Phase IIIトライアルの結果、S-1を用いた術後化学療法は手術単独と比較し胃がん患者の全生存率を改善することが示された [2007-01-30]  
Phase III trial shows that postoperative chemotherapy with S-1 improves overall survival of patients with gastric cancer compared with surgery alone

治験薬S-1を用いた術後化学療法は手術単独と比較し胃がん患者の全生存率を改善することが示された、と2007年Gastrointestinal Cancers シンポジウムで発表された。日本のPhase IIIスタディで、1,059人の患者を術後単剤化学療法または治癒的D2手術単独を受ける群に無作為に割り付けた。病期(日本の分類)はIIまたはIIIであった。一次エンドポイントは全生存率である。1年後の中間解析を施行したところ、群間の生存率の差はトライアルを中止するに値する著名なものであった。3年後、全生存率は化学療法群で80.5%であったのに対し手術単独群では70.1%であった。化学療法による副作用は稀であり、全体の毒性プロファイルは現在北米およびヨーロッパで施行されているアジュバント化学療法よりも良好であった。

肝細胞がん患者の生存率は初期の局所療法の選択に影響される [2007-01-30]  
Survival rates for patients with hepatocellular carcinoma are associated to some extent with choice of primary local treatment

肝細胞がん患者の生存率は、ある程度治療法の選択に影響されると2007年Gastrointestinal Cancers学会で発表された。今回の解析では46,065人の米国人患者のデータを用いた。腫瘍サイズおよびグレード、疾患の分布程度、患者の年齢と性別、および局所の初期治療などの予後因子を多変量解析にて評価した。既知の因子で補正した結果、5年全生存率は肝移植を受けた患者では67%であり、肝亜全摘術を施行された患者では38%、焼灼術を施行された患者では19%、そして治療を受けなかった患者は3%であった。研究者らは、患者の慢性肝疾患、術前の肝機能、または全体的な健康状態については把握できなかったが、より広範な治療に耐えられる患者は肝臓を全摘出し移植を受けるべきであるとの意向を述べている。

いくつかの特異的な遺伝子変異が頭頸部の喫煙関連皮膚がんの発症と関連しているようである [2007-01-23]  
Several specific genetic mutations appear to be associated with development of smoking-related skin cancers of the head and neck

いくつかの特異的な遺伝子変異が頭頸部の喫煙関連皮膚がんの発症と関連しているようである、とJournal of the American Medical Association 1月10日号に掲載された。口腔内および中咽頭腫瘍、または下咽頭腫瘍患者122人の腫瘍上皮および周囲組織が分離された。これらの組織は全ゲノム解析に用いた。喫煙者の組織は非喫煙者のそれと比較し、ゲノム変異の程度が高かった。ある特異的な5つの遺伝子座において腫瘍の悪性度には相関が認められた。3つの組織特異的遺伝子座は腫瘍のサイズおよび領域リンパ節転移と関連があった。さらに、2つの特異的な変異はリンパ節転移および臨床ステージと正の相関があった。

基底上皮細胞乳がんにおいてある細胞骨格蛋白が過剰発現していることから、それをバイオマーカーとして使用でき早期診断および治療に結びつく可能性がある [2007-01-23]  
Overexpression of a certain structural protein by basal epithelial breast cancer tumors may lead to its use as a biomarker to allow earlier diagnosis and treatment

細胞骨格蛋白ネスチンは基底上皮細胞乳がんと高度に関連しているようであり、研究者らがそれを選択的バイオマーカーとして使用できるようになり早期診断や初回治療後患者のモニターの手段となる可能性がある、とCancer Research 1月15日号に掲載された。この基底上皮細胞乳がんは全ての乳がん患者の17〜37%を占め、発症年齢が低いことおよび治療から再発までの時間が短いことで知られている。エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、およびHer2を有さない乳がん腫瘍を用いたレトロスペクティブ研究において研究者らは、16個の腫瘍中14個においてネスチンの量が極端に多いことを見出した。遺伝性のBRCA1変異と基底細胞乳がんが関連していることを示した他の研究と一致することから、今回の研究の研究者らはこれらの腫瘍においてもネスチンレベルが高いことを見出した。

早期前立腺がん患者の大部分では放射線外部照射と小線源療法による治療後、無病期間が最大15年である [2007-01-16]  
A large majority of men with early-stage prostate cancer are disease free for up to 15 years after treatment with external beam radiation and brachytherapy

放射線外部照射後に小線源療法を施行された早期前立腺がん患者の74%は治療後15年間治癒した状態にあると考えられる、とInternational Journal of Radiation Oncology*Biology*Physics 1月1日号に掲載された。研究者らは、米国のあるがんセンターで治療され、対外照射(45Gy)後2〜3週目にシード(ヨウ素125またはパラジューム103)永久挿入を施行されたT1〜T3の患者232人をフォローアップした。患者群全体で治療前の平均PSAレベルは15ng/mLであった。生化学的無病生存率はMemorial Sloan-Kettering リスクコホート解析(95%信頼区間)を用いたリスクのレベルで評価した。その結果、生化学的無病生存率は低リスク患者では88%、中等度リスク患者では80%、高リスク患者では53%であった。

腎移植レシピエントは一般的にウイルス感染に関連した多くのがんのリスクが3倍高い可能性がある [2007-01-16]  
Recipients of kidney transplants may have a three-fold increase in risk for a large number of cancers commonly associated with viral infection

腎移植レシピエントは、一般的には特にウイルス感染に関連した多くのがんのリスクが3倍高い可能性がある、とJournal of the American Medical Association 12月20日号に掲載された。研究者らは、腎移植を受けたオーストラリアの末期腎疾患患者28,855人のがん発症率を比較した。データは、移植の5年前、透析中、および移植後の3つの異なる時期に収集された。メラノーマ以外の皮膚がんおよびしばしば末期腎障害を引き起こすがんを除いたがん全体の発症率は、移植後3.27倍に上昇した。一方、透析中および移植前のがん発症率はわずかに上昇しているのみであった(それぞれ1.35倍と1.16倍)。25の施設において移植後のがん発症率が有意に上昇し、18の施設においてリスクは3倍を超えた。

動物実験の結果、disulfide benzamideという化合物をタモキシフェンと併用すると乳がんのタモキシフェンに対する感受性が持続する可能性があることが示唆された [2007-01-09]  
Animal research indicates breast cancers may remain sensitive to tamoxifen indefinitely if it is given with the compound disulfide benzamide

動物実験の結果、disulfide benzamideという化合物をタモキシフェンと同時に投与すると乳がんのタモキシフェンに対する感受性が持続するかまたはタモキシフェンに対する感受性が復活する可能性のあることが示唆された、とCancer Cell 12月11日号に掲載された。このスタディで研究者らは、ヒト免疫不全ウイルスの複製を阻害することが過去に報告されているこの化合物が、エストロゲン受容体と細胞分裂を刺激する細胞成分の相互作用を阻害するとの仮説を立てた。タモキシフェンに耐性をもった乳がんを有するように遺伝子操作したマウスにこの化合物をタモキシフェンと同時に投与したところ、タモキシフェン単独で投与した場合と比較し腫瘍の成長が50%近く減少した。現在進行中の最適な併用療法に関する研究により前臨床のスタディが導き出されるであろう。

形が対称的で隆起した境界明瞭なメラノーマは他のメラノーマよりも進行が速い [2007-01-09]  
Melanomas with features including symmetry, elevation, and regular borders are more likely to grow rapidly than other melanomas

メラノーマは、厚みがあり、対称で隆起し、境界が明瞭な、または症状を有する場合、進行が速いとの報告がArchives of Dermatology 12月号に掲載された。オーストラリアの研究者らは、連続404人の浸潤性メラノーマ患者(平均年齢54.2歳)の進行率を調査した。最初と比べて腫瘍が変化したと気付いた日や腫瘍が成長していることが疑われた日、切除日や厚さおよび病理レポートから得られた細胞分裂率などを用いて成長率を推定した。細胞分裂率は推定成長率とよく一致した。約3分の1(141)が1ヵ月0.1mm未満成長し、3分の1(136)が1ヵ月に0.1〜0.49mm成長し、残りの3分の1が1ヵ月に0.5mm以上成長した。

 
 


 

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