禁酒を最終目的としているアルコール依存症歴を有する成人は再発する確率が最も低いが、若年者においては最終目的に関わらず回復した状態を維持しにくい、とAlcoholism:
Clinical and Experimental Research 12月号に掲載された。研究者らはアルコール依存症歴を有しベースライン時点およびその後3〜4年間回復期にあった米国成人1,700人以上に問診を行った。対象者はベースライン時の自己申告により、禁酒者、低リスク飲酒者(再発リスクを上昇させると思われる量未満の飲酒量)、または無症状のリスクを有する飲酒者、に層別化した。禁酒をしていると自己申告した人々は二度目の問診時に再発していないと回答する確率が最も高かった(再発率は禁酒者で7.3%であったのに対し低リスク飲酒者で27.2%、リスクを有する飲酒者で51%)。筆者らは、再発のリスクはベースライン時18〜24歳の人々において高く、これらの年代を対象としたスタディの必要性を強調している。
糖尿病、うつ病、および死亡率に関する初めてのスタディの結果、糖尿病とうつ病を有する高齢者においては、うつ病の治療を受けた患者はうつ病の治療を受けない患者と比較し5年以内の死亡率が半分であることが示唆された、とDiabetes
Care 12月号に掲載された。20のプライマリケア診療所の研究者らは精神科的なスクリーニングを通して、60〜94歳のうつ病患者584人を探し出した。うち計123人が糖尿病歴を有すると報告した。それぞれの診療所は、通常の治療、または、プライマリケア医と連携し適切な治療のアドバイスを受け患者の治療継続を補助するようなうつ病治療を受ける群に無作為に割り付けられた。5年間のフォローアップの間に110人が死亡した。研究者らは、抑うつが糖尿病患者に多く認められうつ病の症状自体を引き起こすのみならず、糖尿病に関連した薬物治療や食事の遵守の問題にも有意に影響するのであろうと結論付けている。
妊娠中および出産後の抗うつ薬使用の安全性に関して、米国では女性と医師の間に大きな違いがあると、この調査を施行したSociety for Women's
Health Researchが発表した。妊娠中に抗うつ薬を内服しても安全だと回答したのは女性においてはわずか10%であったのに対し、医師の68%が安全であると回答した。産後の安全性に関する理解も同様であり、女性の半数のみが安全であると回答したのに対し、医師では97%が安全と回答した。女性はまた、うつ病による身体症状よりも気分症状を訴え、閉経周辺期および閉経期のうつ病を過小評価する傾向にあった。筆者らは、ホルモンおよびホルモン変化に関連したうつ病、および人生の異なる時期での抗うつ薬の利点と欠点に関し女性がより理解できるような教育が必要である、と強調している。
地域成人における喘息と外傷後ストレス障害の関係から、この関係は遺伝子の影響が主ではないことが示唆されたとAmerican Journal of Respiratory
and Critical Care Medicine 11月号に掲載された。この米国のスタディにおいて、一緒に育てられベトナム戦争時代に軍隊として活動した一卵性および二卵性双生児3,065人を対象とした。障害の症状を最も強く有する双子は症状の弱い双子よりも喘息を有する確率が2.3倍高く、この傾向は一卵性または二卵性に関わらず同等であった。この相関関係は、喫煙、肥満、および社会経済的環境などの不安障害や喘息と関連のある因子で補正した後も同様に認められた。この関係の本質に関しては不明であるが、筆者らは、喘息を有する者は外傷後ストレス障害の高リスクである可能性があるため、有意な心的外傷を負うような経験をする場合には精神的評価が有益である可能性があると述べている。