家庭での受動喫煙は2〜5歳くらいの小さな子供にも炎症マーカーを増加させ血管内皮損傷を引き起こす [2008-03-25]

Exposure to secondhand smoke at home appears to induce markers for inflammation and endothelial injury in children as young as age two to five years
家庭での受動喫煙は2〜5歳くらいの小さな子供にも炎症マーカーを増加させ血管内皮損傷を引き起こす、とAmerican Heart Association心血管疾患疫学および予防に関するカンファレンスにおいて発表された。研究者らは2〜5歳および9〜14歳の小児計128人を評価した。小さい子供はよりニコチンを吸入し(12.68ng/mg hair 対2.57ng/mg hair) 、炎症マーカーである可溶性の細胞内粘着分子のレベルが高かった。結果を家庭での喫煙者数で層別化したところ、喫煙者数と血液中の血管内皮前駆細胞の間に小さな子供においては逆相関が認められたが青少年期の子供においては認められなかったことから、小さな子供はほとんどの時間を家庭で過ごすため血管損傷を受け易く過度に影響を受けやすいことが示唆された。血管内皮前駆細胞レベルは成人喫煙者においては低いことが知られている。筆者らは小児、特に低年齢の小児に関する長期の研究を行うよう呼びかけている。

重症心疾患を有する患者の介護をする家族は介護者ではない親類と比較し心疾患のリスクが高い可能性がある [2008-03-25]

Caregivers of family members with serious heart disease may have an increased risk for heart disease compared with relatives who are not caregivers
重症心疾患を有する患者の介護をする家族は介護者ではない親類と比較し心疾患のリスクが高い可能性がある、とAmerican Heart Association心血管疾患疫学および予防に関するカンファレンスにおいて発表された。研究者らは入院患者の家族または同居者501人を組み入れ、彼らを退院後6ヵ月追跡した。うち39%は主な介護者、11%はほとんどの時間介護している者、32%は時に介護をする者、17%は介護をしない者であった。介護者は女性の割合が優位に高く(63%)、結婚しているかまたは誰かと同居しており、50歳以上である確率が高かった。さらに心臓に良い食事をしていない傾向にあった。退院6ヵ月後の平均ストレススコアは、性別、配偶者の有無、ベースライン時のうつ病や社会支援レベルで補正してもなお、うつ病を有し社会のサポートをあまり受けられない人々において高かった。

新たな中断最小化心肺蘇生術の結果、通常の処置よりも院外心肺停止患者の生存率が上昇する [2008-03-18]

New minimally interrupted cardiac resuscitation approach results in higher survival rate for out-of-hospital arrests than standard treatments
新たな中断最小化心肺蘇生術の結果、通常の処置よりも院外心肺停止患者の生存率が上昇するとJournal of the American Medical Association 3月12日号に掲載された。米国の2つの市で心停止を起こした患者886人において、生存し退院した患者の割合は、同じ救命士が新たな心肺蘇生法のトレーニングを受けた結果、218人中4人(1.8%)から668人中36人(5.4%)に増加した。目撃者のいた心停止および心室細動患者174人のサブグループにおいては、生存率がトレーニング前の43人中2人(4.7%)からトレーニング後には131人中23人(17.6%)になった。編集局は、無作為化トライアルを行うことによりこの方法の有効性がより実証されるであろうが、最近のスタディ結果は、蘇生中に循環を維持することは生存率や生存者の長期脳神経学的状態を改善するのに不可欠であることを明らかにしている、と記している。

ワーファリンに対する初回反応の基盤となる遺伝子を理解することにより医師が事前に検査を行いそれに従い個々の用量を決定できる可能性がある [2008-03-18]

Understanding of the genetics underlying initial response to warfarin may allow doctors to test beforehand and personalize dose accordingly
ワーファリンに対する初回反応の基盤となる遺伝子を理解することにより、医師が最良の有効性と最小の合併症リスクをもたらす用量を患者ごとに決定できるような検査が開発される可能性がある、とNew England Journal of Medicine 3月6日号に掲載された。かねて科学者らは2つの遺伝子がワーファリンの有効性に影響することを知っていたが、それらの関与の比較については不明であった。CYP2CPはワーファリンの効果を低下させる酵素の遺伝暗号を指定する。一方、VKORC1はワーファリンが効果を発揮する際にブロックする酵素をコード化する。研究者らは、ワーファリン療法を開始した患者297人のCYP2C9ジェノタイプとVKORC1ハプロタイプ(Aまたはnon-A)を検査した。評価項目には国際標準比(INR)が治療域に初めて達するまでの時間、INRが4を初めて超えるまでの時間、治療域を超えるまでの時間、および出血の合併症であった。VKORC1ジェノタイプはINRが治療域に入るまでの時間および4を超えるまでの時間縮小と有意に関連があり、一方CYP2C9ハプロタイプはINRが治療域に入るまでの時間と関連はなかった。

加齢黄斑変性を有する成人はその後10年間に心筋梗塞または脳卒中で死亡するリスクが有意に高い [2008-03-11]

Adults with age-related macular degeneration have a significantly higher risk for death from a myocardial infarction or stroke in the next decade
加齢黄斑変性を有する成人はその後10年間に心筋梗塞または脳卒中で死亡するリスクが有意に高く、眼病変の重症度が高いと死亡のリスクも上昇するとBritish Journal of Ophthalmology 2月27日号に掲載された。研究者らは49歳以上の3,600人を検査した。計2,335人がベースラインから5年後に、1,952人が10年後に再検査を受けた。検査には網膜の写真撮影に加え身体検査が含まれた。ベースライン時に75歳未満であった患者においては、早期加齢黄斑変性を有することによりその後10年以内の心筋梗塞または脳卒中による死亡のリスクが倍であった。ベースライン時に晩期の眼疾患を有していた人々は心筋梗塞による死亡のリスクが5倍であり脳卒中による死亡のリスクが10倍であった。

虚血性脳卒中症状発現から3〜6時間以内に組織プラスミノーゲンアクチベータを開始することにより脳血流を再建し臨床予後を改善することができる [2008-03-11]

Initiation of tissue plasminogen activator within 3 to 6 hours of symptoms of ischemic stroke can restore cerebral blood flow and improve clinical outcome
虚血性脳卒中症状発現から3〜6時間以内に組織プラスミノーゲンアクチベータを開始することにより、一部の患者においては脳血流を再建し臨床予後を改善することができるとの最新の臨床試験の結果が2008年International Stroke Conferenceにおいて発表された。EPITHETトライアルでは、磁気共鳴画像上脳組織が救助可能と考えられた急性虚血性脳卒中患者において、発症後3時間以上経過した時点でのこの薬剤の投与が安全かつ有効であるか否かを評価した。現在の勧告では症状発現から3時間以内の薬剤投与開始を推奨している。実薬治療またはプラセボに無作為割り付けされた患者101人中、脳組織が救助可能と考えられたのは86%であった。そのうち、37人が実薬治療を受け、43人がプラセボ治療を受けた。平均年齢は71歳であり治療までの平均時間は脳卒中発症から約5時間であった。治療群間で梗塞サイズの縮小に差はなかったが、組織プラスミノーゲンアクチベータ投与により、3〜5日目の血流改善および90日後の機能改善が有意に認められた。

心筋梗塞後に退院した患者の約4分の1は、将来の有害事象のリスクを軽減する目的の新たな処方薬を1つ以上内服していない可能性がある [2008-03-04]

Roughly one fourth of people discharged after a myocardial infarction may not fill one or more new prescriptions designed to reduce risk for future adverse events
心筋梗塞後に退院した患者の約4分の1は、新たな処方薬を1つ以上内服していない可能性がある、とCirculation 2月26日号に掲載された。心筋梗塞後の処方薬の服用コンプライアンスを評価したはじめての研究において、カナダの研究者らは退院した患者4,591人(処方12,832件)のデータを評価した。全ての処方のうち5つに1つは退院後内服されておらず、全ての処方薬を内服しているのは患者の4分の3に過ぎなかった。処方薬を全く内服していない患者は全ての処方薬を内服している患者と比較し、退院した年に死亡する確率が80%高かった。新たな処方薬のいくつかを内服している患者では、全て内服している患者と比較し退院した最初の年に死亡する確率が40%高かった。病院で薬物療法の重要性を教育された患者は退院後の内服率が高く、また退院後最初の週に内服する率も高かった。

カウンセリングや自助教材などによる心理社会的介入は禁煙しようと努力している心疾患患者に役立つ可能性がある [2008-03-04]

Psychosocial interventions such as counseling and self-help material can help patients with heart disease who are trying to quit smoking
カウンセリング、電話支援、自助教材などによる心理社会的介入は禁煙しようと努力している心疾患患者に役立つ可能性がある、とCochrane Database of Systematic Reviews Issue 1(2008)に掲載された。このレビューでは、16の冠動脈疾患患者に対する心理社会学的禁煙介入の無作為化コントロールスタディから得られたエビデンスを評価した。スタディ参加者の多くは心筋梗塞またはバイパス術や血管形成術などの血行再建術施行歴を有していた。6〜12ヵ月後の禁煙可能性は行動カウンセリング、電話支援、または自助教材(すなわち、小冊子、オーディオテープ、またはビデオテープ)で同等であった。全体で、10人に1人が1年後には禁煙に成功した。
 
 
 
 

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