メタボリックシンドローム患者の高血圧治療においては利尿薬の有効性が他の降圧剤と同等あるいはより大である [2008-02-26]

Diuretics appear to be equal to or better than other drugs for treating hypertension in patients with metabolic syndrome
メタボリックシンドローム患者の高血圧治療においては利尿薬の有効性が他のクラスの降圧剤と同等あるいはより大である、とArchives of Internal Medicine 1月28日号に掲載された。研究者らはALLHATトライアルの対象者で高血圧および他の心血管疾患のリスクファクターを少なくとも1つは有する42,418人のデータを評価した。患者らはまず利尿剤(15,255人)、カルシウム拮抗薬(9,048人)、α遮断薬(9,061人)、またはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(9,054人)を投与する群に無作為に割り付けられた。血圧コントロールが不良な場合には、さらに薬剤を追加した。計23,077人(54.4%)がメタボリックシンドロームの診断基準に合致した。これらの患者のうち、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬およびα遮断薬を投与された患者においては、利尿薬を投与された患者よりも心不全率が高かった。ACE阻害薬およびα遮断薬は心血管疾患合併のリスクが高かった。

小児の塩分摂取量を減少させることにより砂糖入り飲料水の摂取量が減り、結果として高血圧および肥満のリスクが減少する [2008-02-26]

Reducing children's salt intake may lower intake of sugar-sweetened drinks with a resulting decrease in risk for hypertension and obesity
小児の塩分摂取量を減少させることにより砂糖入り飲料水の摂取量が減り、結果として高血圧や肥満および将来的な健康上のリスクが低下するとHypertensionオンライン版2月20日号に掲載された。小児におけるこの類の初めてのスタディにおいて、研究者らは1,600人以上の小児(4〜8歳)のデータを解析した。この子供達は全ての食べ物または飲み物をデジタル秤で計測し、7日間食事記録に塩分および水分摂取量を記録した。研究者らは1日の塩分摂取量を1g減少させることにより、1日100gの水分摂取量を減少させることができると推定した。また、塩分の少ない食事を摂取する子供は砂糖入り飲料水の摂取量も少ないことを明らかにした。また、塩分摂取量を半分にした子供はほぼ1週間当たりの砂糖入り飲料水の摂取が2本分(約250kCal)減少すると推定した。編集局は、塩分摂取量を減少させ健康的な飲み物を推奨し運動することにより、短期および長期の健康上のリスクに対する有意な効果が認められるであろうと記している。

女性は特有の高血圧発症リスクファクターを有し、血圧コントロールを行うには特異的な問題がある [2008-02-19]

Women have unique risk factors for developing hypertension and special challenges in keeping blood pressure under control
女性は特有の高血圧発症リスクファクターを有し、血圧をコントロールする問題に直面しているとHypertension 2月7日号に掲載された。American Heart Associationのデータによると高血圧により死亡するのは男性よりも女性に有意に多く、経口避妊薬を内服する女性における高血圧は2〜3倍多いことが示された。高血圧を有する女性の約60%が治療を受けているが、そのうち至適血圧を維持しているのは3分の1に過ぎなかった。45歳以上の女性28,888人を対象としたスタディの結果、新規の高血圧発症は、低脂肪の食事性カルシウムおよびビタミンDを多く摂取する者において減少し、カルシウムおよびビタミンDのサプリメントを摂る者において減少も増加もせず、高脂肪食を摂取する者において増加した。妊娠に関連したいくつかのスタディの短いレビューによると、高血圧は妊娠に最も多い内科的疾患であり、10%に認められるとされている。2つのスタディの結果、妊娠前および妊娠中の禁煙は母親のリスクを軽減し児の転帰を改善することが示された。

肝臓でのインスリン抵抗性がメタボリックシンドローム発症の鍵であるとの発見により症候群の予防および治療が導かれるであろう [2008-02-19]

Discovery that insulin resistance in the liver is key in development of metabolic syndrome will guide research into prevention and treatment
肝臓でのインスリン抵抗性がメタボリックシンドローム発症の鍵であるとの発見により、予防および治療が導かれるであろうとCell Metabolism 2月号に掲載された。研究者らはインスリン受容体を欠損した遺伝子改変マウスを用いた。この1ヵ所のインスリン抵抗性(インスリン受容体は体内の他の部位では通常量存在した)により、マウスはメタボリックシンドロームに関連する脂質異常の多くを発症した。このマウスに高脂肪食を与えることにより、コレステロールレベルは、正常のマウスに同様の食事を与えた時の4倍以上になった。全てのノックアウトマウスが動脈硬化を発現したが、正常マウスでは発現しなかった。研究者らは、この結果から、メタボリックシンドロームは個々に治療されるべき個々人の異常の集まりというよりも、密接に関連した糖および脂質代謝障害の一集団であることが確認された、と考えている。

急性冠症候群に対するクロピドグレル療法中止後3ヵ月間は主要な心血管イベントの発現リスクが高いようである [2008-02-12]

Patients appear to be at increased risk for major cardiovascular event in the three months after discontinuing clopidogrel therapy for acute coronary syndrome
急性冠症候群後にクロピドグレルを内服し始めた患者はこの薬剤中止後3か月間の心筋梗塞および死亡リスクが高いようである、とJournal of the American Medical Association 2月6日号に掲載された。研究者らは3,137人のデータを解析した。薬物療法を施行された患者1,568人中17.1%に有害事象が発現した。そのうち60.8%はクロピドグレル中止後0〜90日に、21.3%は91〜180日に、9.7%は181〜270日に発現した。ステントで治療された患者1,569人中7.9%に有害事象が生じた。そのうち58.9%は中止後0〜90日に、23.4%は91〜180日に、6.5%は181〜270日に発現した。退院後総治療期間で補正した後、クロピドグレル中止後0〜90日のリスクは91〜181日のリスクと比較し82%高かった。

ACCLAIMトライアルの結果、非特異的免疫調節療法は一部の慢性心不全患者に対し免疫抑制効果を介し有益である可能性がある [2008-02-12]

ACCLAIM trial shows that non-specific immunomodulation therapy may benefit select patients with chronic heart failure through suppression of inflammation
非特異的免疫調節療法は一部の慢性心不全患者に対し免疫抑制効果を介し有益である可能性がある、とLancet 1月19日号に掲載された。ACCLAIMトライアルでは2,400人の患者をCelacade(TM)免疫調節法またはプラセボ群に無作為に割り付けた。総死亡または心血管疾患による初回入院までの期間からなる一次エンドポイントに関して、この臀部内へ注射する方法による有益性は患者全体では認められなかったが、一部の患者においては認められた。この2つ(総死亡または心血管疾患による入院)のエンドポイントはclass II心不全患者689人において39%低下し、また心筋梗塞の既往のない患者919人において26%低下した。これらの患者群におけるリスク軽減は、現在の標準薬物療法および心不全に対するデバイス療法による効果に上乗せされた。

実際の臨床のスタディの結果、シロリムス溶出冠動脈ステントとパクリタキセル溶出冠動脈ステントの心筋梗塞および死亡に関する予後は同等であることが示された [2008-02-05]

Real-world study finds that sirolimus-eluting and paclitaxel-eluting coronary stents produce similar outcomes regarding myocardial infarction and death
実際の臨床の場において、シロリムス溶出冠動脈ステントとパクリタキセル溶出冠動脈ステントの心筋梗塞および死亡を含めた臨床上の予後は同等であることが示された、とJournal of the American Medical Association 1月30日号に掲載された。SORT OUT IIトライアルは経皮的冠動脈インターベンションで治療された成人2,098人を組み入れ、シロリムス溶出ステント(1,065人)またはパクリタキセル溶出ステント(1,033人)を投与する群に無作為に割り付けた。治療の対象となったのはST上昇心筋梗塞、ST非上昇心筋梗塞、不安定狭心症、および安定狭心症の患者である。主要な心有害事象を発現した患者はシロリムス溶出ステント群で98人(9.3%)であり、パクリタキセル溶出ステント群では114人(11.2%)であった。ステント血栓症はシロリムス溶出ステント群で27人(2.5%)に、パクリタキセル溶出ステント群で30人(2.9%)に発現した。

内臓脂肪周囲の炎症と動脈硬化の発症および進行との関連を示す直接的なエビデンスが発見された [2008-02-05]

Direct evidence is found to link inflammation around visceral fat deposits with development and progression of atherosclerosis
内臓脂肪周囲の炎症は動脈硬化と関連がある、とCirculationオンライン版1月21日号に掲載された。研究者らは、内臓脂肪の移植を受けたレプチン欠損マウスが脂肪組織自体のみによる炎症を発現したことを明らかにした後、動脈硬化になりやすいApoE陰性マウス3群を用いて実験を行った。ApoE陰性マウスを、正常マウスから得た皮下脂肪または内臓脂肪を移植する群またはシャム手術を行う群に無作為に割り付けた。内臓脂肪群は加速度的に動脈硬化を発症し、レプチン欠損マウスと同種の炎症を示した。皮下脂肪を移植されたApoE陰性マウスにおいては、炎症は認めたが動脈硬化の増加はみられなかった。シャム手術を受けたマウスにおいては炎症も動脈硬化の増加も認められなかった。ピオグリタゾンは内臓脂肪群のマクロファージおよびサイトカインレベルを低下させ動脈硬化の進行を軽減させたが、皮下脂肪移植マウスにおいては影響が認められなかった。
 
 
 
 

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