
非心臓手術の術前および手術施行前後にベータ遮断薬を投与された患者は術後30日以内の心筋梗塞および死亡の割合が高いようである、とArchives of Surgery 10月号に掲載された。研究者らは、ある病院で2000年に非心臓手術(形成外科、血管手術、腹部手術、またはヘルニア修復術を含む)を施行された患者1,238人を調査した。術前に患者らの心臓のリスクを、高い、中等度、低い、ほとんどない、に分類した。計238人の患者が周術期にベータ遮断薬の投与を受けた。同じく非心臓手術を同病院で受けたがベータ遮断薬を投与されなかった患者408人の年齢、性別、心臓リスク、手術のリスク、喫煙状況、および腎の状態を、これらの患者とマッチさせた。ベータ遮断薬を投与された全ての心臓リスクレベルの患者は術前および術中の心拍数が少なかった。術後30日の間に、ベータ遮断薬群の心筋梗塞および死亡のリスクはコントロール群より高かった(それぞれ2.94%対0.74%、2.52%対0.25%)。さらに、ベータ遮断薬群で死亡した患者の心拍数は死亡しなかった患者のそれと比較し、有意に多かった(1分間に86拍対70拍)。 |
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新たな画像アプローチにより心房細動の治療成功の見込みが予知できる [2008-10-21] |
Novel imaging approach may assist in predicting success of treatment for atrial fibrillation |
磁気共鳴画像(MRI)をベースとした新たな検査法により、ラジオ波(RF)焼灼術を施行された患者の左房の瘢痕化を検出し定量化することに成功したとJournal of the American College of Cardiology 2008年10月7日号に掲載された。研究者らは、遅延造影心血管MRI(DE-CMRI)と呼ばれる技術を開発し、RF焼灼術前後の左房の3D画像を作成した。彼らはこれらの画像をオーダーメイドのソフトウエアを用いて加工および解析し、コンピュータアルゴリズムを用いて左房壁の傷の範囲を計測した。RF焼灼術を施行された患者全てにおいて術後3ヵ月のMRI検査にて左室壁の傷が認められた。 傷のパターンはRF焼灼術中にラジオ波エネルギーを当てた領域に一致しており、従って、組織の瘢痕を反映しているものと思われた。左房壁の傷のパーセンテージが高い患者はそれが低い患者と比較し、不整脈がない傾向にあり、瘢痕の程度はRF焼灼術の成功の見込みと関連があることが示唆された。 |
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マウスの実験の結果、イチョウを毎日摂取することにより脳卒中後の脳細胞損傷を予防することができる可能性のあることが示唆された [2008-10-21] |
Mouse studies suggest daily dose of ginkgo may prevent brain cell damage after a stroke |
Stroke 10月9日号に掲載されたスタディによると、イチョウ葉から得られた標準化抽出物を毎日投与することにより、遺伝子操作されたマウスの誘発性脳卒中後の脳損傷を予防または軽減できることが示唆された。研究者らはイチョウ葉抽出エキスEGb 761(抽出エキスの実験室品質)をノーマルマウスおよびヘムオキシゲナーゼ- 1(HO-1)ノックアウトマウス、HO-1を作成する遺伝子の欠如したマウスに投与した。HO-1は抗酸化物質として働き炎症に対し防御的に働くことが動物モデルで示されている。彼らは、脳の片側の動脈を短時間遮断することにより脳卒中を作成する前のマウスに、100mg/kgのEGb 761抽出エキスを1日1回7日間経口投与した。スタディ前と卒中後1、2、および22時間後の神経行動学的機能を評価した。前処置を受けたマウスは処置を受けていないマウスと比較し、神経学的機能不全が50.9%少なく脳のダメージ領域が48.2%小さかった。HO-1ノックアウトマウスにおいては明らかな影響は認められなかった。この実験結果は、イチョウ葉抽出エキスが、細胞死を引き起こすことが知られているフリーラジカルを中和するイベントのカスケードの引き金になるとの他のエビデンスを支持するものである。 |
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循環血液細胞内の遺伝子発現のパターンが冠動脈疾患の存在および拡がりを反映する [2008-10-14] |
Pattern of gene expression in circulating blood cells reflect presence, extent of coronary artery disease |
冠動脈カテーテルを施行されたある患者群において、冠動脈疾患(CAD)の存在および拡がりを示す循環血液細胞内のある遺伝子の発現パターンが発見されたとの報告が、American Heart Associationの新たな学会誌であるCirculation:Cardiovascular Geneticsに掲載された。研究者らは41人の患者(有意なCADを有する27人および冠動脈狭窄を有さないコントロール14人)を特定した。末梢血単核球(PBMC)の全体のゲノムマイクロアレイ解析の結果、有意なCADを有する患者とコントロールとで1.3倍以上異なる526の統計学的に有意な遺伝子が発見された。同じカテーテルスタディの部分集団95人(患者63人、コントロール32人)における106の遺伝子に関する別の解析の結果、臨床因子および人口統計学的因子で補正した後も、CADのマーカーである14の遺伝子が発見された。さらなる解析により、遺伝子発現と狭窄の程度が比例することが示された。現在進行中のさらに大規模な多施設臨床試験において確認されれば、今回の結果からCAD診断のための分子診断血液検査が開発される可能性がある。 |
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重症心不全を有する小児の両心室補助心臓は移植までのブリッジとして役立つ [2008-10-14] |
Biventricular assist devices in children with severe heart failure serves as bridge to transplant |
近年のスタディにおいて、9人の重症心不全小児患者が心移植を待機している間に小型化心臓補助ポンプを用いて平均35日間生存したとの報告が、Circulation:Cardiovascular Surgery Supplement(心臓血管外科補遺)に掲載された。研究者らは両心室補助装置(BiVAD)を生後12日から17年の女児7人および男児2人に埋め込んだ。彼らは全員、心筋症または複雑な先天性心疾患による重症心不全を有し、体重は40kg未満であった。1人は腎不全により心移植を受ける前に死亡した。19ヵ月のフォローアップ時点で、他の8人は心移植を受け生存していた。心室補助装置により彼らは身体的なリハビリテーションを受け、全般的な体調や心移植成功の可能性が改善した、と研究者らは述べている。術後出血や血管を閉塞する血栓などの頻度は低かったが、ポンプ内の血栓発生率は高かった。 |
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CABGおよびAVRの成功率および安全性は外科系レジデントとスタッフ外科医とでは同様である [2008-10-07] |
CABG and AVR success rates and safety are similar for surgical residents and staff surgeons |
臨床上の成功率と安全性は心臓手術を行う外科系レジデントとスタッフ外科医とでは同様であるとの新たな長期スタディの結果が、Circulation誌 the Cardiovascular Surgery Supplement 9月30日号に掲載された。このスタディにおいて、外科系レジデントおよびスタッフ外科医は冠動脈バイパス術(CABG)および大動脈弁置換術(AVR)−またはCABGとAVRの同時手術を施行した。カナダHalifaxにあるMaritime Heart Centerの7人のスタッフ外科医と6人のレジデントを対象に、1998〜2005年にスタッフの施行した5703例とレジデントの施行した1011例に焦点を当てて解析した。無イベント生存率は:術後1年のスタッフ施行症例81.3%に対しレジデント施行症例は79.1%であり、術後3年ではスタッフ施行症例68.2%に対しレジデント施行症例66.7%、術後5年ではスタッフ施行症例58.6%に対しレジデント施行症例55.8%であった。レジデントが第一執刀医として手術する患者群がより重症であることを考慮した結果、これらの差はいずれも統計学的に有意ではなかった。研究者らは、この結果から得られる重要なメッセージは、レジデントが適切に指揮監督されていれば、彼らに手術の訓練をさせるのは安全であるということであると述べている。 |
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胸郭内体液貯留をモニターするICDにより、その後の有害事象リスクの高い心不全患者を見極めることができる [2008-10-07] |
ICDs monitoring intrathoracic fluid identify patients at a high risk for subsequent adverse events in heart failure patients |
ICDにより胸郭内体液貯留をモニターすることによりその後の心不全関連有害事象を予測することができるとのMulti-Site Program to Access and Review Trending Information and Evaluate Correlation to Symptoms in Patients with Heart Failure :PARTNERS-HF(動向情報を取り入れレビューし症状との相関を評価する心不全患者を対象とした多施設プログラム)スタディの結果が第12回Heart Failure Society of America(HFSA)学会で発表された。このスタディは、胸腔を横切る電気的パルスを計測し胸腔内の体液貯留を評価する胸郭内インピーダンスモニターを用いることにより、心不全の増悪している患者を発見できるかを明らかにするためにデザインされた。研究者らは、除細動器付き心再同期デバイス(CRT-D)で治療されたNYHA IIIまたはIV度の左室駆出率35%未満の患者769人を追跡調査した。21日間の評価期間中にあらかじめ定義されていた閾値に体液貯留インデックスが到達した患者は、到達しなかった患者と比較し、その後の心不全イベント発生率が2倍であった。二番目の解析では、7日間の周期的な評価期間に閾値に達した患者はその後のイベント発生率が3.5倍高いことが示された。体液貯留インデックスがあらかじめ定義された閾値に達すると、代償不全、息切れ、末梢の浮腫および倦怠感のリスクが上昇し、このことからこのインピーダンスのデータは心不全悪化のリスクの高い患者を層別化するのに役立つ可能性が示唆された。 |
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