|
◆ |
バイパス手術は経皮的血管形成術よりも冠動脈疾患に伴う狭心症を緩和し二度目の施術が必要となる確率が低い [2007-10-30]
|
Bypass surgery is more likely than angioplasty to relieve angina associated with coronary artery disease and less likely to require a second procedure |
バイパス手術は経皮的血管形成術(ステントの有無に関わらず)よりも冠動脈疾患に伴う狭心症を緩和し二度目の施術が必要となる確率が低いとの報告が、Department
of Health and Human Servicesの一部であるU.S. Agency for Healthcare Research and Qualityから公表され、Annals
of Internal Medicineによりオンライン版に掲載された。研究者らは、経皮的冠動脈形成術またはバイパス手術で治療可能な冠動脈疾患(左前下行枝の単一病変、二枝病変、重症でない三枝病変、のいずれか)患者に対する治療を比較した23の無作為化試験を解析した。研究者らはまた、バイパス手術と血管形成術の生存率はほぼ同等で心筋梗塞例も同等であるが、バイパス術の方が施術後30日以内の脳卒中発症率のリスクがやや高かったことを明らかにした。 |
|
◆ |
女性は男性よりも心臓突然死予防目的の植込み型除細動器を植え込まれる率が低い [2007-10-30]
|
Women are less likely than men to receive an implantable cardioverter-defibrillator for prevention of sudden cardiac death |
高齢の米国人の中でも植込み型除細動器を埋め込まれる確率はやはり男性の方が多い、とJournal
of the American Medical Association 10月3日号に掲載された。一次予防(136,421人、男性65,917人、女性70,504人)または二次予防(99,663人、男性52,252人、女性47,411人)の適応となる患者のデータが解析された。登録から1年以内に一次予防群では男性1,000人中32.3人および女性1,000人中8.6人が除細動器を植え込まれた。男性は女性よりも除細動器を植え込まれる確率が3.2倍高かった。二次予防群では男性1,000人中102.2人および女性1,000人中38.4人が除細動器を埋め込まれた。様々な因子で補正した結果、男性は女性よりも除細動器を植え込まれる確率が2.4倍高かった。試験に組み込まれてから30日後に生存していた二次予防群男女のうち、次の年の死亡リスクは除細動器を植え込まれた患者において35%低かった。一次予防群では除細動器植え込みによってリスクは軽減しなかった。 |
|
◆ |
慢性的な仕事のストレスがあるという初回心筋梗塞患者は他の重要な冠動脈イベントのリスクが約2倍である [2007-10-23]
|
Survivors of a first myocardial infarction who report chronic job stress have roughly twice the risk of another major coronary event |
慢性的な仕事のストレスがあると訴える初回心筋梗塞患者は他の重要な冠動脈イベントのリスクが約2倍である、とJournal
of the American Medical Association 10月10日号に掲載された。研究者らは、初回心筋梗塞後の35〜59歳の男女患者972人に仕事復帰後6週間とその後2および6年後に問診を行った。仕事の負荷は、高い心理的要求および決定のコントロールの低さで定義した。フォローアップ中(平均5.9年)206人に冠動脈イベントの再発を認めた(非致死的梗塞111件、不安定狭心症82件、冠動脈死13件)。慢性的な仕事負荷は可能性のある26の交絡危険因子および社会人口統計学的、生活習慣、臨床的、および仕事環境上の特性で補正後も、リスクを2倍に上昇させた。同誌の論説には、医師らは患者の仕事負荷のような総合的なリスクについて質問し総合的なリスクを評価すべきであり、さらに調査により予防の可能性のある治療やケアを評価すべきであると記されている。 |
|
◆ |
左心低形成症候群は主に遺伝的な因子により起こるとの新たな研究結果により、よりよい治療法の開発につながる研究が今後方向付けられる可能性がある [2007-10-23]
|
New research indicating that hypoplastic left heart syndrome is caused primarily by genetic factors may direct future research to develop better treatments |
左心低形成症候群は主に遺伝子起源であり、この発見により研究者らが関係する遺伝子を同定し心臓の発生上の欠陥を理解しより良い治療が開発される可能性がある、とJournal
of the American College of Cardiology 10月16日号に掲載された。研究者らは38家族の解析の結果、高い遺伝率を確認した。半数を超える家族において症候群または関連する欠陥を有する親族が1人以上認められた。評価を受けた生後3日から74歳の193人の血縁者のうち、21.4%がこの症候群または関連する欠陥を有していた。疾患を有する子供の家族においては、兄弟のリスクは8%であり、関連する欠陥を有するリスクは22%であった。子供とその片親が症候群を有する家族における疾患の発症リスクは、症候群で21%であり関連する欠陥で25%であった。心エコー検査では、患者の親類の12%において欠陥が新たに診断された。 |
|
◆ |
ECLIPSEトライアルの結果、バソプレッシン受容体拮抗薬tolvaptanは重度心不全患者の血行動態を改善し尿量を増加させることが示された [2007-10-16]
|
ECLIPSE trial indicates that vasopressin receptor antagonist tolvaptan improves hemodynamics and urine output in patients with advanced heart failure |
ECLIPSEトライアルの結果、バソプレッシン受容体拮抗薬tolvaptanはわずか1回の投与で重度心不全患者の尿量を増加させ血行動態を改善することが示唆された、とHeart
Failure Society of America学会で発表された。クラスIIIまたはIVの心不全患者計180人を経口tolvaptan(15, 30,
60mg)またはプラセボ群に無作為に割り付けた。全ての用量においてエンドポイントである肺動脈楔入圧がプラセボと比較し改善した。全ての用量において内服3時間後の尿量もまた増加した。内服から3〜8時間後に、二次エンドポイントである平均の肺動脈圧低下も認められ、全ての実薬群においてプラセボ群よりも統計学的に有意に大であった。平均右房圧の低下もまた認められ、実薬15mgおよび30mg群においてプラセボ群よりも有意に大であった。 |
|
◆ |
メタ解析の結果、アポリポ蛋白E genotypeと脂質レベルおよび冠動脈リスクの間に、おおよそ直線関係が認められた [2007-10-16]
|
Meta-analysis suggests there are roughly linear relationships for apolipoprotein E genotype with lipid levels and degree of coronary risk |
メタ解析の結果、アポリポ蛋白E genotypeと脂質レベルおよび冠動脈リスクの間に、おおよそ直線関係が認められた、とJournal
of the American Medical Association 9月19日号に掲載された。研究者らは、脂質レベルに関する82のスタディ(86,067人)および冠動脈予後に関する121のスタディ(37,850症例、対照82,727人)を検索し、脂質に関しては1,000人以上、冠動脈予後に関しては少なくとも500例以上を対象としたスタディに焦点を当てた。E2/E2
genotypeとE4/E4 genotypeの比較において最大の差が認められた。E2/E2の者はE4/E4の者と比較し平均の低密度リポプロテイン(LDL)コレステロール値が31%低く、この差はスタチンによりもたらされるLDLコレステロール値の変化に等しかった。最も一般的なgenotypeであるE3/E3と比較すると、E2を有する者は冠動脈リスクが20%低く、E4を有する者はリスクがやや高かった。一方、高密度リポ蛋白コレステロールとの間には傾きの小さな逆の相関が認められ、中性脂肪との間には直線の相関は認めず、E2/E2に限り多く認められた。 |
|
◆ |
SIRTAXトライアルの結果、血管径の小さい患者においてはシロリムス溶出ステントの方がパクリタキセル溶出ステントよりも成績が良好であることが示唆された [2007-10-09]
|
SIRTAX trial data suggest that sirolimus-eluting stents are better than paclitaxel-eluting stents in patients who have small coronary vessels |
血管径の小さい患者においては、シロリムス溶出ステントはパクリタキセル溶出ステントと比較し主要な心イベントを半分以下に軽減する可能性がある、とJournal
of the American College of Cardiology 9月18日号に掲載された。SIRTAXトライアル(患者1,012人)においてシロリムスステントはパクリタキセルステントと比較し主要な心イベントを55%軽減した(10.4%対21.4%)。このシロリムスステントの成績が良好であった両群間の差は主に2年後の標的部位への血行再建術施行率が69%低かったことによるようである(6.0%対17.7%)。2年後の死亡、心臓疾患死または心筋梗塞発症率には群間差は認められなかった。このスタディでは、小血管のreference径は2.75mm以下であった。大小混合の血管に病変を有する患者及び太い血管に病変を有する患者においては有害事象発現率および再血行再検施行率に差はなかった。 |
|
◆ |
小児の患者集団におけるカルベジロールのスタディから、カルベジロールは小児または青少年の心不全の予後は有意に改善しない可能性があることが示唆された [2007-10-09]
|
Study of carvedilol in a pediatric population suggests it may not significantly improve outcomes for children and adolescents with heart failure |
カルベジロールは心不全の小児および青少年の予後を有意に改善しない可能性がある、とJournal
of the American Medical Association 9月12日号に掲載された。研究者らは161人の患者を一般的な心不全治療薬で治療した。さらに、患者をプラセボまたはカルベジロールを8ヵ月間内服する群に無作為に割り付けた(用量は体重で換算した)。その結果、スタディ期間中に改善、増悪、または不変であった者の割合は群間で差がなかった。プラセボ群の54人中では、56%は改善、30%は増悪、15%は不変であった。カルベジロール群の103人中では、56%は改善、24%は増悪、19%は不変であった。雑誌の論評では、小児と成人では生理機能や治療のゴールが異なることを指摘し、また成人から得られた結果を一般化するのではなく小児における治験が必要であることを強調している。 |
|
◆ |
頻回に心疾患治療薬を飲み忘れる患者は、心筋梗塞や脳卒中などの有害事象を発現する確率が2倍以上になる能性がある [2007-10-02]
|
Patients who frequently miss a dose of heart medication may be more than twice as likely to have an adverse event such as myocardial infarction or stroke |
頻回に心疾患治療薬を飲み忘れる患者は、定期的に内服をする対照と比較し、心筋梗塞、脳卒中、または死亡などの有害事象を発現する確率が2倍以上になる可能性がある、とArchives
of Internal Medicine 9月10日号に掲載された。研究者らは米国のスタディに参加している冠動脈疾患患者が過去1ヵ月間に薬剤を処方どおりに内服したかどうかを調査した。その後患者を4年間追跡した。調査をした1,015人中、少なくとも25%以上内服するのを忘れた患者は8%をやや上回っていた。うつ病や心血管疾患重症度などの因子で補正した結果、内服を25%以上忘れた患者は対照群と比較し、死亡を含む有害事象を発現する確率が2.3倍高かった。定期的に内服をしていた患者の心疾患イベント発現率は14%近くであったのに対し、頻回に内服を忘れた患者におけるその確率は23%であった。 |
|
◆ |
ピオグリタゾンを含む2型糖尿病治療は心筋梗塞および脳卒中のリスクを有意に低下させる [2007-10-02]
|
Treatment regimens for type 2 diabetes that include pioglitazone correlate with a significantly reduced risk for myocardial infarction and stroke |
ピオグリタゾンを含む2型糖尿病治療は、ピオグリタゾンを含まない治療と比較し、心筋梗塞および脳卒中のリスクを有意に低下させる、とEuropean
Association for the Study of Diabetesで発表された。糖尿病患者の大規模なデータベースの記録をレトロスペクティブに解析したところ、ピオグリタゾン内服患者における脳卒中の補正後の相対リスクはピオグリタゾンを内服していない患者のそれと比較し20%低かった。同様に、スタディ期間中の心筋梗塞のリスクは、ピオグリタゾン内服患者において、ピオグリタゾンを含まない糖尿病治療薬内服患者よりも38%低かった。筆者らはピオグリタゾンとrosiglitazoneのプロファイルが非常に異なるのは分子構造の違いによるもので、この違いによりピオグリタゾンはLDLコレステロールを上昇させることなくHDLコレステロールを上昇させる好ましい効果を有するものと推測している。 |
|
|