ヒトパピローマウイルスワクチン16/18は既存のウイルス感染には有効ではないようであり、予防のみに使用すべきである [2007-08-28]  
Human papillomavirus-16/18 vaccine does not appear to be effective in treating women with pre-existing viral infection and should be used for prevention only

ヒトパピローマウイルスワクチン16/18は既存のウイルス感染には有効ではないようであり予防のみに使用すべきである、とJournal of the American Medical Association 8月15日号に掲載された。研究者らは、DNA陽性の18〜25歳の女性2,189人を6ヵ月にわたり、3種類の用量のパピローマウイルスワクチン接種(1,088人)または対照のA型肝炎ウイルスワクチン群(1,101人)に無作為に割り付けた。6ヵ月後の受診時にクリアランス率はパピローマウイルス群で33.4%、対照群で31.6%であった。12ヵ月後の受診時のクリアランス率はそれぞれ48.8%と49.8%であった。ウイルス量などの感染指標別の解析、および性交初体験時の年齢、経口避妊薬使用、および喫煙などの人口統計学的解析でも効果は認められなかった。クラミジアや淋病などの併存する感染症別に解析しても効果は認められなかった。

腎明細胞がん内にしばしば潜在する遺伝子を再活性化させることにより、腫瘍の成長抑制や消失さえ可能であるとの結果がin vitroおよび動物モデルで得られた [2007-08-28]  
Restoration of a gene that is frequently silenced in clear cell renal carcinoma can suppress growth or even eliminate tumors in vitro and in animal models

腎明細胞がん内でしばしば機能的に不活性化された遺伝子を再活性化することにより、腫瘍の成長の抑制や消失させることさえ可能であるとの結果が、in vitroおよび動物モデルで得られたとClinical Cancer Research 8月15日号に掲載された。研究者らはFrizzled-Related Protein-1 (sFRP1)の遺伝子活性化によりWntシグナル伝達経路内の13の腫瘍促進遺伝子の活性を抑制することを発見した。3例の異なる組織検体を解析した結果、RNAおよび蛋白レベルの大幅なダウンレギュレーションが認められた。39人の患者の検体においてがん検体の70%がsFRP-1蛋白の完全な欠失を示しており、30%は対照の健常組織と比較し蛋白レベルが非常に少なかった。ヒト腎がん細胞にsFRP1遺伝子を導入しin vitroで活性化させることにより、がん細胞の成長が90%以上抑制された。マウスにおいては、7週間遺伝子活性化をさせた腫瘍は大きさが無治療マウスの腫瘍の平均3%であった。多くのマウスにおいて腫瘍は完全に消失した。

低強度の電場はin vitroでがん細胞の分裂を途絶させ、あるパイロット臨床試験において多型性神経膠芽腫の治療に有望であることが示された [2007-08-21]  
Low-intensity electric fields disrupt division of cancer cells in vitro and show promise against glioblastoma multiforme in a pilot clinical trial

低強度の電場はin vitroでがん細胞の分裂を途絶させ、あるパイロット臨床試験において多型性神経膠芽腫の治療に有望であることが示された、とPhysics Today誌8月号に掲載された。In vitroの研究の結果、低強度の電場であっても紡錘体を重度に傷害し細胞分裂を遅らせるまたは停止させることが示された。この臨床試験においては、再発性多発性神経膠芽腫の患者10人が頭皮の電極から発生させた200-kHzの電場で1日最高18時間の治療を受けた。無増悪生存期間は試験群(中央値26週間)において過去の期間(10週間)よりも有意に長く、生存期間も同様であった(中央値、62週間対30週間)。さらに、10人中3人が治療開始後2年間生存した。化学療法を受けるコントロール群を設けたトライアルが現在準備されており、研究者らは電場治療と低用量化学療法の組み合わせの可能性を調査している。

米国において、過去10年間のがん発症率は安定して低下しているにもかかわらず同じ期間中のメラノーマの発症率は1年につき1%以上上昇している [2007-08-21]  
Incidence rate of melanoma in the USA has risen by more than 1 percent per year over the past decade despite steady decrease in overall cancer rate over the same period

米国において、過去数10年間のがん発症率は安定して低下しているにもかかわらず同じ期間中のメラノーマの発症率は1年につき1%以上着実に上昇している、とAmerican Academy of Dermatology’s Summer Academy Meetingで発表された。1995〜2004年のデータ解析の結果、がん全体は着実に年間0.6%低下しているのに比べ、メラノーマは年間1%以上上昇していることが示された。メラノーマの増加は年齢に特異的ではないが最も若い年齢群(15〜30歳)において認められた。若い人たちの中で、16〜18歳の人々は11〜13歳および14〜15歳と比較し、報告された日焼けの回数が多かったのを含め、より日焼けをしていた。筆者らは、青年期の少年少女らは親の監視が行き届かない年齢に達しているため日焼け防止策が不十分であろうと推測しており、教育の焦点の一つはおおよそ15歳以下の子供には個々に皮膚の防御の重要性を教えることである、と提案している。

強度変調放射線治療を施行された早期乳がん女性は従来の治療法を受けた対象者と比較し副作用が有意に少ない [2007-08-14]  
Women with early-stage breast cancer who receive intensity modulated radiation therapy have significantly fewer side effects than peers who receive traditional therapy

強度変調放射線治療を施行された早期乳がん女性は従来の治療法を受けた対象者と比較し副作用が有意に少ない、とInternational Journal of Radiation Oncology * Biology * Physics 8月1日号に掲載された。研究者らは172人の女性を評価した:54%は強度変調療法を受け(テスト群)、一方46%は楔フィルタを用いた標準的な放射線療法を受けた(コントロール群)。テスト群はコントロール群と比較し乳房に関連した副作用を訴える率が有意に低かった。強度変調療法を受けた患者のうち顕著な皮膚炎を発症した患者は41%であったのに対しコントロール群におけるその割合は85%であった。乳房の浮腫を生じたのはテスト群でわずか1%であったのに対しコントロール群では28%であった。重度の色素沈着はテスト群では5%に、コントロール群では50%に認められた。疼痛については両群ともに8%の患者が訴えた。

転移性大腸がん患者を対象としたphase IIトライアルにおいて標準的化学療法に、がん治療ワクチンを追加することで有望な結果が認められた [2007-08-14]  
Addition of a therapeutic cancer vaccine to standard chemotherapy shows promise in a phase II trial of patients with metastatic colorectal cancer

転移性大腸がん患者を対象としたphase IIトライアルにおいてFOLFOX併用化学療法に、がん治療ワクチンを追加することにより有望な結果が認められた、とClinical Cancer Research 8月1日号に掲載された。調整ワクシニアAnkara-エンコーディング 5T4ワクチンは5T4遺伝子(大腸がんを含む多くのがんで大量に発現するが正常組織では発現しない蛋白)を伝達させるために、弱毒化生ワクチンウイルスを用いた。ワクチンを投与された(化学療法前、中、後に計6回注射した)17人の患者中、11人において5T4腫瘍蛋白に対し強く奏効を示した。11人中6人が部分奏効を、1人が完全奏効を得た。全生存期間中央値は予後評価項目として予定されていなかったが、研究者らはワクチン群17人の平均生存期間は68週間であり予定された6回のワクチン投与を全て施行した患者におけるそれは118週間であったと記している。

小児急性リンパ性白血病の成人生存者の多くは、肥満や心血管疾患のリスクを軽減する十分な身体活動を行っていない [2007-08-07]  
Many adult survivors of childhood acute lymphoblastic leukemia do not get sufficient physical activity to decrease risks for obesity and cardiovascular disease

小児急性リンパ性白血病の成人生存者は肥満や心血管疾患のリスクが高いが、彼らの多くがこれらのリスクを軽減するシンプルな生活習慣を避けているようである、とCancer Epidemiology, Biomarkers, & Prevention 7月号に掲載された。研究者らは、18〜44歳の急性リンパ性白血病の成人生存者2,600人以上の活動レベルと一般人口のそれとを比較した。頭部放射線療法を受けた者は一般人口よりも活動性が低く女性は対照と比較し活動性が半分であった。頭部放射線療法は、肥満の誘引となる中枢神経系の作用があり身体活動をさらに困難とするため、最近は施行頻度が低下している。筆者らは医師らに、成人には運動を推奨し現段階で白血病治療中の患者には将来の健康上のリスクを最小とするための生活習慣の選択が重要であると説明するよう呼びかけている。

南アメリカに生息する木の樹皮から得られた化学物質は非小細胞肺がんを含むいくつかのがん治療に有望である [2007-08-07]  
A compound derived from the bark of a South American tree shows promise against several cancers including non-small cell lung cance

タキサンの産生と同時に行われた研究において、研究者らは南アメリカに生息する木の樹皮から得られた新たな化学物質は非小細胞肺がんを含むいくつかのがん治療に有望である、とProceedings of the National Academy of Sciences 7月10日号に掲載された。今回のbeta-lapachoneを用いた研究で彼らは、この化学物質は、非小細胞肺癌の85%および他のいくつかの固形癌で過剰発現するが正常細胞では過剰発現しないNQO1という酵素により代謝され、その結果DNA修復を傷害し正常細胞ではなくがん細胞を選択的に死なせることを明らかにした。短時間の放射線療法でもin vitroのbeta-lapachone療法の効果が劇的に増強されるようであった。現在膵がん患者に対するphase Iトライアルが進行中である。

 


 

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ
Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.