カペシタビンとドセタキセルは、HER-2陽性の腫瘍を有する女性に対するハーセプチンとともに、進行乳がん患者に対し有効で忍容性の高いネオアジュバント療法となりうる、と米国サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された。このphase
II XeNAトライアルは、新たに進行乳がんと診断された、転移が同側の腋窩のみで未治療の評価可能な患者156人を組み入れた。4治療サイクル後の状態を評価する中間解析には134人の有効性が含まれた。HER2陽性患者へのカペシタビン、ドセタキセル、およびハーセプチン投与の、臨床的奏効率は73%であり病理学的奏功率は50%であった。さらに、HER2陰性の患者に対するこの2剤併用療法の臨床的奏功率は76%であり病理学的奏功率は15%であった。HER2陰性腫瘍においてはサイズが6.1から2.8cmに縮小し、HER2陽性患者においては5.6から1.6cmに縮小した。
原発性骨髄線維症の患者に対するエリスロポエチン製剤の使用は白血病化の独立したリスクファクターであるようである、とAmerican Society of
Hematology学会で発表された。研究者らは、1976〜2006年に米国のある大規模な病院で治療を受けた原発性骨髄線維症の患者311人の記録を調査した。平均追跡期間27ヵ月間に白血病化が27例(9%)において認められた。芽球の増加と血小板数減少が独立したリスクファクターであることを確認したのに加え、解析の結果、赤血球造血刺激薬およびホルモン剤ダノクリンの使用も独立したリスクファクターであることが示された。白血病の予測因子ではあるが独立したリスクファクターではないものには貧血、白血球増多および末梢血の単球増加が含まれた。筆者らは、プロスペクティブスタディにより治療と白血病化の関連を確認する必要があると述べている。
First-line治療としてlenalidomideと低用量デキサメタゾンを併用することにより、lenalidomideと標準的な高用量デキサメタゾンの併用よりも多発性骨髄腫患者の全生存期間が明らかに改善する、とAmerican
Society of Hematology学会で発表された。このスタディでは、新たに診断された患者445人に対し、経口薬lenalidomideと高用量または低用量のデキサメタゾンを併用し比較した。その結果、lenalidomideと高用量デキサメタゾン併用群患者の18ヵ月生存率は80%であった。一方、対照の低用量群は18ヵ月生存率が高く(91%)毒性ははるかに低かった。両群間の生存率の差が明らかとなった後、高用量群の患者は他方の低用量治療に切り換えられた。現在lenalidomideと高用量デキサメタゾンの併用は米国において骨髄腫のsecond-lineの治療として承認されている。
クリオアブレーションにより、がんの骨転移を有する患者に長期の有意な疼痛緩和をもたらすことができる、とRadiological Society of North
America学会で発表された。今回のスタディでは、従来の疼痛治療で疼痛コントロールできなかった患者または従来の疼痛治療を拒否した患者34人に対し、クリオアブレーションを用いた。その結果、80%の患者に対し治療後に有意な疼痛軽減がもたらされた。さらに、この治療効果は長期にわたり持続するようであった。施術24週後、患者らは依然として疼痛レベルは低くQOLは高いと報告した。原発がんは大腸がん、腎細胞がん、気管支原性、及び扁平上皮がん、そしてメラノーマおよび他のタイプのがんであった。筆者らは、転移がんに関連した類似の疼痛を有する患者に対するクリオアブレーションと放射線療法の効果を比較する無作為化プロスペクティブトライアルを計画している。
子宮頸がん治療終了3ヵ月後の腫瘍組織内への放射性物質でラベルしたグルコース蓄積を可視化した全身のポジトロンレミッション断層撮影により、治療により完全寛解した患者およびさらに治療の必要な患者を見極めることができるとJournal
of the American Medical Association 11月21日号に掲載された。このプロスペクティブなスタディは、さまざまな様式の放射線及び化学療法で治療された女性92人を対象とした。一次予後は、代謝の改善、無進行生存率、および病因特異的な生存率であった。スキャンの結果、完全な代謝改善は65人(70%)に、不完全改善は15%(16%)に、進行は12人(13%)に認められた。3年間の無進行生存率はそれぞれ78%、33%、及び0%であった。断層撮影による不完全な代謝改善または進行の所見は術前のリンパ節転移の状況よりも生存率の予測因子として優れていた。
前立腺がんの男性において肥満と前立腺特異抗原レベル低値に関連が見られるのは循環血漿量が多いために抗原が希釈されることに起因する可能性がある、とJournal
of the American Medical Association 11月21日号に掲載された。研究者らは根治的前立腺摘除術を施行され米国の3つの病院ベースのデータベースに組み入れられた男性13,684人のデータを解析した。全てのコホートにおいて、BMIの高値は循環血漿量の多さと有意に関係していた。BMIが35以上の男性は標準体重の男性よりも循環血漿量が21〜23%多かった。臨床病理学的変数で補正した結果、全てのコホートにおいてBMIが高いと術前の抗原レベルが低かった。BMIが35以上の男性は標準体重の男性と比較し抗原レベルが11〜21%低かった。筆者らはベースライン時にがんを有さない男性のプロスペクティブスタディを行い、肥満と循環血漿量の前立腺特異抗原に対する臨床上の意義を明らかにする必要性を力説している。
骨髄移植前の全身照射後にcapoten(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)を使用することにより腎臓を含む正常組織の放射線性組織障害が軽減され、意図的なまたは偶発的な被爆に関連した傷害に対する予防法の基礎となる可能性がある、とInternational
Journal of Radiation Oncology, Biology and Physics 10月27日号に掲載された。研究者らは55人の患者(成人52人、小児3人)をアンジオテンシン変換酵素阻害薬またはプラセボ群に無作為に割り付けた。Capotenは白血球減少症を引き起こす可能性があるため投与は照射後3週間経過し骨髄が生着した後に開始された。治療(capotenまたはプラセボ)は移植後1年間継続した。1年後に血清クレアチニン値および糸球体濾過量はいずれもcapoten群において良好であった。さらに、1年後の生存率もcapoten投与群の方が良好であった。全ての傾向は、僅差で統計学的な有意差とならなかった。