乳がんにおける複数のエストロゲンシグナル伝達経路を調節することが確認された遺伝子の発現を鎮静させることにより、腫瘍をエストロゲンに無反応にすることが可能となる [2007-09-25]  
Silencing expression of a gene found to regulate multiple estrogen signaling pathways in breast cancers can make tumors unresponsive to estrogen

乳房組織の複数のエストロゲンシグナル伝達経路を調節する転写因子AP2C遺伝子の発現を鎮静させることにより、乳がんの腫瘍をエストロゲンに無反応にすることが可能になるとCancer Research 9月15日号に掲載された。培地内の腫瘍細胞の試験において、鎮静によりエストロゲン受容体α(タモキシフェンの標的)レベルがベースラインレベルの16%に低下し、また他の下流の遺伝子産物のレベルも有意に低下した。治療された腫瘍細胞はエストロゲンには反応せず、遺伝子を鎮静した乳がん腫瘍を有するマウスの腫瘍の成長は非常に遅かった。現在進行中の研究において、エストロゲン反応性腫瘍の異なるエストロゲンシグナル伝達経路およびこれらの経路の遺伝子の役割、そして臨床のレベルでどのように遺伝子の鎮静が達成できるかを明らかにするよう試みられるであろう。

喫煙者および肺がん患者のnon-randomな染色体の変化を同定する技術により前がん状態の肺領域を診断する根拠が得られる可能性がある [2007-09-11]  
Technique that identifies non-random chromosomal changes in smokers and patients with lung cancer may provide basis for diagnosing precancerous lung lesions

Spectral karyotyping法により喫煙者および肺がん患者のnon-randomな染色体の変化を同定し、前がん状態の肺領域を診断する根拠が得られる可能性がある、とAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 9月1日号に掲載された。研究者らは71人の気管支上皮を調べた:14人は肺がん患者であり、43人は喫煙者で肺がんリスクが高く、14人は喫煙歴のない健常者であった。がん患者および喫煙者は喫煙歴のない者と比較し、染色体異常を有する確率がそれぞれ23および15倍高かった。両群で多く認められた変化は染色体5、7、8、および18の増加であった。結果は蛍光in situハイブリダイゼーション法(包括的ではないが喀痰検体などの間期細胞に適用できる)で確認した。今後の研究によりリスクのある成人を長期追跡し染色体異常の発生とがん発症の関連が明らかにされるであろう。

典型的な欧米食を摂っているstage IIIの結腸がん患者は再発および早期死亡のリスクが高い可能性がある [2007-09-04]  
Patients with stage III colon cancer who eat a typical Western diet may be at increased risk for recurrent disease and early death

典型的な欧米食(赤肉、精製した穀物、高脂肪および精製した砂糖を多く含む食事)を摂っているstage IIIの結腸がん患者は再発および早期死亡のリスクが高い可能性がある、とJournal of the American Medical Association 8月15日号に掲載された。解析は、術後補助化学療法を評価した大規模トライアルの患者1,009人のデータに基づいて行われた。食事内容は化学療法中および化学療法終了後6ヵ月間にアンケートを行って調査した。食事内容は、欧米食またはprudentな食事(果物、野菜、鶏肉、魚類を多く含む食事)のどちらに近いかを元に点数化した。欧米食に最も近い食事をした患者は最も欧米食からかけ離れた食事をした患者と比較し、再発のリスクが3.5倍高かった。生存期間の差は性別、年齢、体重、リンパ節への広がり程度、および身体活動レベルで補正してもなお認められた。

妊娠糖尿病は膵がん発症のリスクを上昇させるようであるが、1型糖尿病は膵がん発症のリスクは上昇させないようである [2007-09-04]  
Gestational diabetes appears to increase risk for developing pancreatic cancer although type 1 diabetes does not appear to increase risk

糖代謝異常のない人々をベースラインとすると、妊娠糖尿病は膵がん発症のリスクを上昇させるようであるが1型糖尿病は膵がん発症のリスクは上昇させないようである、とBMC Medicine 8月16日号に掲載された。1960年代および1970年代に出産したイスラエルの女性37,000人あまりの記録を解析した結果、410人が妊娠糖尿病を示していた。そのうち5人が後に膵がんを発症した(全体54例)。つまり、糖代謝異常のない人々に対する相対リスクは7.1であった。一方、1型糖尿病の女性で膵がんを発症した者はいなかった。妊娠糖尿病を有し膵がんを発症した5人の、妊娠からがん診断までの期間は14〜35年であった。妊娠糖尿病を有した女性は2型糖尿病発症のリスクが高いことが知られている。今回の結果は、非自己免疫性糖尿病は膵がんのリスクファクターであることを示唆しているのであり、膵がんの病因であることを示唆しているわけではない。



 

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