軽度または明らかな心電図異常を有する無症状の閉経後女性は心血管イベントおよび死亡のリスクが高い [2007-03-27]

Asymptomatic postmenopausal women with minor or major electrocardiographic abnormalities are at increased risk for cardiovascular events and death
軽度または明らかな心電図異常を有する無症状の閉経後女性は心血管イベントおよび死亡のリスクが高い、とJournal of the American Medical Association 3月7日号に掲載された。研究者らは、ある大規模トライアルでエストロゲンとプロゲステロン、またはプラセボを内服した女性14,749人のデータを解析した。心電図異常が無い(9,744人)、軽度(4,095人)、または明らかな(910人)女性のうち、それぞれ118件、91件、および37件の冠動脈イベントが認められた。心電図異常が無い、軽度、または明らかな女性10,000人当りの年間冠動脈イベントはそれぞれ、21、40、75件であった。3年間のフォローアップの後、ベースラインの時点で心電図異常の無かった女性のうち5%に異常が出現し、年間の冠動脈イベントは10,000人当り85件であった。ホルモン治療群に割り付けられたことと心血管エンドポイントが予測されるような心電図異常には有意な関連は無かった。

CASES-PMSトライアルの新たなデータにより、塞栓予防装置を用いた頸動脈ステント留置術は、高リスクの患者に対しても安全で有効であることが確認された [2007-03-27]

New data from the CASES-PMS Trial confirm that carotid stenting with embolic protection is safe and effective even for high-risk patients
CASES-PMSトライアルの新たなデータは、塞栓予防装置を用いた頸動脈ステント留置術は高リスクの患者であっても安全で有効であるとのSAPPHIREトライアルの結果を支持する、とSociety of Interventional Radiology学会で発表された。厳選された施設の熟練した医師を対象とした前回のSAPPHIREトライアルとは異なり、今回のスタディでは様々な経験をもつ医師らがこのステント装置を使用できるように体系化したトレーニングを行った。今回のシングルアームスタディに登録された患者1,493人の1年間の脳卒中発症率は4.8%であった(症候性患者7.0%および無症候性患者4.2%)。CASES-PMS トライアルにおける予備的な1年間の重大な有害事象の累積発症率は11.9%であり、SAPPHIREトライアルのステント群では12.2%、SAPPHIREトライアルの外科手術群では20.1%であった。

ロスバスタチンとezetimibeとの併用は低密度リポ蛋白コレステロールをこれまでのレベルよりもさらに低下させC反応性蛋白を低下させる [2007-03-20]

Rosuvastatin combined with ezetimibe reduces low-density lipoprotein cholesterol beyond previously seen levels and reduces C-reactive protein levels
ロスバスタチンとezetimibeとの併用は低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-c)をこれまでのトライアルで認められたレベルよりもさらに低下させ、そのうえC反応性蛋白(CRP)も低下させるとAmerican Journal of Cardiology 3月号に掲載された。EXPLORERスタディは、LDL-cが160〜250mg/dLで冠動脈疾患またはそれと同等のリスクを有する患者469人を対象とした、12週間の試験である。6週間の食餌療法による導入期間の後、患者をロスバスタチン単独またはezetimibeとの併用を6週間行う群に無作為に割り付けた。その結果、併用療法(ロスバスタチン40mgとezetimibe 10mg)により、LDL-cはベースラインから70%低下するという、前例のない結果が得られた。この併用療法により有意に多くの患者がロスバスタチン単独療法と比較しLDL-cの目標値である100mg/dL未満を達成した(94% 対79%)。さらに、併用療法群ではCRPが46%低下したのに対しロスバスタチン単独群におけるその低下率は29%であった。

新たなAmerican Heart Associationガイドラインは筋骨格系の症状に対しては非ステロイド系抗炎症薬を使用する前に非薬物治療を試みることを推奨している [2007-03-20]

New American Heart Association guidelines recommend non-drug therapies for musculoskeletal symptoms before use of a nonsteroidal anti-inflammatory drug
2月27日にオンライン版で公表されたAmerican Heart Associationの治療ガイドラインは、筋骨格系の症状に対しては非ステロイド系抗炎症薬を使用する前に温熱療法や冷却療法、装具を用いた治療、または理学療法を行うことを推奨している。この改訂はrofecoxibの市場からの自発的な撤退および他の選択的シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)による心血管および脳血管イベントのリスクに関する新たな調査結果に伴うものである。さらに、最近の論文から、非ステロイド系抗炎症薬としても知られている古典的な非選択的シクロオキシゲナーゼ阻害薬もリスクが高いことが示唆されている。ガイドラインは医師らに、心血管疾患を有する患者またはこれらの疾患のハイリスクの患者にはCOX-2阻害薬は禁忌と考え、また、同じハイリスクの患者に対しては古典的な非ステロイド系抗炎症薬は他の治療法と慎重に比較検討するよう勧告している。

新たな解析の結果、高血圧の治療にはβ遮断薬よりもカルシウム拮抗薬をファーストライン治療とすべきであることが示唆された [2007-03-13]

New analysis suggests that calcium channel blockers rather than beta-blockers should be the first-line choice for treatment of hypertension
高血圧のファーストライン治療をカルシウム拮抗薬とすると、β遮断薬と比較し死亡および心血管疾患のリスクが低いとの解析結果が、Cochrane Database of Systematic Reviews 2007年第1版に掲載された。研究者らは、β遮断薬とそれ以外の降圧薬全てをまとめて比較するのではなく、β遮断薬とそれぞれの種類の降圧薬とを、初めて比較することができた。13の試験(患者91,561人)を検討した結果、研究者らは、β遮断薬、利尿薬、およびアンジオテンシン受容体拮抗薬を使用した際の死亡および心血管疾患のリスクに差がないことを示した。しかし、死亡の絶対的リスクは、カルシウム拮抗薬と比較しβ遮断薬で0.5%高かった。さらに、β遮断薬を内服している患者は、カルシウム拮抗薬を内服している患者と比較し心血管疾患(ほとんどが脳卒中)のリスクが1.3%高かった。

アスピリンや非ステロイド抗炎症薬などの一般的な鎮痛薬を頻繁に使用する男性は高血圧のリスクが上昇するようである [2007-03-13]

Men who use common analgesics including aspirin and nonsteroidal anti-inflammatory drugs appear to have an increased risk for hypertension
アスピリン、アセトアミノフェン、および非ステロイド抗炎症薬などの鎮痛薬を頻繁に使用する男性は、それらの薬剤を定期的に使用しない対照群と比較し高血圧のリスクが上昇するようである、とArchives of Internal Medicine 2月26日号に掲載された。研究者らは、ベースラインの時点で高血圧のない男性の医療従事者16,031人(平均年齢64.6歳)を追跡した。4年間に1,968人が高血圧を発症した。鎮痛薬を内服しない男性と比較し、アセトアミノフェンを週に6〜7回使用する男性は高血圧のリスクが34%高かった。非ステロイド抗炎症薬を週に6〜7回内服する男性は38%、アスピリンを週に6〜7回内服する男性は26%リスクが高かった。薬剤の種類ではなく量で評価した結果、週に15錠以上内服する者は通常全く内服しない男性と比較し、高血圧のリスクが48%高かった。

低リスク患者に対するオフポンプ冠動脈バイパス術は術後5年間の認知機能または心臓に対する予後に利益をもたらさないようである [2007-03-06]

Off-pump coronary artery bypass graft procedures for low-risk patients appear to have no benefit on cognitive or cardiac outcomes five years after surgery
低リスク患者に対するオフポンプ冠動脈バイパス術は術後5年間の認知機能または心臓に対する予後に利益をもたらさないようである、とJournal of the American Medical Association 2月21日号に掲載された。オランダの研究者らは無作為にオフまたはオンポンプ手術に割り付けた患者281人を評価した。5年後、各々の群で130人の患者が生存していた。オフおよびオンポンプ群の患者それぞれ123人と117人の認知機能を評価した。標準的な認知機能低下の定義を使用したところ、オフポンプ群およびオンポンプ群いずれも50.4%の患者において低下が認められた。より古典的な定義を用いたところ、オフポンプ群の33.3%、およびオンポンプ群の35.0%において認知機能の低下が認められた。心血管イベントはフォローアップ期間終了までにオフポンプ群の21.1%、およびオンポンプ群の18.0%に発生した。総合的なQOLまたは狭心症の状態には、両群間で差はなかった。

焼灼療法を行なう際に心臓を適当な位置に定める新たなデバイスは、心房細動に対するCox-maze法を簡便にするとともに時間も短縮する [2007-03-06]

Development of a new device that positions the heart for ablation therapy simplifies and shortens the Cox-maze procedure for treatment of atrial fibrillation
ラジオ波エネルギーを用いた焼灼のラインを正しく位置決めするために心臓を適当な位置に定め固定する新たなデバイスの開発は、心房細動に対するCox-maze法を簡便にするとともに時間も短縮する、とJournal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 2月号に掲載された。今回の研究において、最初にCox-mazeの術式を開発した大学の外科医らは、Cox-maze IIIの術式を施行された患者群と年齢、性別および心臓の状態をマッチさせた患者において新たなデバイス(Cox-maze IV)と従来の切除し縫合する術式(Cox-maze III)を評価した。その結果、治癒率は同等であったが、新たな方法は切除−縫合法と比較し所要時間が約3分の1であり、過剰出血のリスクがはるかに低かった。このデバイスの簡便化およびそれに伴う新たな技術により、より広範な外科医および患者群に適用できるようになる。
 
 
 

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