血糖と心臓
  先天性QT延長症候群の誤診
  Rosiglitazone投与による心疾患のリスク
  不安と心血管疾患死

 6月12日・19日のDOL NewsはASCO特集のため、Cardiologyニュースは
 お休みさせていただきました。


空腹時血糖異常程度の軽度の糖代謝異常であっても心疾患死のリスクは上昇する [2007-06-26]

Impairment in glucose metabolism as small as just an abnormal fasting glucose level increases the risk for death from heart disease
空腹時血糖異常程度の軽度の臨床的糖代謝異常所見であっても心疾患死のリスクは上昇する、とCirculation 6月19日号に掲載された。オーストラリアの糖尿病、肥満および生活習慣に関するスタディでは25歳以上の成人10,429人を組み入れ、5.2年間追跡調査した。計298件の死亡例中88件が心疾患によるものであった。ベースライン時に既に糖尿病と判っていた者の約12%が死亡したのに対し、組み入れ時の検査で糖尿病と診断された者におけるその割合は6.2%、耐糖能異常患者においては5.2%、空腹時血糖異常者においては3.9%であった。一方、ベースライン時の糖代謝が正常であった者の死亡率は1.7%であった。5年間の心臓死の確率は糖尿病を有する者で2.6倍、空腹時血糖異常者で2.5倍高く、これらの結果から、ごく軽度の糖代謝異常でも注意することの重要性が強調された。

先天性QT延長症候群の認識が近年高まったことにより、疾患を有さないかなりの数の人々が診断を下され治療を受けている [2007-06-26]

Recent increase in awareness of congenital long QT syndrome may have led to diagnosis and treatment of a significant number of unaffected people
先天性QT延長症候群の認識が近年高まったことにより、疾患を有さないかなりの数の人々が診断を下され治療を受けている、とCirculation 5月22日号に掲載された。米国のある主要な病院にセカンドオピニオンのために紹介された患者176人を検討した結果、約40%がQT延長症候群と診断する十分なエビデンスを有していなかった。これらの患者のほとんどは結果的に問題がなかった。病院で見たところ、ほとんどが薬物の処方を受け、激しい運動を制限されており、約10%の者は除細動器を植え込まれていた。一つの病院の経験のみから一般論にすることはできないが、過剰診断の可能性を避けるために、特に明らかでないような症例に関しては、QT延長症候群の専門家が疾患の診断を下すかまたは確認すべきであると、筆者らは、述べている。臨床における遺伝子検査が3年前に利用可能になった。

メタ解析の結果、2型糖尿病患者に対するrosiglitazone投与は心筋梗塞のリスクを有意に増加させることが示唆された [2007-06-05]

Meta-analysis suggests use of rosiglitazone by patients with Type 2 diabetes is associated with significantly increased risk for myocardial infarction
New England Journal of Medicine 5月21日号オンライン版に掲載されたメタ解析の結果、2型糖尿病患者に対するrosiglitazone投与は心筋梗塞のリスクを有意に増加させ心血管疾患による死亡のリスクを増加させる傾向にあることが示されたが、これに対しAmerican Heart Associationを含む医学会が応答陳述した。このメタ解析でSteven E. Nissen, MDおよび Kathy Wolski, MPHは、rosiglitazoneを他の糖尿病治療薬と比較した公表済みの24週以上の42のトライアル(平均年齢56歳;平均のベースラインヘモグロビンA1c 8.2%)を解析した。応答陳述では医師らに、rosiglitazoneによるリスクの程度は小さいようであることを念頭におきながら、この新たに得られた所見を注意深く考慮し2型糖尿病患者の治療方針を説明する際にこの新たな情報を含めることを提案している。

不安を有する冠動脈疾患患者は、不安を有さない患者と比較し心筋梗塞および死亡のリスクが有意に高い [2007-06-05]

Patients with coronary artery disease who are anxious are at significantly greater risk for myocardial infarction and death than peers who are not anxious
不安を有する冠動脈疾患患者は、不安を有さない患者と比較し心筋梗塞および死亡のリスクが有意に高いとJournal of the American College of Cardiology 5月22日号に掲載された。研究者らは冠動脈疾患患者に対し、ベースラインおよびその後1年ごとにアンケートを行った。平均のフォローアップ期間3年の後、19人の患者が死亡し44人が非致死性心筋梗塞を発症した。累積の不安スコアの平均を計算し年齢で補正した結果、研究者らは、不安スコアが最も高い3分の1の患者はスコアが最も低い3分の1の患者と比較し有害事象のリスクが倍近く高いことを発見した。経時的に不安スコアが上昇していると心筋梗塞または死亡のリスクが10%増加した。逆に、ベースラインの不安レベルが最も高い3分の1に入っていても累積スコアが最も低い3分の1に含まれる患者は、心筋梗塞または死亡のリスクが最も低かった。
 
 
 

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