米国心臓協会(American Heart Association: AHA)は不安定狭心症および非ST上昇心筋梗塞患者の管理に関する最新のガイドラインを発行した [2007-08-28]

American Heart Association releases updated guidelines for management of patients with unstable angina and non-ST elevation myocardial infarction
不安定狭心症および非ST上昇心筋梗塞患者の管理に関する最新の勧告では非侵襲的検査や入院中および退院後の患者管理に関していくつかの主要な変更がなされている。この勧告のフルテキストはCirculation 8月14日号に掲載されている。患者管理の変更には、安定している患者やリスクの低い患者に対しては、負荷試験、心エコー図または核医学検査(血管造影)などの非侵襲的な検査を提案し、入院中は非ステロイド抗炎症薬の使用を中止するよう忠告していることなどが含まれた。薬物溶出ステント挿入後最低1年間はクロピドグレル内服を継続することや、徹底した脂質および血圧コントロールなどの二次予防がより重要視された。禁煙の重要性もまた強調された。他の薬物療法の勧告には、心不全患者に対する退院後のアンジオンテンシン変換酵素阻害薬およびアルドステロン受容体拮抗薬の処方が挙げられた。

抗酸化サプリメントは心疾患のリスクの高い女性の心血管イベントまたは死亡のリスクを軽減しないようである [2007-08-28]

Antioxidant supplementation does not appear to reduce the risk of cardiovascular events or death in women at high risk for heart disease
ビタミンCやEおよびβカロチンをそれぞれ単独または組み合わせて補充した抗酸化サプリメントは心疾患のリスクの高い女性の心血管イベントまたは心血管に関連した死亡のリスクを軽減しないようである、とArchives of Internal Medicine 8月13日号に掲載された。Women’s Antioxidant Cardiovascular Studyにおいて40歳以上の女性8,171人(ベースライン時平均年齢60.6歳)を平均9.4年間追跡調査した。対象者は全員心血管疾患またはリスクファクターを少なくとも3つ有していた。対象女性は単一または複数組み合わせのサプリメント摂取群に無作為に割り付けられた。フォローアップ中に1,450人の女性に1個以上のイベントが発生し、そのうち274例が心筋梗塞、298例が脳卒中、889例が血行再建術施行、395例が心血管死であった(死亡計995)。治療と結果に関係が見られたのは、アスコルビン酸およびビタミンEの併用をしている者において脳卒中が少ない傾向にあったことのみであった。抗酸化療法による明らかな副作用は認められなかった。

早ければ8歳にもスタチン療法を開始することにより、家族性高コレステロール血症の患者に認められる早期発症の動脈硬化を安全かつ効果的に遅延させることができる [2007-08-21]

Starting statin therapy as early as age 8 years may safely and effectively delay the early-onset arterial damage seen in patients with familial hypercholesterolemia
早ければ8歳にもスタチン療法を開始することにより、家族性高コレステロール血症の患者に認められる早期発症の動脈硬化を安全かつ効果的に遅延させることができる、とCirculation 8月7日号に掲載された。前の解析では、2年間のプラバスタチン治療によりプラセボ投与よりも動脈硬化(頸動脈内中膜肥厚で評価)の進行が軽減したことが示された。今回のスタディではオランダの小児(ベースライン時の年齢8〜18歳)214人中186人を評価した。96人はプラバスタチンを初めから内服し、90人はプラセボを2年間内服した後にプラバスタチン内服に切り替えた。したがって、プラバスタチン内服期間は2.1〜7.4年(平均4.5年)であった。スタチン内服開始年齢は、性別、ベースライン時の頸動脈内中膜肥厚、およびスタチン療法の期間で補正してもなお、頸動脈内中膜肥厚増加の強力かつ独立した予測因子であった。83%はプラバスタチンを内服し続け、17%は他のスタチンを開始したが、フォローアップは継続する。

敵対心をもちがちで激しい気分の変動がある男性は冠動脈性心疾患や高血圧を含む心血管リスクがより高い可能性がある [2007-08-21]

Men who tend to be hostile and have intense moods may be at higher risk for cardiovascular conditions including coronary heart disease and hypertension
敵対心をもちがちで激しい怒りやうつの感情を頻繁に有する男性は、冠動脈性心疾患や高血圧および2型糖尿病を含む心血管リスクがより高い可能性がある、とBrain, Behavior, and Immunity 8月号に掲載された。ある長期の大規模スタディに参加した健常男性313人が心理テストを受け、炎症マーカーC3およびC4 を10年間にわたり計測された。C3およびC4レベルの変化は糖尿病を含む発症した疾患の数と関連があった。スクリーニング時の心理テストで最も激しい性格であった男性はフォローアップ中のC3レベルが7.1%上昇し、一方心理テストで穏かな性格であった男性はスタディ期間中変化がなかった。この関連は、喫煙や年齢、人種、飲酒、およびBMIなどの他の高C3レベルのリスクファクターで補正してもなお認められた。

米国心臓協会(American Heart Association: AHA)は成人の身体活動性に関する勧告を中等度および強度の有酸素運動の2つに焦点を当て改訂する [2007-08-14]

American Heart Association updates its recommendations for physical activity for adults with dual focus on moderate and intense aerobic activity
18〜65歳の健康な成人は全て30分以上の中等度の運動を週に5回または20分以上の激しい運動を週3回行う必要がある、とAHAの改訂ガイドラインおよびCirculationオンライン版8月1日号に掲載された。ガイドラインでは中等度および強度の2つに焦点を当てたのに加え、成人には週に2日間(連続しない)の筋力トレーニングと持久力トレーニングが有益であると指摘している。ガイドラインの手引きは65歳以上の高齢者、および50〜64歳の慢性疾患または運動能や健康状態に影響を与えるような機能制限(すなわち関節炎)を有する成人を対象に書かれている。この改訂版は、1995年の発行時から不変の中核となる知見に加え、新たな研究結果を適用したものである。

1日2杯以上のダイエットドリンクまたは通常のソフトドリンクを飲む中年はメタボリック症候群のリスクが有意に高い [2007-08-14]

Middle-aged adults who have more than one drink per day of a diet or regular soft drink are at significantly increased risk for metabolic syndrome
1日2杯以上のダイエットドリンクまたは通常のソフトドリンクを飲む中年はメタボリック症候群を有する、あるいは発症するリスクが40%を超える、とのFramingham Heart StudyのデータがCirculation オンライン版7月23日号に掲載された。約9,000人を観察したこのデータは、医師による質問および自己申告から得られたものである。この相関関係は生活習慣因子で補正してもなお認められた。解析の結果、高カロリー高脂肪の食事パターンの人はダイエットドリンクおよび通常のソフトドリンクを飲む傾向にあることも示され、筆者らは、普段の食事がダイエットドリンクを消費する人々におけるリスクに寄与しているのであろうと推測している。

組換え型ヒト蛋白が心筋線維化を改善するとのマウスの研究結果により心不全の新たな治療が開発される可能性がある [2007-08-07]

Findings from research with mice showing that a recombinant human protein can reverse cardiac fibrosis may lead to clinical treatments for heart failure
ヒトの骨morphogenetic蛋白7は心筋線維化の過程を逆戻りさせるとの動物実験結果から、線維化または高血圧、心筋梗塞、またはその他の原因による線維化に基づく心不全の予防法または治療法が開発される可能性がある、とNature Medicine 7月29日号に掲載された。最初の実験で研究者らは、遺伝子的にマークした内皮細胞を有するマウスを用いて、心筋線維化の過程で内皮細胞が活性化された線維芽細胞に変換されることを確認した。次の研究では、組み換え型蛋白がこの過程をうまく逆戻りさせ、線維化の進行を抑制し刺激伝導および心機能などの臨床的な改善をもたらすことを発見した。

低コレステロールレベルとがんのリスク上昇の関連が新たに認められたことからリスクのある患者の治療標的を再考することになる可能性がある [2007-08-07]

The newly identified association between low cholesterol levels and increased risk of cancer may lead to rethinking treatment goals for at-risk patients
スタチン療法による低密度リポプロテイン(LDL)コレステロール低値とがんのリスク上昇の関連が新たに認められたことから、これらの関連性を再確認しがんリスク上昇がスタチン治療によるものか低コレステロールそのものによる問題かを評価する研究がなされるであろう、とJournal of the American College of Cardiology 7月31日号に掲載された。スタチンと肝および筋損傷などの有害事象との関連を明らかにするために、13のトライアルの41,173人のデータを解析した研究者らは、LDLレベルが低い者においてはそれより高いレベルの者と比較し1,000人当たり1例がん症例が増えることを確認した。研究者らは、この結果をもとにスタチンの使用状況を変更することは推奨していないが、医師らはがんのリスクや一般的ながんのスクリーニングについてもっときめ細かく患者に質問したくなるであろうと述べている。
 
 
 

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