大規模スタディの結果によると経頭骸磁気刺激は他の抗うつ治療の無効な大うつ病患者の治療として有効である [2007-12-25]

Large-scale study shows that transcranial magnetic stimulation is an effective treatment for major depression resistant to other antidepressant therapies

経頭骸磁気刺激療法による初の大規模スタディの結果、この治療法は他の治療の無効な大うつ病に有効であることが示された、とBiological Psychiatry 12月1日号に掲載された。組み入れ時に無投薬の患者計301人を、実治療またはシャム治療を左前頭前野背外側部に週5回4〜6週間施行する群に無作為に割り付けた。一次評価項目はMontgomery-Asbergうつ病評価スケールで評価した4週後の症状変化であった。17および24項目Hamiltonうつ病評価スケールもまた使用した。奏効率は3つのスケール全てで、有意に高いことが認められた。Montgomery-Asbergおよび24項目Hamiltonスケールで評価した6週後の寛解率は実治療群で2倍高かったが、17項目Hamiltonスケールでの評価では有意差は認められなかった。スタディ脱落率はわずか4.5%であり、主に治療による頭皮の痛みなどの軽度または限定された副作用が原因であった。

 

禁酒を最終目的としている中年以降のアルコール依存症患者は再発する確率が最も低い [2007-12-25]

Middle-aged and older adults with alcohol dependence whose goal is abstinence from drinking are least likely to relapse

禁酒を最終目的としているアルコール依存症歴を有する成人は再発する確率が最も低いが、若年者においては最終目的に関わらず回復した状態を維持しにくい、とAlcoholism: Clinical and Experimental Research 12月号に掲載された。研究者らはアルコール依存症歴を有しベースライン時点およびその後3〜4年間回復期にあった米国成人1,700人以上に問診を行った。対象者はベースライン時の自己申告により、禁酒者、低リスク飲酒者(再発リスクを上昇させると思われる量未満の飲酒量)、または無症状のリスクを有する飲酒者、に層別化した。禁酒をしていると自己申告した人々は二度目の問診時に再発していないと回答する確率が最も高かった(再発率は禁酒者で7.3%であったのに対し低リスク飲酒者で27.2%、リスクを有する飲酒者で51%)。筆者らは、再発のリスクはベースライン時18〜24歳の人々において高く、これらの年代を対象としたスタディの必要性を強調している。

 

糖尿病とうつ病を有する高齢者はうつ病を治療しないと5年以内に死亡する確率が有意に高い [2007-12-18]

Older adults with diabetes and depression are significantly more likely to die over a five-year period if their depression is not treated

糖尿病、うつ病、および死亡率に関する初めてのスタディの結果、糖尿病とうつ病を有する高齢者においては、うつ病の治療を受けた患者はうつ病の治療を受けない患者と比較し5年以内の死亡率が半分であることが示唆された、とDiabetes Care 12月号に掲載された。20のプライマリケア診療所の研究者らは精神科的なスクリーニングを通して、60〜94歳のうつ病患者584人を探し出した。うち計123人が糖尿病歴を有すると報告した。それぞれの診療所は、通常の治療、または、プライマリケア医と連携し適切な治療のアドバイスを受け患者の治療継続を補助するようなうつ病治療を受ける群に無作為に割り付けられた。5年間のフォローアップの間に110人が死亡した。研究者らは、抑うつが糖尿病患者に多く認められうつ病の症状自体を引き起こすのみならず、糖尿病に関連した薬物治療や食事の遵守の問題にも有意に影響するのであろうと結論付けている。

 

予備的なphase IIIトライアルによるとescitalopramは大うつ病を有する青少年のうつ病症状の軽減に有望である [2007-12-18]

Escitalopram shows promise in reducing symptoms of depression in adolescents with major depressive disorder according to preliminary phase III trial results

製薬メーカーが発表した予備的なphase IIIトライアルの結果によると、escitalopramは青少年のうつ病への効果が期待できることが示された。このスタディは、12〜17歳の大うつ病の青少年316人においてescitalopramによる治療をプラセボと比較し評価した。8週間のスタディにおいて、患者はescitalopram10mgまたは20mgまたはプラセボ群に無作為に割り付けられた。一次エンドポイントはベースラインから第8週の改訂版Children's Depression Rating Scale(小児うつ病評価スケール)の変化とした。スタディの結果、抗うつ薬治療を受けた患者はプラセボを投与された患者と比較し統計学的に有意に改善し、薬物に対する忍容性も良好であった(全体の薬物中止率は抗うつ薬で19%でありプラセボで15%であった)。研究者らは、最高8%の青少年がうつ病を患っている可能性があると推定しているが、この年代の患者に対して使用を試みられ有効で安全とされている抗うつ薬は少ない。全てのデータは来年公表される予定である。

 

注意欠陥多動性障害に対し中枢刺激薬を内服している小児は、心臓に関する症状で受診することはあるが有意な心合併症を有することはまれである [2007-12-11]

Children who take stimulants for attention deficit hyperactivity disorder may have visits for cardiac symptoms but rarely have significant cardiac complications

注意欠陥多動性障害に対し中枢刺激薬で治療を受けている小児は心臓の症状で救急外来やクリニックを受診する頻度が高いが、死亡や重篤な心合併症はまれである、とPediatrics誌12月号に掲載された。このレトロスペクティブな米国のスタディでは3〜20歳の患者55,000人の記録を使用した。中枢刺激薬を内服している患者は、この薬剤を一度も内服したことのない患者または内服を中止した患者と比較し、頻拍などの心臓に関する症状に関して医師を訪ねる率が20%高かった。しかし、イベントの総数が少なすぎたため結論付けることはできなかったものの、心疾患による死亡や入院は一般の人々における割合と差はなかった。筆者らは、今後、長期治療を受けている患者や心リスクファクターを有する小児や青少年、特に心血管系に影響するような他の向精神薬を内服している患者を対象とした安全性スタディを行うことを提案している。

 

Phase IIスタディの結果プロドラッグ製剤lisdexamfetamineは、実験的な教室で治療を受ける小児において、有意な効果を12時間持続させた [2007-12-11]

Phase II study finds that prodrug formulation lisdexamfetamine produces significant effects for up to 12 hours in children treated in a laboratory classroom

d-アンフェタミンに代謝されるプロドラッグ製剤lisdexamfetamineは、実験的な教室で教育を受ける注意欠陥多動性障害の小児において最長12時間の有効性を示した、とBiological Psychiatry 11月1日号に掲載された。このPhase IIスタディは、二重盲検、プラセボ−実薬対照クロスオーバーアナログデザインの試験であり、6〜12歳の小児52人を組み入れた。実薬群はlisdexamfetamine(30、50または70mg)、または徐放性混合アンフェタミン塩(10、20または30mg)であった。数学力(年齢で補正したPERMPを用いて行い、問題に取り組んだり解決したりする能力を評価した)の変化の平均はプロドラッグで49、混合塩で22、プラセボではマイナス24であった。Lisdexamfetamineはベースラインからの行儀および注意力(SKAMP)スコアを改善し、臨床上の全体的な印象スコアも改善した。副作用は両実薬群間で差がなかった。

 

米国で施行された女性と医師の調査の結果、妊娠中および出産後の抗うつ薬使用の安全性に関する理解には個人により大きな違いがあることが示唆された [2007-12-04]

U.S. survey of women and physicians indicates wide differences in perceptions surrounding safety of antidepressants during and after pregnancy

妊娠中および出産後の抗うつ薬使用の安全性に関して、米国では女性と医師の間に大きな違いがあると、この調査を施行したSociety for Women's Health Researchが発表した。妊娠中に抗うつ薬を内服しても安全だと回答したのは女性においてはわずか10%であったのに対し、医師の68%が安全であると回答した。産後の安全性に関する理解も同様であり、女性の半数のみが安全であると回答したのに対し、医師では97%が安全と回答した。女性はまた、うつ病による身体症状よりも気分症状を訴え、閉経周辺期および閉経期のうつ病を過小評価する傾向にあった。筆者らは、ホルモンおよびホルモン変化に関連したうつ病、および人生の異なる時期での抗うつ薬の利点と欠点に関し女性がより理解できるような教育が必要である、と強調している。

 

新たに発見された、成人における喘息と外傷後ストレス障害の関係からこの関連の主な原因は遺伝子の影響ではないことが示唆された [2007-12-04]

Newly identified association between asthma and post-traumatic stress disorder in adults suggests link is not primarily due to genetic influences

地域成人における喘息と外傷後ストレス障害の関係から、この関係は遺伝子の影響が主ではないことが示唆されたとAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 11月号に掲載された。この米国のスタディにおいて、一緒に育てられベトナム戦争時代に軍隊として活動した一卵性および二卵性双生児3,065人を対象とした。障害の症状を最も強く有する双子は症状の弱い双子よりも喘息を有する確率が2.3倍高く、この傾向は一卵性または二卵性に関わらず同等であった。この相関関係は、喫煙、肥満、および社会経済的環境などの不安障害や喘息と関連のある因子で補正した後も同様に認められた。この関係の本質に関しては不明であるが、筆者らは、喘息を有する者は外傷後ストレス障害の高リスクである可能性があるため、有意な心的外傷を負うような経験をする場合には精神的評価が有益である可能性があると述べている。

 


 

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ
Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.