うつ病の母親をもつ子供は父親が積極的に家庭生活に関わっていると問題のある行動をとることが少ないようである、とArchives of Pediatric
and Adolescent Medicine 7月号に掲載された。研究者らは米国で進行中の、子供の行動および社会的機能を含む家族の詳細な情報を集めた地域住民を対象としたスタディのデータを解析した。今回の解析では6,552組の母親/子供の組み合わせのデータを用いた。子供の行動は2年ごとに評価した。このスタディ(現在フォローアップ10年目)はうつ病の母親のいる家族の父親の役割について調査をした初めてのものである。父親の家庭への参加具合は、父親が重大な決断を子供たちとどの程度頻繁に話したか、子供たちにとって重要なイベントや活動に参加しないことはなかったか、子供たちがどの程度父親に親近感をもっているか、などを10歳以上の子供に質問した回答に基づき評価した。父親が家庭に参加するほど母親のうつに伴う悪影響は少なかった。
アジア系米国人および太平洋諸島出身の人々はメンタルヘルスサービスをあまり受けない傾向にあり、他の米国人よりも問題が解決する前に治療を中断しがちであるとAsian
American Psychological Association Conferenceにて発表された。メンタルヘルスシステムの使用に影響する因子には全般的な文化のルーツが多少なりとも関わっている:外部の人間と働くよりも家族と働くことを好むことや、個人的な問題、特に精神疾患を恥だと思うことである。この群に特異的な因子として文化的に適切なサービスを受けられることや医療サービス提供者と患者の背景が類似していることが挙げられる。大規模な調査の結果、アジア系米国人は精神的ケアに満足しにくく、より重症の症状を呈することが多かった。これはおそらく彼らがもはや家族や労働環境と良好な関係を保てなくなって初めてメンタルヘルスケアを受診するためであろう。
ナルコレプシーや閉塞型睡眠時無呼吸に伴う過度の眠気に対して使用されるmodafinilは双極性障害に伴ううつ病症状を有する患者のプレリミナリトライアルで有望であることが示された、とAmerican
Journal of Psychiatry 8月号に掲載された。米国およびドイツの病院で治療を受けた患者85人の半数がmodafinilを1日100〜200mg内服群に、残りの半数はプラセボ内服群に無作為に割り付けられた。6週間のスタディ期間中にmodafinil群患者の44%が症状の改善を報告したのに対し、プラセボ群におけるその割合は23%であった。トライアル終了時の寛解率はmodafinil群で39%、プラセボ群で18%であった。Modafinilにより双極性障害に関連した気分変動のリスクが上昇することはなかった。
大規模な治療スタディで治療された注意欠損多動性障害の小児の多くは、その後3年経過しても改善した状態が持続していることが示された、とJournal of
the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry 8月号に掲載された。研究者らはU.S. Multimodal
Treatment Studyの対象となった小児(ベースライン時年齢10〜13歳)485人を評価した。初期の差---薬物および薬物/行動療法は行動療法のみまたはルーチンの地域ケアよりも優れていた---は縮まっていた。しかし研究者らは、スタディ終了後に親たちが地域で受けることのできる治療を選ぶようになってから、治療が変化したことを確認した。つまり、行動療法を受けた小児は薬物療法を開始する傾向にあり、薬物を内服していた患者は内服を中止する傾向にあった。筆者らは、長期予後の差の一部はフォローアップ治療が影響しているであろうと推測している。例えば、スタディ中の薬物療法の予後は地域の医師らによって開始された薬物療法による予後よりも優れていた。
アルコール依存には5つの異なる型があるようであり、患者がどの型に当てはまるかを理解することにより治療計画の改善に役立つ可能性がある、とDrug and
Alcohol Dependence オンライン版6月25日号に掲載された。この解析は米国国民の代表的なデータを用いて行われ、これによって、過去のスタディではアルコール依存症の治療が見落とされていた患者が同定された。最も多いタイプ(31.5%)は若年成人からなり、物質乱用や他の精神疾患の合併およびアルコール依存の家族歴は低率であった。彼らのうち飲酒に関する問題に対して助けを求めるのはまれであった。他の型を割合が多い順に挙げると、若年の反社会型(21%)、機能型(19.5%)、中間家族型(19%)、および慢性重症型(9%)であった。慢性重症型の3分の2が飲酒に関する問題に対して助けを求めており、それが治療を受けている患者の中では彼らの割合が最も多い結果となった。
小児期行為問題などの反社会的な行動は成人期の統合失調症における暴力のリスク増加と関連がある、とjournal Law and Human Behavior
オンライン版6月30日号に掲載された。研究者らは米国のClinical Antipsychotic Trials for Intervention Effectiveness
(CATIE)に参加した患者1,445人のデータを解析した。暴力行動を行った者は全体では19%であった。小児期行為問題のあった者は暴力行動を報告する頻度が、行為問題のなかった者(14%)の2倍であった(28%)。両群とも、暴力とアルコールおよび薬物の使用には相関があったが、小児期に問題のなかった患者においては、その使用は一般に乱用と関連する閾値以下であった。精神症状と暴力の関係は小児期に問題のなかった患者においてのみ認められた。筆者らは医師らに、統合失調症と関連のない暴力の傾向のある患者に対する抗精神病薬治療が十分であるかどうかについて考慮するよう勧めている。