男性のうつ病と自殺
  人格変化と痴呆
  Atomoxetineとアルコール乱用患者
  高齢患者におけるramelteonの効果

 6月12日・19日のDOL NewsはASCO特集のため、Psychiatryニュースは
 お休みさせていただきました。



遺伝子多型によりうつ病の男性のうち抗うつ薬開始後自殺思考や自殺行動をとる者が少ない理由が解明される可能性がある [2007-06-26]

Genetic variations may help explain why a minority of depressed men develop suicidal thoughts and behaviors after beginning antidepressant medication

遺伝子多型により、うつ病の男性のうち抗うつ薬開始後自殺思考や自殺行動をとる者が少ない理由が解明される可能性がある、とArchives of General Psychiatry 6月号に掲載された。研究者らは、U.S. STAR*Dトライアルに参加しcitalopramを最長12週間投与された非精神病性大うつ病性障害と診断された18〜75歳の成人1,447人を評価した。抗うつ効果および自殺に関連すると考えられている蛋白をコードするCREB1遺伝子内またはその近くにある変異を解析した。1,447人中123人(8.5%)が、少なくとも1回のフォローアップの通院時に自殺思考または行動を報告し、そのうち男性の割合は539人中54人(10%)であった。男性において5個中2個の独立したヌクレオチド多型が治療後の自殺行為開始と関連があったが、女性においてはその関係は認められなかった。この結果が確証できれば将来的に、診断時にリスクの高い男性が発見できるようになるであろう。

 

受動的な人格への変化の検査をすることにより早期のアルツハイマー病とLewy小体型痴呆の患者を鑑別できる可能性がある [2007-06-26]

Testing for passive personality changes may help distinguish patients with early dementia with Lewy bodies from those with early Alzheimer’s disease

リスクの高い成人の人格変化から早期のアルツハイマー病とLewy小体型痴呆の鑑別ができる可能性がある、とNeurology 5月29日号に掲載された。研究者らは比較的大きなスタディ中の290人を死亡まで追跡し評価した。最終的に、128例がLewy小体型痴呆、128例がアルツハイマー病を有し、34例は痴呆を有していなかった。診断に結びつく認知障害が発症する数年前にLewy小体型痴呆の患者において、感情的反応の低下、趣味への興味減退および反復行動など受動的な人格への変化が、アルツハイマー病患者の2倍多く認められた。死亡するまでに、Lewy小体型痴呆患者の75%に受動的な人格への変化が認められたのに対し、アルツハイマー病においては45%であった。アルツハイマー病の精神症状の治療に使用する薬物の中にはLewy小体型痴呆の患者においては禁忌なものがあるため、これらの疾患の鑑別は重要である。

 

Atomoxetineはアルコール使用障害を合併する注意欠陥多動性障害患者を安全かつ有効に治療することができる [2007-06-05]

Atomoxetine can safely and effectively treat attention deficit hyperactivity disorder in patients with coexisting alcohol abuse disorder

Atomoxetineはアルコール使用障害を合併する注意欠陥多動性障害(ADHD)の成人患者を安全かつ有効に治療することができる、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。研究者らは147人の成人患者をAtomoxetineまたはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。患者は、無作為化前の少なくとも4日間は禁酒する必要があった。対象者は男性125人および女性22人であった(平均年齢34歳)。主要な評価項目はADHD Investigator Symptom Rating Scale で計測したADHD症状の軽減度であった。12週後、症状はAtomoxetine投与(-13.63点)によりプラセボ投与(-8.31点)よりも有意に軽減した。アルコール乱用再発までの時間は実薬群とプラセボ群で有意な差はなかった。しかし、解析の結果、アルコール多飲の合計日数はAtomoxetineによりプラセボと比較し26%減少し、良好な傾向が認められた。

 

Ramelteonはプラセボと比較し、不眠症の高齢患者の夜半の身体または認知能力を低下させないようである [2007-06-05]

Ramelteon does not appear to impair middle-of-the-night physical or cognitive abilities in older patients with insomnia compared with placebo

Ramelteonは不眠症の高齢患者の夜半のバランス、可動性、または記憶力を低下させないようである、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。週3夜以上の不眠を3ヵ月以上有している65歳以上の成人計33人が、ramelteon 8mg、 ゾルピデム10mg、またはプラセボを就寝30分前に1晩だけ内服する単回投与3期間のクロスオーバー試験を施行した。患者は内服後2時間覚醒し、立位のバランス、回転速度および安定性、記憶力および有害事象についての評価を受けた。プラセボと比較し、ゾルピデムにおいては総合的な機能スコアの有意な低下が認められたが、ramelteonにおいては認められなかった。さらに、ゾルピデムではプラセボと比較し回転時間および即時の記憶再生が有意に障害されていたが、ramelteonにおいてはそのような障害はなかった。有害事象はゾルピデム投与により13人、プラセボおよびramelteon投与ではそれぞれ7人に認められたが、重篤な有害事象は認められなかった。

 


 

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