マイクロRNA配列の発現パターンにより慢性膵炎と膵臓がんを鑑別したりがん患者の生存期間を予測したりできる可能性がある、とJournal of the
American Medical Association 5月2日号に掲載された。研究者らは膵臓の管状腺がん患者65人および慢性膵炎患者42人の組織検体を解析した。切除したがんおよび隣接した正常組織そして慢性膵炎の組織からRNAを採取した。その結果、彼らはがんと正常組織または慢性膵炎を95%の精度で鑑別するマイクロRNA(非コード)の配列および、24ヵ月以上生存するがん患者と24ヵ月以内に死亡する患者を鑑別する6つのRNA配列のサブグループを同定した。編集局は、このような発見は重要であるが、個々のがんの発生を理解し生物学的習性に基づくような治療戦略を進歩させる最初のステップに過ぎない、と述べている。
CT(コンピュータ断層撮影)コロノグラフィは高齢者において忍容性が良好であり、憩室を有し結腸冗長性であってもほとんどの患者においてうまく腸全体の撮影ができる、とAmerican
Roentgen Ray Society学会で発表された。60歳以上の患者42人中29%は大腸内視鏡検査が禁忌であるため、71%は大腸内視鏡検査が不完全に終了したため(ほとんどが憩室を有し結腸冗長性であるため)CTコロノグラフィを施行された。その結果90%の患者において合併症なく腸管全体の撮影ができた。全体で93%が大腸造影上憩室やポリープなどの陽性所見を有していた。大腸以外の所見も多く認められた:62%の患者はさらなる放射線撮影検査を必要とする所見を有し、25%は内科的または外科的処置を必要とした。
白血病またはリンパ腫に対しステロイドを投与されている小児において大腿骨頭の変質劣化が30%以上ある場合、骨頭の圧潰および数年以内の再建術が必要となるリスクが高い、とJournal
of Clinical Oncology 4月20日号に掲載された。研究者らは、大腿骨頭壊死症を発症した患者80人のカルテと核磁気共鳴画像を再評価した。初回診断から大腿骨頭壊死までの期間中央値は1.7年であったが、この期間の幅は広く0.1〜17.5年であった。計23人(29%)が36個所の股関節の関節形成術を受けた(手術時年齢中央値20.1歳)。診断時の大腿骨頭の骨壊死の割合が、唯一手術を要する骨頭の圧潰を予測する因子であった。これらの股関節の80%が2年以内に圧潰し、半数は関節形成術を必要とした。
肺がんのリスク予測に標準的なデータを用いることが可能である、とJournal of the National Cancer Institute 5月2日号に掲載された。研究者らは患者1,851人と2,001人のコントロールのデータを評価した。集団の数が大きいことの一つの利点は、モデルを作成するための群および評価し確認する群の2つの群をもつことができた点である。このスタディの限界は白人を基本とした患者集団のみしか入っていないことである。危険因子については、一度も喫煙したことのない人では、受動喫煙およびがんの家族歴であった。現在および過去の喫煙者では、肺気腫および粉塵への暴露であった。過去の喫煙者ではたばこを止めたときの年齢およびがんの家族歴であり、現在の喫煙者ではアスベスト暴露、喫煙量、および喫煙に関するがんの家族歴であった。予測能力は60%であり、乳がんリスクのGailモデルに匹敵するものであった。
閉経前の女性において自然流産または人工中絶のいずれもが乳がんのリスクではないようである、とArchives of Internal Medicine
4月23日号に掲載された。研究者らは、US Nurses' Health Study II(1993年のベースライン時年齢29〜46歳)に参加した女性の一部の105,716人のデータを解析した。参加者は2003年まで2年ごとに、自然流産または人工中絶を経験したか、経験した場合はそれが何歳のときであったかについての質問に回答し、乳がんのリスクファクターおよび診断についての情報を提供した。計16,118人(15%)の女性が人工中絶の経験があると回答し、21,753人(21%)が流産を経験したと回答した。1993年から2003年の間にこれらの女性のうち1,458人が新たに乳がんを発症した。今回のスタディの結果は、2003年に報告された、National
Cancer Instituteの召集した国際専門家委員会が中絶と乳がんの関連の可能性について調査したスタディの結果と同様であった。
原発性消化管間質腫瘍完全切除後のイマチニブ投与は手術単独群と比較し再発のリスクを低下させる、とAmerican College of Surgeons
Oncology Group (ACOSOG)の研究者により発表された。このスタディは無再発生存期間を延長させるという主要エンドポイントを満たしたため、ACOSOG
Z9001トライアル監修委員会は、最近行われた中間解析の結果を公表することを推奨した。つまり、術後1年間イマチニブを投与された患者の97%が再発しなかったのに対し、術後1年間プラセボを投与された患者におけるその割合は83%であった。この解析は原発性腫瘍の径が3cm以上であり腫瘍を完全切除された患者600人以上のデータに基づいており、1日400mgのイマニチブまたはプラセボを1年間投与する群に無作為化した。これら2群間における全生存期間に差はみられなかった。