心電図上QRS延長を伴う心不全で入院した患者は退院後数ヵ月以内に再入院または死亡のリスクが高い、とJournal of the American Medical Association 6月11日号に掲載された。大規模なEVERESTトライアルの患者2,962人中、1,641人は入院時のQRS幅が正常で1,321人は入院時にQRSが延長していた。経過観察期間の中央値9.9ヵ月後にQRSが正常であった患者の18.7%およびQRSが延長していた患者の28.1%が死亡しており、多くが心不全死または突然死であった。退院後3ヵ月および9.9ヵ月の再入院および死亡の合計はQRSが延長していた患者において有意に多かった。複数の変動因子で補正した結果、入院中のQRS延長により死亡のリスクが24%上昇し、死亡および再入院の合計は28%上昇した。
小児がんの既往者は健康な兄弟姉妹と比較し成人早期に心疾患を発症する確率が5〜10倍高い、とAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。研究者らは、1970〜1986年の間に小児がんと診断された小児がん既往者14,358人および彼らの兄弟姉妹3,899人を比較した。20代の兄弟姉妹と比較し、小児がん既往者は動脈硬化のリスクが10倍、心不全のリスクが5.7倍、心筋梗塞のリスクが4.9倍、心膜疾患のリスクが6.3倍、弁膜疾患のリスクが4.8倍高かった。最近の治療の多くは標的治療であるため若年成人の既往者における心疾患発症率は今後低下するかかもしれないが、患者自身、兄弟姉妹、または家族から既往歴を聴取する際にリスクのある患者を探し出すことにより、今後注意深く観察したりすぐに治療の必要のある患者を見極めたりすることができるであろう。