独立したスクリーニングとしてのヒトパピローマウイルス検査はパップスメアよりも子宮頸がんのハイリスク患者および子宮頸がんの女性の検出能力が優れている、とNew
England Journal of Medicine 10月18日号に掲載された。このカナダのスタディでは30〜69歳の女性10,000人以上を組み入れ、その結果、ウイルス検出の感度はウイルス検査群の94.6%に対し従来のスメア検査の感度は55.4%であることが示された。ウイルスDNA検査の特異度は94.1%であり、スメア検査のそれは96.8%であった。全ての女性が両方のスクリーニングを受けた。米国ではウイルス検査とスメア検査の同時検査が承認されており、予防のために30歳以上の女性に対しウイルス検査が慣例的に行なわれている。現在のガイドラインでは、ウイルス検査を含むスクリーニングはスメアのみの場合よりも間隔をあけて施行してよいとされている。
前立腺がんの検出能は組織の検体数よりも生検部位に関係しているようである、とJournal of the National Cancer Institute
10月3日号に掲載された。研究者らは前立腺がんの既往のない死亡した男性164人からそれぞれ18の生検組織を得た。Mid-peripheral部位、lateral
peripheral部位、および中心部位からそれぞれ6個の検体を得た。47個(29%)の前立腺がんが発見され、うち20件は組織学的に臨床上有意であった。中心部の生検組織では、他のどちらかの部位または他の両部位の組織で発見されたがんを検出することはできなかった。Midおよびlateral
peripheral部位の生検の感度は53%であった。Mid-peripheral部位の生検の臨床的に有意なまたは有意でないがんを検出する感度はそれぞれ55および11%であり、midおよびlateral
peripheral部位を組み合わせた場合のそれは80%および33%であった。
化学療法にパクリタキセルを追加することにより最も恩恵を受けるのはHER2陽性乳がんの女性であり、一方、エストロゲン受容体陽性だがHER2陰性の腫瘍を有する女性は恩恵を受けにくいようである、とNew
England Journal of Medicine 10月11日号に掲載された。研究者らは組織片を解析し、ドキソルビシンとシクロホスファミドによる治療4クール後にパクリタキセルを使用するスタディに参加した1,500人の女性の記録を評価した。全ての患者がリンパ節転移陽性であった。最初の解析の結果、パクリタキセルにより全体の再発リスクが低下し生存率が改善したことが確認されていた。新たな解析において研究者らは、パクリタキセルによりエストロゲン受容体の状況に関わらずHER2陽性腫瘍患者の生存率が改善したことを明らかにした。しかし、HER2陰性でエストロゲン受容体陽性の患者において生存率改善効果は認められなかった。研究者らは、現在のこの予測上の相関関係はレトロスペクティブな解析でありプロスペクティブではないことを強調している。
初回の大腸内視鏡検査の際に前がん状態のポリープを切除することによりその後の大腸がん期待死亡率が有意に低下する、とAmerican College of
Gastroenterology 学会で発表された。研究者らは3群の患者(1. 初回に切除しなかった、またはフォローアップ大腸内視鏡検査を施行した患者、2.
初回のポリープ切除のみ施行した患者、3. ポリープ切除およびフォローアップ検査を施行した患者)の大腸がん死亡率を予測するため、あるモデルを用いてU.S. National
Polyp Studyのデータを解析した。このモデルは初回検査後最長30年の死亡率を予測するものであった。大腸がん死亡率軽減に対する主な効果はフォローアップ大腸内視鏡検査よりも初回のポリープ切除によりもたらされるとの結果は、National
Polyp Studyのフォローアップ中に進行腺腫発見率が低かったとの結果と一致する。プロスペクティブなトライアルにより大腸内視鏡検査の最も適切な間隔が明らかになる可能性がある。
限局性前立腺がんに対し手術を受けた者は他の治療を選択した者よりも死亡率が低い、とArchives of Internal Medicine 10月8日号に掲載された。研究者らは1989〜1998年にSwiss
registryに組入れられた患者844人全てのデータを解析した。これらの男性のうち158人が前立腺摘出術を施行され、205人は放射線療法、378人は経過観察、72人はホルモン療法、31人は他の治療法を受けた。平均フォローアップ期間は6.7年であった(0〜15.8年)。10年生存率は前立腺摘出術群で83%、放射線療法群で75%、経過観察群で72%、ホルモン療法群で41%、他の治療法群で71%であった。手術群と比較して放射線療法および経過観察群で死亡率が高かったのは、主に70歳未満で低分化がんの患者において死亡率が高かったためであった。
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First BEATトライアルのデータによると、転移性大腸がん患者に対し標準的な治療にbevacizumabを併用することにより転移巣の完全切除の可能性を有意に高めることが示唆された [2007-10-16]
First BEATトライアルの新たなデータによると、転移性大腸がん患者に対し標準的な治療にbevacizumabを併用することにより転移巣の完全切除の可能性を有意に高めることが示唆された、とEuropean
Cancer Conferenceで発表された。このトライアルでは初期の段階では手術不能の患者1,965人を組入れた。First-line治療はフルオロピリミジンを基礎とした化学療法とbevacizumabの併用であった。全体で、解析した1,914人中215人(11.5%)が治療中に治癒を目的とした手術を受けることが可能になった。170人(79%)の患者において転移巣の完全切除(R0)が達成できた。最も成績が良好だったのは肝転移の患者(704人)群であった。この群では102人(14.5%)が治癒を目的とした外科的切除を施行された。
Finasterideは前立腺がんのリスクを軽減するのみならず成長する前立腺がんの早期診断を向上させる可能性がある、とJournal of the National
Cancer Institute 9月18日号に掲載された。今回のスタディは、finasterideは前立腺肥大症に有効であり前立腺がんの発症を25%減少させるとの2003年のトライアルのフォローアップとして施行された。研究者らはfinasteride使用群とプラセボ使用群両者の生検組織を解析し、ホルモンレベルおよび疾患の拡がりを比較し、生検時の前立腺のサイズを比較した。両群の高悪性度腫瘍の生検組織におけるホルモン変化に差はなかった。しかしfinasteride使用者の前立腺はより小さく、これにより、直腸診や生検による進行の速い小さい腫瘍の診断能を改善する可能性がある。Finasteride使用者の生検ではプラセボ使用者のそれよりも、前立腺切除術の際に確認された高悪性度の腫瘍を正確に見分けられる割合が高かった。
冠動脈疾患を有する患者は良性および悪性の大腸腫瘍の有病率が2倍近い可能性がある、とJournal of the American Medical Association
9月26日号に掲載された。冠動脈造影を施行された香港の成人414人のうち、206人が冠動脈疾患を有し208人は有していなかった。大腸の 新生物および進行した病変は冠動脈疾患群においてそれぞれ34.0%と18.4%であり、冠動脈疾患を有さない群(それぞれ18.8%と8.7%)よりもより多く認められた。冠動脈疾患群、冠動脈疾患を有さない群、および対照群のがん有病率はそれぞれ4.4%、0.5%、1.4%であった。冠動脈疾患を有する人々のがんの50%は早期であった。メタボリックシンドロームや喫煙は進行病変および冠動脈疾患の強力な独立した予測因子であるため、筆者らは慢性的な炎症が両疾患の発症に影響しているのではないかと推測している。