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新たな臨床試験のデータによりAmerican Heart AssociationガイドラインのST上昇急性心筋梗塞患者に対する治療の項が改定された [2007-12-25]
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New clinical trial data prompt American Heart Association to update parts of its guidelines for care of patients with acute ST-elevation myocardial infarctions |
新たな臨床試験のデータによりAmerican Heart Association
(AHA)および American College of Cardiology(ACC)ガイドラインのST上昇急性心筋梗塞患者に対する治療の項が改定された。新しいガイドラインは
www.americanheart.org
および www.acc.orgで閲覧可能であり、CirculationおよびJournal
of the ACC 1月15日号に掲載される。病院外での12誘導心電図の施行を含め、診断までの時間を短縮するシステムが強調された。線溶療法や血管形成術の症状出現後から施行までの時間や病院での施行可能性(レスキュー治療またはfull-doseに満たない用量での線溶療法後の補助的な血管形成術として線溶療法後に血管形成術を行なう場合を含む)について論じられている。新しいセクションでは早期の静脈内β遮断薬投与選択基準および禁忌を明記した。アスピリンおよびクロピドグレルの使用、さらにアスピリン以外の非ステロイド抗炎症薬、特にCOX-2選択的阻害薬使用の回避についても述べられている。 |
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U.K. National Institute for Health and Clinical
Excellenceはエゼチミブとスタチンを併用したコレステロール低下療法に関する新たなガイドラインを出版した [2007-12-25]
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U.K. National Institute for Health and Clinical Excellence issues new guidelines on cholesterol-lowering regimens combining ezetimibe with a statin |
U.K. National Institute for Health and Clinical
Excellenceは一部の患者に対するエゼチミブとスタチンを併用したコレステロール低下療法に関する新たなガイドラインを出版した。このガイドラインでは、英国の成人において適切な初回スタチン療法にもかかわらずコレステロール値が国の基準値(総コレステロール<5mmol/L,
LDL<3mmol/L)を満たさない者の割合が高いことに言及している。改訂版を作成する前にガイドライン委員会は、スタチン療法にエゼチミブを加えることによりスタチン単独療法と比較しLDLコレステロールをさらに23.2%低下させたとの臨床上のエビデンスを考慮した。このコレステロール低下の程度はスタチンを倍量にした場合および他のスタチンに変更した場合の低下度(それぞれ6%および8%)と比較された。筆者らはまた、スタチンにエゼチミブを併用した場合の有害事象の内容はスタチン単独療法の場合と同様であることも記している。 |
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チアゾリジン系薬剤による治療を受けた高齢者は他の血糖降下薬で治療を受けた者と比較し心臓に関連した有害事象のリスクが有意に高い [2007-12-18]
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Older adults treated with thiazolidinediones versus other hypoglycemic agents
have a significantly increased risk of adverse cardiac events and death |
チアゾリジン系薬剤による治療を受けた高齢の糖尿病患者は他の血糖降下薬で治療を受けた者と比較し、心筋梗塞、うっ血性心不全および死亡のリスクが有意に高い、とJournal
of the American Medical Association 12月12日号に掲載された。研究者らは66歳以上のカナダ人患者159,026人のデータを解析した。追跡期間中央値である3.8年間に7.9%(12,491人)がうっ血性心不全、7.9%(12,578人)が心筋梗塞で入院し、19%(30,265人)が死亡した。経口血糖降下薬の併用療法を受けていた患者と比較し、チアゾリジン系薬剤の単独療法を受けている患者はうっ血性心不全のリスクが60%、心筋梗塞のリスクが40%、死亡のリスクが29%高かった。リスクが上昇したのはrosiglitazoneを内服していた患者に限られるようであった。さらなるスタディにより個々の薬剤のリスクを明らかにする必要がある。 |
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何年間も減少し続けていた若年成人の冠動脈死が明らかに横ばいとなったのは、これらの年代の人々の不健康な生活習慣による可能性がある [2007-12-18]
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The apparent
plateau in coronary death rate in younger adults after years of reduction of mortality
may be due to poor lifestyle habits in this age group |
数十年来減少し続けた若年成人の冠動脈死が近年横ばいとなったのは不健康な生活習慣による可能性がある、とAmerican
College of Cardiology 11月27日号に掲載された。米国における1980〜2002年にかけての35歳以上の成人のデータによると、全体の死亡率は男性で52%、女性で49%低下した。35〜54歳の男性では平均年間死亡率は1980年代に6.2%、1990年代に2.3%低下し、2000〜2002年では横ばいであった。35〜54歳の女性においては、1980年代に5.4%、1990年代に1.2%低下したが、2000〜2002年には1.5%上昇した(有意差なし)。しかし、35〜44歳の女性においては1997〜2002年の間に死亡率は年間平均1.3%上昇し、有意差が認められた。 |
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冠動脈リスクプロファイルに関する医師−患者間の話し合いにより、コレステロールレベル管理に対するコンプライアンスおよび有効率が改善する可能性がある [2007-12-11]
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Discussion of coronary risk profiles between physicians and patients may help improve compliance and response rates for management of cholesterol levels |
冠動脈リスクプロファイルに関する医師−患者間の話し合いにより、コレステロール管理における長期の患者コンプライアンスおよび有効率が改善する可能性がある、とArchives
of Internal Medicine 11月26日号に掲載された。研究者らは脂質異常症患者3,053人を標準的な治療、またはそれに加え、将来的な心疾患発症の可能性について書かれた1ページの印刷物を、ベースライン、3、6、9、12ヵ月後に手渡す群のいずれかに無作為に割り付けた。2,687人が12ヵ月間のスタディを終了した。ベースラインのコレステロールレベルで補正した結果、リスクプロファイルを受け取った群は、低密度リポプロテイン(LDL)コレステロールレベルおよび高密度リポプロテイン(HDL)コレステロール対総コレステロール比が、軽度であるが有意により大きく改善した。このリスクプロファイルにより、患者らが彼ら自身の「心血管」年齢と実年齢の差、および、一般の人々の平均余命と比較したときのコレステロールレベル異常の余命に対する悪影響に関して理解することができる。 |
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公共の場での喫煙を地域あるいは一地方で禁止することにより、非喫煙者の急性心筋梗塞による入院率が有意に減少する可能性がある [2007-12-11]
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Local or regional bans on smoking in public places may significantly decrease hospital admission rates for acute myocardial infarctions in nonsmokers |
公共の場での喫煙を地域あるいは一地方が禁止することにより、非喫煙者の急性心筋梗塞による入院率が有意に減少する可能性がある、とJournal
of Drug Education 第三四半期号に掲載された。この米国のスタディでは、同じ州内の似通った二つの郡の入院を比較した。一つの郡では公共の場(職場を含む)での喫煙禁止法を制定しており、他の郡ではそのような条例はなかった。禁止法を定めている郡では、禁止法を定めてからの心疾患歴のない非喫煙者の心筋梗塞による入院率が70%減少したのに対し、禁止法のない郡の同期間内でのその率は11%であり、実質59%の差であった。喫煙者における入院率の差が両郡間で認められなかったことから、今回認められた違いは受動喫煙が減少したことのみに関連するものであることが示唆された。 |
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新たに発見された心房中隔の内壁異常により卵円孔開存患者の脳卒中のリスクを予測できる可能性がある [2007-12-04]
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Presence of newly identified abnormality in inner wall of atrial septum may predict risk of stroke in patients with patent foramen ovale |
一次中隔と二次中隔の間の中隔路の存在が卵円孔開存患者の脳卒中リスク上昇の強力な予測因子となるようである、とAmerican
Heart Association学会で発表された。米国の研究者らは、患者100人の経食道心エコーの画像を、まずレトロスペクティブに次に盲目的に解析し、中隔路を、なし/非常に小さい、中等度、大きい(長さ1.0cm、幅0.25cm)の3つに分類した。100人中19人が脳卒中を発症し、そのうち9人が卵円孔開存を有していた。9人中8人(89%)が大きい中隔路を有していた。脳卒中を起こしていない81人中大きな中隔路を有する者はわずか4人(5%)であった。アブストラクトには間に合わなかったが、このレトロスペクティブな盲検スタディは現在250例に増大しており、同様に有意な予測能を有している。 |
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グルコース、インスリン、およびカリウムの点滴療法はST上昇心筋梗塞後3日間の心不全および死亡のリスクを上昇させる可能性がある
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Infusion therapy with glucose, insulin, and potassium may increase risk of heart failure and death in the three days following ST-segment elevation infarction |
グルコース、インスリン、およびカリウムの点滴療法はST上昇心筋梗塞患者の短期の心不全および死亡のリスクを上昇させる可能性がある、とJournal
of the American Medical Association 11月28日号に掲載された。研究者らはOASIS-6 および CREATE-ECLA(計22,943人)のデータを解析した。OASIS-6では30日間の死亡、心不全、または死亡および心不全の合計に関して両群間に差はなかった。しかし、0〜3日に関しては、死亡または死亡と心不全の合計はコントロール群よりも点滴療法群において多かった(それぞれ712人[6.2%]対632人[5.5%]および1,509人[15.8%]対1,388[14.5%])。死亡率の差は30日後には消失していた。死亡率及び有病率が点滴療法群で高かったのは、グルコースおよびカリウム値上昇と体液量増加が直接的に影響したものと考えられた。 |
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