American Heart AssociationはENHANCEスタディのデータに対し、大規模スタディにてエゼチミブ使用と臨床上の予後の相関を示す必要があると述べている [2008-01-29]

American Heart Association responds to ENHANCE data by noting larger studies are needed to correlate use of ezetimibe with clinical outcomes
ENHANCEスタディのデータが公表されたのに対しAmerican Heart Associationは、大規模な長期のスタディを行い、エゼチミブ/シンバスタチンと、動脈プラークの成長のようなマーカーではなく臨床上の予後の相関関係の可能性を確認する必要があると述べている。ENHANCEスタディではエゼチミブ/シンバスタチン併用療法は、シンバスタチン単独よりも、低密度リポ蛋白コレステロールを有意に低下させることを示した。予想外だったのは、頸動脈プラークの沈着に差が認められなかったことである。大規模な長期のトライアルにより、併用療法が心筋梗塞や動脈硬化に伴う死亡などの主要な心血管イベントのリスクを変化させるか否かを評価することができるであろう。AHAは、併用療法の明らかな安全性やスタチン単独によるコレステロール低下療法では有効性が不十分であったかなどの観点から、医師と患者が個々の薬物療法について話し合うことを勧めている。

アスピリン抵抗性により心筋梗塞や脳卒中などの主要なイベントが4倍高くなる [2008-01-29]

Aspirin resistance is associated with a four-fold increase in major adverse events such as myocardial infarction and ischemic stroke
アスピリンの抗血小板作用に対する抵抗性により心筋梗塞や虚血性脳卒中などの主要なイベントが4倍高くなる、とBMJオンライン版1月17日号に掲載された。研究者らは、アスピリンの抗血小板効果を評価した20のスタディ(計2,930人の心血管疾患患者)のデータを解析した。28%の患者が臨床上の何らかの所見からアスピリン抵抗性と分類された。その結果、アスピリン抵抗性の患者は、その臨床状態に関わらず、心筋梗塞、虚血性脳卒中、または血栓関連死のリスクが高かった。特に、フォローアップ中の心血管イベント発症率がアスピリン抵抗性患者において39%であったのに対し、アスピリン感受性患者のそれは16%であった。研究者らはまた、クロピドグレルなどの他の抗血小板薬はアスピリン抵抗性患者に対し何の有益性ももたらさないことを明らかにした。

フラミンガム心臓研究のデータからビタミンD欠乏により心血管疾患のリスクが上昇することが示された [2008-01-22]

Framingham Heart Study data suggest that Vitamin D deficiency increases risk of cardiovascular disease
ビタミンD欠乏は特に高血圧患者において心血管疾患のリスクを上昇させる、とオンライン版Circulation 1月7日号に掲載された。フラミンガム心臓研究の白人参加者(平均年齢59歳)1,739人のデータ解析の結果、ビタミンDの血中レベルが15ng/mLを下回ると、その後5年間の初回心血管イベントのリスクがビタミンDレベルの高い人々と比較し2倍であることが示された。既知の心血管リスクファクターで補正した結果、ビタミンDレベルが低い人々はビタミンDレベルが高い人々と比較し、初回心血管イベントのリスクが62%高かった。相対的に、高血圧および低ビタミンDレベルを有する成人の補正後のリスクは、ビタミンD欠乏のみを有する人々よりも約2倍高かった。ビタミンDの血中濃度は約30ng/mL超が最適と考えられるが、このレベルに達していた者はこのスタディ集団のうちわずか10%に過ぎなかった。したのに加え、総コレステロールは58%、トリグリセリドは65%、アポリポ蛋白Bは56%低下した。

健康な閉経後女性に対するカルシウムサプリメントの使用は心筋梗塞のリスクを上昇させる可能性がある [2008-01-22]

Use of calcium supplements by healthy postmenopausal women may increase risk for myocardial infarction
健康な閉経後女性に対するカルシウムサプリメントの使用は心筋梗塞のリスクを上昇させる可能性がある、とBMJオンライン版1月15日号に掲載された。研究者らは、骨密度と骨折率のスタディの参加者である55歳以上の健康な閉経後女性のデータを用いて、カルシウムの血管イベント(心筋梗塞、虚血性脳卒中、および突然死)に対する効果を調査した。女性たちはカルシウムまたはプラセボ群に無作為に割り付けられ、食事からのカルシウム摂取の評価を受け、5年間フォローされた。その結果、心筋梗塞はカルシウム群においてより多く認められた(カルシウム群で31人において36件発症したのに対しプラセボ群では21人において22件発症した)。心筋梗塞、脳卒中または突然死もまたカルシウムサプリメント群において多かった(60人において76件であったのに対しプラセボ群では50人において54件)。しかしこの発症率の有意差はボーダーラインであった。筆者らはカルシウムの血管に対する影響についてのさらなる研究の必要性を強調している。

心室性不整脈の病院内での除細動後の生存の可能性は心停止後2分以内に除細動を施行されると劇的に高い [2008-01-15]

Likelihood of survival after in-hospital defibrillation for ventricular arrhythmia is dramatically higher if therapy is given within two minutes of arrest
心室性不整脈の病院内での除細動後の生存の可能性は、推奨されている心停止後2分以内の除細動を施行することにより劇的に高まる、とNew England Journal of Medicine 1月3日号に掲載された。研究者らは米国国家登録内の患者で心室性不整脈が認められた者7,000人のデータを解析した。30%の患者は心室性不整脈を認めてから2分以上経過した後に除細動された。除細動の遅延により生存して退院する確率は有意に低下した。除細動を2分以内に施行した場合の生存率が39%であったのに対し2分を過ぎた場合のそれは22%であり、重大な神経学的障害を有さずに退院した生存者のみで比較すると26%低かった。筆者らは、除細動遅延が夜間や週末に起こりやすく心拍モニターをされていない患者に発生しやすい原因を調査し、設備や人員のどのような改善により処置までの時間を短縮できるかを確定する必要があると主張している。

下肢静止不能症候群(レストレスレッグ症候群)を有する人々はこれを有さない人々と比較し心血管疾患または脳血管疾患を有する確率が2倍以上高い [2008-01-15]

People with restless legs syndrome are more than twice as likely to have cardiovascular or cerebrovascular disease as peers without the disorder
下肢静止不能症候群(レストレスレッグ症候群)を有する人々はこれを有さない人々と比較し心血管疾患または脳血管疾患を有する確率が2倍以上高く、症状の頻度と重症度のリスクも増加する、とNeurology 1月1日号に掲載された。この種のスタディでは最も規模が大きなSleep Heart Health Studyでは、成人男女3,433人(平均年齢68歳)が組み入れられた。詳細なアンケートに対する回答の結果、女性の7%近く男性の3%近くが症候群を有していた。年齢、性別、人種、ボディマスインデックス、糖尿病、高血圧、降圧薬、高密度コレステロール値対低密度コレステロール値、および喫煙で補正した後も結果は同じであった。筆者らは、夜間の下肢運動により血圧や心拍数の急激な実質的な上昇を引き起こし、それが血管疾患の発症を促進していると記している。心疾患および脳卒中との相関は症状を月に16回以上有する者において強く認められた。

動脈硬化を引き起こす遺伝子に関する研究および冠動脈ステント使用に関する新しいデータが2007年の循環器学の主な進歩に含まれた [2008-01-08]

Research on genetics underlying atherosclerosis as well as new data on use of coronary stents are among major cardiology advances in 2007
2007年には心血管系の研究により大きな進歩があった、とAmerican Heart Association(AHA)が発表した。大規模な研究により冠動脈疾患および2型糖尿病などの疾患の遺伝子マーカーが同定された。あるトライアルの結果、目撃者のいる心停止を起こした成人には通りがかりの人による胸部圧迫(心臓マッサージ)のみが好ましい蘇生法であることが示された。また他のトライアルでは減塩により血圧のみならず他の予後も改善することが認められた。COURAGEトライアルの結果、経皮的冠動脈形成術は最大限の薬物療法のみと比較し、安定した冠動脈疾患患者の予後を改善しないことが示された。HORIZONSトライアルによるとST上昇心筋梗塞患者に対する抗凝固薬とステントは予後不良のリスクを上昇させなかった。他のスタデイは、薬剤溶出ステントにより、再狭窄のリスクが最も高い患者における標的血管の冠動脈バイパス術の必要性が、死亡や心筋梗塞のリスクを有意に増加させることなく、減少したことを示した。

肺塞栓の診断においてコンピュータ断層肺動脈造影は換気血流シンチグラムにとってかわる安全な画像検査となりうる [2008-01-08]

Computed tomographic pulmonary angiography may be a safe alternative to ventilation-perfusion scans for diagnosing pulmonary emboli
肺塞栓の診断においてコンピュータ断層肺動脈造影は換気血流シンチグラムにとってかわる安全な画像検査となりうるが、血管造影はクロットをより検出するため臨床的意義に関して疑問視される可能性がある、とJournal of the American Medical Association 12月19日号に掲載された。このトライアルでは急性肺塞栓の疑わしい患者1,417人を従来の画像法(716人)または血管造影(701人)を施行する群に無作為に割り付けた。検査で陰性であった患者は単純に3ヵ月間追跡した。血管造影群の患者のうち133人(19.2%)が初回検査で肺塞栓または深部静脈血栓と診断された。シンチグラム群の患者のうち101人(14.2%)が同様の診断を下された。初回検査で静脈血栓塞栓が発見された全体の率は血管造影群で有意に高かった(差は5%)。編集局は、いずれの画像検査も考慮する前に体系化した病歴や身体データの検討およびDダイマー検査を行うことを提案している。
 
 
 
 

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