重症の精神障害を有する成人は精神的に健康な対照と比較し冠動脈疾患や脳卒中で死亡する確率が有意に高いが、がんで死亡する確率は高くない  [2007-02-27]

Adults with severe psychiatric conditions are significantly more likely to die from coronary heart disease and stroke than healthy peers but not from cancer

重症の精神障害を有する成人は精神的に健康な対照と比較し冠動脈疾患や脳卒中で死亡する確率が有意に高い、とArchives of General Psychiatry 2月号に掲載された。研究者らは英国の統合失調症、失調感情障害、および双極性障害の成人46,136人と精神疾患を有さない成人300,426人を抽出し、心血管疾患および最も多い7つのがんによる死亡率を比較した。重症の精神疾患を有する者は全ての年代において冠動脈疾患や脳卒中で死亡する確率が高く、この差は若い患者において大きかった。また、この差は喫煙率や社会的貧困で補正しても不変であったが、抗精神病薬の使用により心血管死のリスクは上昇した。がんによる死亡には同様の差は認められなかった。研究者らは精神科医に、これらの患者の心血管疾患リスクファクターを可能な限り改善するよう呼びかけている。

 

A群溶連菌感染症は自己免疫性神経精神疾患に関連した不随意運動や破壊的行動を増加させる可能性がある [2007-02-27]

Group A streptococcal infection may increase involuntary movements and disruptive behaviors associated with neuropsychiatric autoimmune disorders

小児のA群溶連菌感染症は神経精神疾患に関連した不随意運動や破壊的行動を増加させる可能性がある、とBiological Psychiatry 2月1日号に掲載された。米国の研究者らは、3〜12歳の生徒693人を1年間(8ヵ月)の学校生活の間、毎月一回、延べ観察回数5,000回分評価した。二つ以上の溶連菌感染を有する小児の約26%が異常症状を有していたのに対し、感染していないまたは一つの感染を有する小児においては、その率は17%であった。この感染が実際にこれらの障害の引き金となっていることを断定するためには抗生剤治療の精神症状に対する効果を観察し、抗体が症状と平行して上昇したり低下したりするかを確認する必要がある。精神疾患を有している小児を評価した他の研究者らは過去に、チック、人格変化、不安症や強迫性障害などの兆候や症状はこれらの疾患に罹患しやすい小児が溶連菌に感染することをきっかけに発症する可能性があると仮説を立てていた。

 

小児が欲求不満の時の脳波記録は、小児の双極性障害と重症の気分失調症候群の鑑別を改善する可能性がある  [2007-02-20]

Electroencephalography while a child is frustrated may improve distinction of pediatric bipolar disorder versus severe mood dysregulation syndrome

軽度欲求不満時の小児の脳波記録が、小児の双極性障害と重症の気分失調症候群の診断および治療を改善する可能性がある、とAmerican Journal of Psychiatry 2月号に掲載された。研究者らは、古典的な双極性障害の小児35人、重症の気分失調の小児21人、健康な小児26人(平均年齢12〜13歳)が単純作業を繰り返し行っている間の脳波をとった。同じ作業を行うことにより両患者群はコントロール群よりも、より欲求不満になったが、欲求不満による脳波のパターンが異なった。双極性障害の患者はP3シグナル(目的を持って注意を払う能力を計測する)に異常が認められたが、重症の気分失調の患者はN1シグナル(刺激により注意を喚起された時に生じる)に異常が認められた。これらの異常は両方とも脳の注意力に関連した活動性の欠損を示唆するものであるが、その活動性の時相は異なる。

出生時低体重で虐待を経験した小児は後にうつ病などの精神的な問題を有する確率が有意に高い [2007-02-20]

Children with low birth weight who experience child abuse are significantly more likely to have psychiatric problems such as depression later in life

出生時低体重で虐待を経験した小児は思春期および成人期にうつ病などの精神的な問題を有する確率が有意に高い、とArchives of Pediatric and Adolescent Medicine 2月5日号に掲載された。研究者らは、無作為抽出した米国人の母親1,748人とその子供の、妊娠中からその後(平均26年間)を追跡した研究のデータを調査した:子供は4群に分類した。すなわち、出生時低体重で小児虐待を受けた、出生時低体重のみ、小児虐待のみ、いずれのリスクファクターもなし、である。その結果、出生時低体重でその後虐待を体験した小児は、いずれのリスクファクターもなかったものと比較し、うつ病のリスクが10倍高く社会機能障害のリスクがほとんど9倍増加するなど、いくつかの精神障害のリスクが高かった。しかし、成人期の内科的疾患のリスクは高くはなかった。

 

第二世代の抗うつ薬は急性うつ病に対する効果の点では有意な違いはない様であるが、副作用にはかなりの差がある [2007-02-13]

Second-generation antidepressants do not appear to have significant differences in efficacy against acute depression but side effects do vary widely

一般的に処方される第二世代の抗うつ薬12種を評価した293の研究解析によると、急性うつ病の治療に関しては薬剤間の差はない様であるとの報告が、US Agency for Healthcare Quality Researchによりなされた。比較された薬剤はbupropion、citalopram、duloxetine、escitalopram、fluoxetine、フルボキサミン、mirtazapine、nefazodone、パロキセチン、セルトラリン、トラゾドンおよびvenlafaxineである。約60%の患者が初回の治療に反応を示した。有効性と同様の割合の患者(61%)が、便秘、下痢、めまい、頭痛、不眠、嘔吐などの副作用を少なくとも一つ経験した。筆者らは、患者は治療が不成功であったと結論付ける前に一種類以上の薬剤を試すことが必要であるであろうこと、およびある薬剤で生じた副作用は他の薬剤では生じない可能性があることを記している。

 

臨床試験の解析の結果、リスペリドンは、易刺激性、反復、多動などの自閉症のいくつかの症状に有効である可能性のあることが示唆された [2007-02-13]

Analysis of clinical trials suggests that risperidone may help several aspects of autism including irritability, repetition, and hyperactivity

リスペリドンに関する3つの無作為化臨床試験の解析によると、この薬剤は自閉症スペクトラム障害の様々な行動障害に対して有効である可能性がある、とCochrane Database of Systematic Reviews 2007年版に掲載された。研究の数が少ないこと、結果を評価するのに様々な異なるスケールが用いられていること、および各々の試験サイズそのもののため、研究者らは易刺激性、反復的な動きおよび社会的逸脱の3つの特異的な症状に対し患者がどう反応したかについてしか観察できなかった。体重増加に加え、不随意運動が有意な副作用として認められた。試験期間が短かったため、長期の副作用や有効性については不明である。この3つの試験には211人(成人31人、小児180人)が含まれていた。

 

高齢者に対する選択的セロトニン再取込み阻害薬の使用は、骨密度の低下および転倒の増加などの因子により骨折のリスクを倍にする可能性がある  [2007-02-06]

Selective serotonin reuptake inhibitor use by older adults may double the risk for fractures due to factors including decreased bone mineral density and increased falls

高齢者に対する選択的セロトニン再取込み阻害薬の使用は前腕、大腿骨、および椎骨などの一部の骨折のリスクを倍にする可能性がある、とArchives of Internal Medicine 1月22日号に掲載された。研究者らは50歳以上の成人5,008人の骨密度を計測しその後追跡調査を行った。患者には毎年、ベッドや椅子から転倒して生じたような脆弱性骨折に関してのアンケートを送付した。骨折は全てX線撮影で確認した。選択的セロトニン再取込み阻害薬を毎日内服していると報告したのは137人(平均年齢65.1歳)であった。転倒のリスクは用量依存性に増加し、用量が倍になると転倒のリスクは1.5倍になった。選択的セロトニン再取込み阻害薬の毎日の内服は骨密度低下(大腿骨4%、腰椎2.4% )とも関連があった。骨折リスクの倍増は、骨密度低下や転倒回数の増加などの交絡因子で補正してもなお認められたことから筆者らは、抗うつ薬と骨脆弱性の相互作用には何らかが直接的に影響しているのであろうと考えている。

 


 

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