HER2上皮細胞増殖因子受容体を阻害する新しい種類の薬剤のひとつであるpertuzumabは前立腺がん再発患者の生存期間延長に有望である、とJournal
of Clinical Oncology 2月20日号に掲載された。化学療法後に進行した難治性前立腺がん患者計41人を疾患が再度進行するまで3週ごとに治療した。画像検査と前立腺特異抗原レベルを治療中の腫瘍の評価に用いた。腫瘍の縮小や抗原レベル低下の認められた患者はいなかったが、レトロスペクティブな解析の結果、この薬剤を用いた場合の生存期間は16.4ヵ月であったのに比べて、ベースライン時の予後因子が同様であったヒストリカルコントロールの生存期間中央値は10.7ヵ月であった。無作為化プロスペクティブトライアルにより、この新たな抗体が現在行われている治療よりも、有意に長期に渡りこれらの患者により高いQOLを供給できるかが評価されるであろう。
ある強力な二つの遺伝子検査により消化管間質腫瘍(GIST)と食道平滑筋肉腫をほぼ完全に正確に鑑別できることが示された、とProceedings of
the National Academy of Sciences (USA)オンライン版early editionに掲載された。研究者らは全ゲノムマイクロアレイを用いて、68の腫瘍の遺伝子発現を計測し、可能性のある対の遺伝子全ての発現を解析する、Top
Scoring Pair解析と呼ばれる方法で解析した。その結果から二つの遺伝子の発現比を基本とし、がんを分類した。OBSCN遺伝子がC9orf65遺伝子よりもRNAをより発現している場合はその腫瘍は消化管間質腫瘍であった。C9orf65がより多く発現していると、腫瘍は食道平滑筋肉腫であった。この検査はマイクロアレイを行った腫瘍68個中67個を正確に鑑別した。二つの遺伝子のさらに正確な計測法を用いた追加検査は、もとの検体20個(鑑別不能であった検体も含む)と19の別の検体を100%正確に鑑別した。
乳がんに対し顆粒球または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を投与された女性は急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群のリスクが高い可能性がある、とJournal
of the National Cancer Institute 2月7日号に掲載された。米国の研究者らは1991〜1999年に治療された65歳以上の女性5,510人を同定した。計906人(16%)が、いずれかまたは両方の刺激因子を投与されていた。刺激因子を投与された906人中16人(1.77%)がいずれかの血液疾患を発症した;刺激因子を投与されなかった女性4,604人中、血液疾患を発症したのは48人(1.04%)であった。いずれかのコロニー刺激因子を投与された女性は、投与されなかった女性と比較し血液疾患を発症するリスクが2倍であった。筆者らは今回の結果を確認するさらなる研究が必要であるとしており、もし根拠が明らかとなった場合には、化学療法中に刺激因子の使用を決定する際にはこのリスクもさらに考慮すべきであろうと述べている。