上皮細胞増殖因子受容体を阻害する新たな薬剤は前立腺がん再発患者の生存期間延長に有望である [2007-02-27]  
A new agent that blocks epidermal growth factor receptors shows promise in prolonging survival of patients with recurrent prostate cancer

HER2上皮細胞増殖因子受容体を阻害する新しい種類の薬剤のひとつであるpertuzumabは前立腺がん再発患者の生存期間延長に有望である、とJournal of Clinical Oncology 2月20日号に掲載された。化学療法後に進行した難治性前立腺がん患者計41人を疾患が再度進行するまで3週ごとに治療した。画像検査と前立腺特異抗原レベルを治療中の腫瘍の評価に用いた。腫瘍の縮小や抗原レベル低下の認められた患者はいなかったが、レトロスペクティブな解析の結果、この薬剤を用いた場合の生存期間は16.4ヵ月であったのに比べて、ベースライン時の予後因子が同様であったヒストリカルコントロールの生存期間中央値は10.7ヵ月であった。無作為化プロスペクティブトライアルにより、この新たな抗体が現在行われている治療よりも、有意に長期に渡りこれらの患者により高いQOLを供給できるかが評価されるであろう。

ある強力な二つの遺伝子検査により消化管間質腫瘍と食道平滑筋肉腫をほぼ完全に正確に鑑別できることが示された [2007-02-27]  
A powerful two-gene test shows near perfect accuracy in distinguishing gastrointestinal stromal tumor from leiomyosarcoma

ある強力な二つの遺伝子検査により消化管間質腫瘍(GIST)と食道平滑筋肉腫をほぼ完全に正確に鑑別できることが示された、とProceedings of the National Academy of Sciences (USA)オンライン版early editionに掲載された。研究者らは全ゲノムマイクロアレイを用いて、68の腫瘍の遺伝子発現を計測し、可能性のある対の遺伝子全ての発現を解析する、Top Scoring Pair解析と呼ばれる方法で解析した。その結果から二つの遺伝子の発現比を基本とし、がんを分類した。OBSCN遺伝子がC9orf65遺伝子よりもRNAをより発現している場合はその腫瘍は消化管間質腫瘍であった。C9orf65がより多く発現していると、腫瘍は食道平滑筋肉腫であった。この検査はマイクロアレイを行った腫瘍68個中67個を正確に鑑別した。二つの遺伝子のさらに正確な計測法を用いた追加検査は、もとの検体20個(鑑別不能であった検体も含む)と19の別の検体を100%正確に鑑別した。

永久放射線シード埋め込み術による適切な治療を受けた大多数の男性は8年後に前立腺がんが治癒している [2007-02-20]  
The vast majority of men who receive appropriate therapy with permanent radiation seed implants are cured of prostate cancer eight years later

適切な密封小線源療法にて初期段階(T1-T2)の前立腺がんの治療を受けた大多数の男性は診断から8年後には治癒している、とInternational Journal for Radiation Oncology Biology Physics 2月1日号に掲載された。研究者らは、密封小線源療法のみで治療された患者2,700人を8年以上追跡した。データ解析の結果、前立腺の90%に少なくとも130Gyの照射(D90 )を受けた患者の93% が8年後に治癒していたことが示された。治療後の前立腺特異抗原が0.5ng/mL以下の低レベルであることと、長期無病生存率に永続性のあることは特に関連があった。長期予後に影響する唯一の調整可能な因子はD90(埋め込みのクオリティを反映したもの)であった。他の予測因子はGleasonスコアと術前の前立腺特異抗原レベルであった。

再発した薬剤感受性の高い小細胞肺がん患者に対するglufosfamideの治療効果を評価するPhase II試験が始まっている。 [2007-02-20]  
Phase II trial is beginning to evaluate use of glufosfamide treatment for patients with recurrent, sensitive small cell lung cancer

Glufosfamideの開発者によると、再発した薬剤感受性の高い小細胞肺がん患者に対するこの薬剤の治療効果を評価するPhase II試験の患者登録が開始されるとのことである。この試験に参加できる患者はファーストラインの化学療法を完了した後、最低60日経過してから疾患の進行を認めた者である。このオープンラベル試験の患者はglufosfamide 5,000mg/m2を3週ごとに最高6クール投与される。この試験では、患者登録を完了する意義を明らかにするために、十分な奏効率が得られるかを2段階のデザインで確実にする。第1段階では21人の患者を登録し、3人未満の患者が奏効である場合は試験を中止する。もし3人以上奏効した場合は、追加で29人に投与する。有効性の一次エンドポイントは客観的な奏効率であり、二次エンドポイントは奏効までの期間、無病生存期間、全生存期間、および様々な安全性と薬物動態的指標である。

国際ワーキンググループにより作成された新たなガイドラインは、治療に対する反応を評価する一定のクライテリアを規定しリンフォーマのトライアルの結果を比較している [2007-02-13]  
New guidelines developed by an international working group provide uniform criteria to evaluate response to treatment and compare results of lymphoma trials

全てのリンフォーマに対する新たなガイドラインにより、医師らは治療に対する反応を評価する一定のクライテリアを得ることができ、またこのガイドラインには臨床試験のデータを分析したものが掲載されている、とJournal of Clinical Oncology 2月10日号に掲載された。このInternational Harmonization Projectによる新たなガイドラインは、1999年に出版されたものを基盤としている。免疫組織化学や陽電子放射断層撮影(PET)の使用が増加したことなど、その後の臨床手技の進歩が今回のガイドライン改正のきっかけとなった。今回のガイドラインは、陽電子放射断層撮影法を用いた機能画像を臨床所見、血液検査、およびレントゲン画像を用いた従来の治療効果評価に正式統合した、がん領域における初めてのガイドラインである。新たな画像法を導入することにより、治療に対する反応性を評価する医師らは瘢痕組織とリンフォーマをより多く鑑別することができ、多くの患者に対して寛解か残存病変があるかを診断するのにより良い根拠が提供されるであろう。

乳がんに対し顆粒球または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を投与された女性は骨髄異形成症候群のリスクが高い可能性がある [2007-02-13]  
Women with breast cancer given granulocyte- or granulocyte-macrophage colony stimulating factor may be at increased risk for myelodysplastic syndrome

乳がんに対し顆粒球または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を投与された女性は急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群のリスクが高い可能性がある、とJournal of the National Cancer Institute 2月7日号に掲載された。米国の研究者らは1991〜1999年に治療された65歳以上の女性5,510人を同定した。計906人(16%)が、いずれかまたは両方の刺激因子を投与されていた。刺激因子を投与された906人中16人(1.77%)がいずれかの血液疾患を発症した;刺激因子を投与されなかった女性4,604人中、血液疾患を発症したのは48人(1.04%)であった。いずれかのコロニー刺激因子を投与された女性は、投与されなかった女性と比較し血液疾患を発症するリスクが2倍であった。筆者らは今回の結果を確認するさらなる研究が必要であるとしており、もし根拠が明らかとなった場合には、化学療法中に刺激因子の使用を決定する際にはこのリスクもさらに考慮すべきであろうと述べている。

オキサリプラチンを基本とした化学療法へのbevacizumabの併用をファーストラインの治療とすることで、転移性大腸がんの無増悪生存期間が改善する [2007-02-06]  
Addition of bevacizumab to oxaliplatin-based chemotherapy as first-line treatment for metastatic colorectal cancer improves progression-free survival

オキサリプラチンを基本とした化学療法へのbevacizumabの併用をファーストラインの治療とすることで転移性大腸がんの無増悪生存期間が改善する、と2007年Gastrointestinal Cancers Symposium(消化器がんシンポジウム)で発表された。このPhase IIIトライアルでは、カペシタビンとオキサリプラチンの併用療法(XEROXとして知られる)またはフルオウラシル、ロイコボリン、およびオキサリプラチンの併用療法(FOLFOX4として知られる)を受けている患者1,401人をbevacizumabまたはプラセボを加える群に無作為に割り付けた。その結果、化学療法にプラセボを追加した群の無増悪生存期間は8.0ヵ月であったのに対し、化学療法にbevacizumabを追加した群のそれは9.4ヵ月であった。全体的な副作用は両群間で差はなく、主にオキサリプラチンを基本とした化学療法によるものであった。

オキサリプラチンは放射線照射線量または手術施行可能性に影響することなく、直腸がんの術前化学療法に追加することが可能である [2007-02-06]  
Oxaliplatin can be added safely to a preoperative chemoradiation regimen for rectal cancer without affecting radiation dose or ability to perform surgery

イタリアのスタディにおける初回データから、オキサリプラチンは放射線照射線量または手術施行可能性に影響することなく直腸がんの術前化学療法に追加することが可能であることが示された、と2007年Gastrointestinal Cancers Symposium(消化器がんシンポジウム)で発表された。今回の結果は最初の患者250人(約半数の患者は標準的な術前5フルオウラシルと放射線療法を受け、残りの半数は標準的な化学療法とオキサリプラチンの併用療法を受けた)の予備的な安全性データを示したものである。オキサリプラチンはより重篤な急性毒性を頻繁に引き起こすが、今回は予想外の主だった有害事象は生じなかった。重症の(グレード3または4)下痢がやや多かった以外は、治療プログラムを大幅に変更する必要があるほど重篤な副作用はなかった。このトライアルは現在も患者を組み入れ中であり、いずれは腫瘍反応性、無増悪および全生存率に対するオキサリプラチンの効果が解析されるであろう。

Phase IIトライアルの結果、膵がん治療目的のワクチンは術後化学放射線療法に併用した場合有益である可能性のあることが示唆される [2007-02-06]  
Phase II trial results suggest that therapeutic vaccine for pancreatic cancer may be beneficial when given with postoperative chemoradiotherapy

Phase IIトライアルの結果、膵がん治療目的のワクチンは術後化学放射線療法に併用した場合有益である可能性のあることが示唆される、と2007年Gastrointestinal Cancers Symposium(消化器がんシンポジウム)で発表された。この米国のスタディでは60人の患者が含まれ、それぞれのがんは、組織、血管、リンパ節の近くに広がっている。患者は初回のワクチンを術後8〜10週に接種され、その後化学放射線療法を受けた。化学放射線療法後1ヵ月間無増悪であった患者はさらに1ヵ月に1回のワクチンを3ヵ月にわたり接種され、6ヵ月後に5回目の増強治療のための接種を受けた。1年生存率は88%であり、2年生存率は76%であった。追跡期間中央値3年の結果、生存期間中央値は26ヵ月であった。今回の解析では、ワクチン治療を受けた患者とアジュバント化学療法を受けた患者を比較した。前向き無作為化トライアルにより、化学放射線療法およびワクチンの併用と化学療法のみを比較するであろう。

ゲムシタビンへのbevacizumabの追加はゲムシタビン単独と比較し進行膵がんの生存率を改善しないようである [2007-02-06]  
Addition of bevacizumab to gemcitabine does not appear to improve survival compared with gemcitabine alone for patients with advanced pancreatic cancer

進行膵がんに対するPhase IIIトライアルの予備結果によると、ゲムシタビンへのbevacizumabの追加はゲムシタビン単独と比較し進行膵がんの生存率を改善しないようであることが示唆される、と2007年Gastrointestinal Cancers Symposium(消化器がんシンポジウム)で発表された。このトライアルでは転移性または局所進行膵がんの患者602人をゲムシタビンとbevacizumabの併用またはゲムシタビンとプラセボの併用群に無作為に割り付けた。二群間では、性別、年齢、病期、performance statusの点で均等であった。全生存期間の中央値は、bevacizumab併用群で5.7ヵ月であったのに対し、プラセボ併用群では6.0ヵ月であり有意差はなかった。両群間で副作用に差はなかった。Bevacizumabを併用された患者においては高血圧を有する確率が高く、腸管穿孔や消化管出血発生率がやや高かった。今回の解析は、bevacizumabの併用が有益な可能性のある患者群があればそれを同定しようと試みているものである。

 
 


 

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