現在の薬物代謝に関する遺伝子検査が抗うつ薬使用の方針決定を改善すると言える十分なエビデンスはない  [2007-01-30]

There is insufficient evidence to say whether current gene-based tests regarding drug metabolism can improve decision-making regarding antidepressant use

選択的セロトニン再取込み阻害薬の用量を個別化する目的で現在施行されている遺伝子検査は、個々の患者の開始用量に関する方針決定や非精神病的うつ病治療後の臨床予後を改善すると断言できるような十分なエビデンスはない、との新たなエビデンスレポートが二つの米国政府機関から共同で公表された。薬剤代謝を担う遺伝子活性を計測する検査は、大部分は正確であることは示したが、この検査を用いることにより臨床的な測定項目を改善するとの仮説を指示するエビデンスを何も示さなかったことを、研究者らは見出した。評価をした者は、遺伝子検査の妥当性や臨床現場における最良の使用法を確立するためには、厳密なスタディデザインの必要性および予後(薬剤の有効性または副作用)に影響を与えるさらなる遺伝子および環境因子の存在を認めることが必要である点を強調している。

 

慢性頭痛、特に片頭痛を有する女性は反復性頭痛のある女性と比較し大うつ病症状を引き起こしやすい [2007-01-30]

Women with chronic headache, especially migraines, are significantly more likely than women with episodic headache to have symptoms of major depression

慢性頭痛を有する女性は反復性頭痛のある女性と比較し大うつ病症状を引き起こしやすいとNeurology 1月9日号に掲載された。この米国の研究は頭痛クリニックの患者1,032人を組み入れた。593人は反復性頭痛があり(1ヵ月15回未満)、439人は慢性頭痛を訴えた(1ヵ月15回以上)。90%が片頭痛と診断された。慢性頭痛を有する女性は大うつ病症状を訴える確率が4倍高く、活気がない、睡眠障害、めまい、または疼痛などの頭痛に関する症状を訴える確率が3倍高かった。日常生活妨げる片頭痛と診断された患者のうち他の重症の症状の訴えもある場合には、大うつ病の確立は32倍高かった。研究者らは、この発見により、頭痛、身体症状、およびうつ病が中枢神経系のセロトニン活性を介して神経生物学的に関連している可能性がさらに支持されるであろうと述べている。

 

飲酒を10代前半までに開始した人々はその後成人になってからストレスを緩和するために飲酒をするようになる傾向にある  [2007-01-23]

People who start drinking alcohol by their early teenage years are more likely to drink alcohol to relieve stress when they are older

飲酒を14歳以下で開始した成人はストレスを緩和するために飲酒をする確率が高いが、これらの人々はもともとの飲酒量が最も多く健康上のリスクがさらに上昇する、とAlcoholism: Clinical and Experimental Research 1月号に掲載された。研究者らは、2001〜2002年に米国の過去の飲酒者27,000人近くを調査し収集したデータを解析した。前年にあった、ストレスになる様々な事柄に関しての質問がなされた。飲酒を14歳以下で開始した成人はそれぞれのストレスが加わることにより19%ずつ一日の平均飲酒量が増加したのと比較し、初めて飲酒をしたのが18歳以降の者におけるその割合は3%であった。他の因子で補正した結果、ストレスと飲酒量の関係は10歳代前半に飲酒を始めた者においてのみ有意であった。

食事およびサプリメントを介して葉酸を多く摂取している人はアルツハイマー病のリスクが低い [2007-01-23]

Individuals who have higher intakes of folic acid through diet and supplements may have a reduced risk of Alzheimer’s disease

食事およびサプリメントを介して葉酸を多く摂取している人はアルツハイマー病のリスクが低い可能性がある、とArchives of Neurology 1月号に掲載された。研究者らは1992〜1994年に痴呆を有さない米国の成人965人を評価し、彼らを平均6.1年間フォローした。参加者のベースライン時の年齢は平均75.8歳であり、70.2%が女性であった。フォローアップ中に192人がアルツハイマー病を発症した。彼らを葉酸摂取量に基づき4つの群に分け、患者背景、合併症、ビタミンB12およびB6摂取量で補正した結果、アルツハイマー病のリスクは葉酸摂取量のより高い群においてより低かった。食事による葉酸摂取またはサプリメント単独ではいずれもアルツハイマー病のリスクとは有意な関連がなく、両者を組み合わせて摂取することにより効果が生み出されると思われた。

 

非定型抗精神病薬の代謝系副作用のリスクおよび防御因子となる可能性のあるDNAマーカーが同定された [2007-01-16]

Potential DNA markers have been identified for risk and protective factors involved in metabolic side effects of atypical antipsychotic drugs

非定型抗精神病薬の代謝系副作用のリスクおよび防御因子となる可能性のあるDNAマーカーが同定され、とMolecular Psychiatry1月2日号にオンラインで掲載された。研究者らは、オランザピンを服用している患者67人とリスペリドンを服用いている患者101人の遺伝子型を同定した。末梢の脂質ホメオスターシスまたは中枢の食欲制御に関連した13の候補の遺伝子から計29の遺伝子亜型が選別された。その結果、コレステロール代謝遺伝子のある一連の亜型はオランザピンで治療された患者の体重増加と有意に関連があったが、リスペリドンで治療された患者においては関連が認められなかった。逆に、レプチン受容体およびある神経蛋白受容体をコードする食欲関連遺伝子の異なる一連の亜型はリスペリドン治療を受けた患者の体重増加と関連があったが、オランザピンで治療を受けた患者においては関連が認められなかった。性別の影響はリスペリドンにおいて有意であり、これを内服した男性は平均の体重が多かった。

 

ACTIVEスタディの結果、メンタルトレーニングと身体活動は高齢者の認知機能低下を最小限に食い止めるのに役立つことが示された [2007-01-16]

ACTIVE Study shows that mental training and physical activity can help minimize cognitive declines in older adults

メンタルトレーニングは高齢者の認知機能低下を最小限に食い止めるのに役立ち、これにより高齢者の認知機能に対する不安を軽減できる可能性がある、とJournal of the American Medical Association 12月20日号に掲載された。Advanced Cognitive Training for Independent and Vital Elderly (ACTIVE)スタディにおいて、約3,000人の対象者のうち半分が10セッションの認知トレーニングを受け、残りの半分はトレーニングを受けなかった。トレーニングを受けた者は記憶、論証、および処理スピードにおいて短時間のうちに改善を認めた。5年後もその改善は持続していた。他の最近の研究の結果、活動性の低い高齢者は記憶力を計測する検査において成績が悪く、身体活動は記憶力を改善する可能性があることから、筆者らは、医師らが近い将来、個々のリスクファクターに合わせた身体活動や認知トレーニングプログラム(例えばアルツハイマー病のリスクの高い者は記憶力に有効なトレーニングに集中するなど)を組むことが可能となるかもしれないと述べている。

 

軽度の認知障害を有する人々の脳におけるアミロイド沈着を確認することによりアルツハイマー病の発症が明らかになる  [2007-01-09]

Confirmation of amyloid deposits in brains of people with mild cognitive impairment will clarify development of Alzheimer’s disease

新たな脳スキャンにより軽度認知障害を有する人々のアミロイドを同定することができ、この発見により研究者らのアルツハイマー病の追跡や理解が可能になる、とNew England Journal of Medicine 12月21日号に掲載された。研究者らはアミロイドに結合するマーカーを用いてポジトロン断層撮影法を施行した。83人のボランティアのうち25人がアルツハイマー病を、28人が軽度の認知障害を有し、30人はコントロールであった。機能障害のレベルとアミロイド−マーカー複合体レベルには直線的な相関関係が認められた。2年後に12人の患者に対し、新たなマーカーを用いたフォローアップスキャンが施行された。機能障害が進行した患者においては過去のスキャンと比較しマーカー結合の増加が認められた。2回目のスキャンから14ヵ月後に死亡したあるアルツハイマー病患者の死亡解剖の結果、過去にスキャン上マーカーの結合が多く示された領域にアミロイドの沈着が確認された。

 

大規模な前向き研究の結果、電気痙攣療法は永続的な健忘症および有意な認知能力の低下を引き起こすことが示された [2007-01-09]

Large prospective study finds that electroconvulsive therapy causes permanent amnesia and significant loss of cognitive ability

電気痙攣療法は永続的な健忘症および認知機能低下を引き起こす、とNeuropsychopharmacology 1月号に掲載された。この前向き研究では大うつ病またはうつ病性統合失調症患者347人を対象とした。一次予後では回想の遅延および逆行性健忘スコアを計測した。6ヵ月後フォローアップ時のスコアをベースラインのスコアと比較したところ、多くの計測項目が患者全体において有意に低下しており、特に個人的な記憶、最近示された情報の記憶、全体的な認知状態、および単純反応時間が低下していた。一方、非反応時間検査や持続的な実行能力の感受性を評価するものでない検査においては、有意な改善が認められた。電気痙攣療法の技術的な因子が予後に有意な影響を及ぼしており、サインウェイブ刺激および両側の電極配置により、より重症の持続的な能力低下が引き起こされた。

 


 

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