米国成人のほぼ3分の1の男性が生涯のある一時期ある種のアルコール使用障害を有している [2007-07-31]

Almost one third of American adults report having some type of alcohol use disorder at some point during their lifetimes

米国成人の約30%が生涯のある一時期ある種のアルコール使用障害を有していたと報告し、うち17.8%はアルコール乱用であり12.5%はアルコール依存である、とArchives of General Psychiatry 7月号に掲載された。研究者らは国内人口集団に相当するように抽出した成人43,093人の面接データを解析した。飲酒問題と同様、うつ、双極性障害、不安障害、薬物乱用および他の精神状態に関する質問はDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersに基づいた。アルコール依存を報告した人のうち治療を受けていたのは24.1%にすぎず、前年にアルコール依存であった人のうちその期間中に治療を受けたのは12.1%であった。医療側や公衆衛生局が注意喚起を呼びかけているにもかかわらず、治療率は実際、10年前よりもやや低かった。

 

早期の認知症を有する高齢者の多くが車の運転を安全に行うことができる [2007-07-31]

Many elderly adults with early dementia are capable of driving motor vehicles safely

早期の認知症を有する高齢者の多くが車の運転を安全に行うことができ、医師らは患者や家族と話し合い、全体的な運転能力や運転することと安全のリスクを天秤にかけた上での個々のライフスタイル上の利益に関して考えるべきである、とBMJ 6月30日号に掲載された。現行の認知機能検査は早期認知症患者と安全に運転できる人々の違いを鑑別できない。筆者らは、スカンジナビア、オーストラリア、および米国のエビデンスから、高齢者ドライバーの集団検診や認知機能検査は公衆衛生にとって役立たないことが示された、と述べている。したがって、もの忘れ外来や安全な運転に支障を来すような疾患を有する患者の重点的なスクリーニングや医師による精査を提案している。

 

選択的セロトニン再取込み阻害薬は18歳の若年者を含めうつ病の成人の自殺リスクを低下させる [2007-07-24]

Selective serotonin reuptake inhibitors lower the risk of a suicide attempt in adults with depression including those as young as 18 years

選択的セロトニン再取込み阻害薬は18歳の若年者を含めうつ病の成人の自殺リスクを低下させると、American Journal of Psychiatry 7月号に掲載された。研究者らは米国軍人医療機構で新たにうつ病と診断された患者226,866人のデータを解析し、抗うつ剤内服開始前後のリスクを4つの年代(18〜25歳、26〜45歳、46〜65歳、66歳以上)別に比較した。どの年代群も抗うつ剤を内服しない群と比較し、自殺企図のリスクが有意に低かった。抗うつ剤内服前には82,828人の患者のうち183人が自殺を試みたが、内服開始後のその数は102人であった(患者10万人あたり221人から内服開始後123人に減少)。

 

顔の表情や声のトーンを読むように教えられた自閉症スペクトラム障害の小児は機能的核磁気共鳴画像上、より正常パターンを示す [2007-07-24]

Children with autism spectrum disorder who are taught to read facial and voice cues show more normal patterns on functional magnetic resonance imaging

意識的に顔の表情や声のトーンに注意した子供は適切な大脳皮質活性の上昇を示す、とArchives of General Psychiatry 6月号に掲載された。7〜17歳の自閉症児18人および問題なく成長している少年18人に、機能的核磁気共鳴画像検査施行中に、最後に皮肉を交えた意見で終わる台本を聞かせながら座談風の子供の漫画を見せた。説明を受ける前の内側前頭前野皮質および右上側頭回の活性は、自閉症児において問題のない小児よりも低下していた。しかし、研究者らが両群の小児に、話している人の顔の表情や声のトーンに注意を払うように明確に説明すると、自閉症児の内側前頭皮質活性は明らかに増大した。このような教育で脳の活性を正常化させることができることから、将来の治療法の開発に役立つ可能性がある。

 

新たな変異を同定することで医師らに遺伝性の前頭側頭型痴呆患者の早期診断を可能にし、よりよい治療を提供できる可能性がある [2007-07-17]

Identification of a new mutation may help doctors make early diagnoses of patients with genetic frontotemporal dementia and lead to better treatments

新たな変異が遺伝性の前頭側頭型痴呆と関連があるとNeurology 7月10日号に掲載された。Pick病の一つであるこの痴呆は進行性の前頭葉および側頭葉の縮小を伴う。初期の典型的な変化は言語の問題および人格の変化であり、しばしば不適切な社会的行動を伴う。アルツハイマー病とは異なり、この痴呆は初期の段階では記憶力には影響しない。初期に記憶力低下がないため間違った診断や治療を行われてしまいがちである。今回の研究は、15世代の36の家族が前頭側頭型痴呆を有していたイタリアのある一族に関して行われたものである。変異は脳細胞の増殖因子であるプログラニュリンの中に認められた。痴呆を有していた家族は全てへテロ接合であり、これは、彼らは一つは正常な遺伝子を有し、プログラニュリンレベルが予測値の約半分であることを意味している。

 

重症急性呼吸器症候群(SARS)罹患後の患者は身体的には回復していても罹患後1年以内は精神的な問題のハイリスク群である [2007-07-17]

Survivors of severe acute respiratory syndrome appear to have recovered physically but had high risk for psychiatric problems within a year of their illness

重症急性呼吸器症候群(SARS)での経験が他の疫病または流行病においても発生する問題を反映しているとしたら、身体回復後の精神症状に関する問題が、患者、家族、および医師らにとっての試練となるであろうとArchives of Internal Medicine 6月25日号に掲載された。研究者らはある都市の罹患後の患者117人を退院3、6、および12ヵ月後に評価した。1年後までに、1人を除き全ての患者の胸部X線は正常または罹患前と同様の状態となった。1年後、18%の患者は依然として機能障害を有しており、肺機能検査では早い時期に正常に復していても、6分歩行距離は低下していた。1年後に17%の患者が仕事に復帰できておらず、さらに9%が罹患前の仕事のポジションに復帰できていなかった。SARSによる入院後1年間の患者の受診の多くを精神的な評価やサービスが占めていた。さらに、介護士として働く人々もまた、精神衛生状態の悪化を訴えていた。

 

2型糖尿病を有する高齢者は糖尿病を有さない者よりもうつ病を発症するリスクが2倍高い [2007-07-10]

Older adults with type 2 diabetes may be twice as likely as peers without diabetes to develop depression

2型糖尿病を有する高齢者は糖尿病を有さない者よりもうつ病を発症するリスクが2倍高い、とArchives of Internal Medicine 6月11日号に掲載された。研究者らは、ベースライン時に抑うつ症状を有していない70〜79歳の2,500人について糖尿病がうつ病のリスクファクターになるか否かを6年間にわたり検討した。参加者らは、米国の国立加齢研究所(National Institute on Aging)の後援で現在施行されているプログラムに組み入れられた。その結果、糖尿病を有している者は追跡期間中にうつ病を発症するリスクが2倍高かった。さらに、推奨された食餌療法や治療法を忠実に守らない者においてリスクが若干高かった。参加者のうち約23%が糖尿病を有し、そのうち3分の2は血糖値の上昇が見られた。さらに、血糖値の高い糖尿病患者はうつ病と関連のある炎症マーカーインターロイキン6も上昇していた。

 

母親が妊娠中に受動喫煙に曝されていた小児はいくつかの精神疾患のリスクが高い可能性がある [2007-07-10]

Children whose mothers were exposed to second-hand smoke while pregnant may have higher risk for some psychiatric conditions

子宮内でタバコの煙にさらされた小児はさらされなかった小児と比較し、いくつかの精神疾患のリスクが高い、とChild Psychiatry and Human Development 5月13日号に掲載された。研究者らは7〜15歳の患者からなる3群を比較した(計171人、主に男子;母親133人)。1番目の群は胎児期に煙への暴露がなく、2番目の群は母親が妊娠中期以降に喫煙しており、3つ目の群は妊娠中期以降に母親が受動喫煙に曝されていた。子宮内で煙に暴露された小児は暴露されなかった子供と比較し、注意欠陥多動性障害や行為障害の症状をより多く有していた。うつ病や不安障害のような気分障害の症状には差がなかった。他のいくつかの因子による補正後もタバコの煙への暴露は前述の2つの行動障害の主たる予測因子であった。

 

高齢の男女に選択的セロトニン再取込み阻害薬を使用すると骨密度低下率が早まる可能性がある [2007-07-03]

Use of selective serotonin reuptake inhibitors may be associated with a faster rate of loss of bone density in older men and women

高齢の男女に選択的セロトニン再取込み阻害薬を使用すると骨密度低下率が早まる可能性がある、とArchives of Internal Medicine 6月25日号に掲載された。あるスタディにおいて、2,722人の女性(平均年齢78.5歳)を平均4.9年間追跡調査した:198人(7.3%)がセロトニン再取込み阻害薬を、118人(4.3%)が三環系抗うつ薬を内服し、2,406人(88.4%)はどちらの薬も内服していなかった。他の因子で補正した結果、 大腿骨の骨密度はセロトニン再取込み阻害薬群において非内服群と比較し0.82%低下し、三環系抗うつ薬内服群においては0.47%低下していた。2つ目の同様のスタディでは5,995人の男性(平均年齢73.7歳)を組み入れた。160人(2.7%)がセロトニン再取込み阻害薬を使用し、99人(1.7%)が三環系抗うつ薬を使用し、52人(0.9%)はトラゾドンを使用していた。大腿骨骨密度はセロトニン再取込み阻害薬内服群の患者で抗うつ剤非内服群よりも3.9%低かった。三環系抗うつ薬またはトラゾドンを内服している患者においては大腿骨および腰椎の骨密度は非内服者と比較し差はなかった。

 

世界的なアルツハイマー病の罹患率は、アジアにおいて不均衡に大量に増加する影響で21世紀中ごろまでに急上昇するであろう [2007-07-03]

Worldwide prevalence of Alzheimer’s disease will soar by mid-century with a disproportionately large increase in Asia

世界的なアルツハイマー病の罹患率は、アジアにおいて不均衡に大量に増加する影響で2050年までに2600万人から約1億600万人にまで増加するであろうと、第二回Alzheimer’s Association International Conference on Prevention of Dementia学会において発表された。現在のデータおよび人口予測を基にしたモデルを開発した研究者らによると、疾患の発症を1年という短い期間遅らせる可能性のある治療により、2050年の症例数を1,200万人減少させるであろうと推定された。同様に疾患の発症および進行を遅らせると2050年の患者数の減少は920万人になるであろう。その理由は疾患の進行が遅延すると早期の症状の患者がより多く生存し続けるためである。最も増加が激しいのは、世界中の患者の48%(1,265万人)が存在するアジアである。アジアにおけるアルツハイマー病患者数は2050年までに59%(6,285万人)を占めるようになると推定されている。

 


 

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