脈圧と心房細動
  勃起障害と心血管疾患
  大動脈断裂の望ましい修復法
(International Symposium on Endovascular Therapy)
  脳内ステント留置術と脳卒中のリスク (International Stroke Conference)
  ステント留置術後の薬物療法
  心臓手術後の薬物死
  運動と心不全


脈圧が高いことは心房細動新規発症リスクの重要な予測因子のようである [2007-02-27]

Increased pulse pressure appears to be an important predictor of risk for new onset atrial fibrillation
脈圧が高いことは心房細動新規発症リスクの重要な予測因子のようである、とJournal of the American Medical Association 2月21日号に掲載された。研究者らはFramingham Heart Studyの対象となったベースライン時35歳以上の成人5,331人を評価した。16年の平均追跡期間の間に363人の男性および335人の女性に心房細動が発症した。脈拍の評価から発症までの時間の中央値は12年であった。年齢および性別で補正したところ、脈圧が20mmHg上昇するとリスクが34%上昇した。脈圧とリスクの関係は平均心房圧および既知の臨床上のリスクファクターで補正しても依然として認められた。つまり、脈圧が20mmHg上昇するとリスクが24%上昇した。一方、平均心房圧はリスク上昇とは関連がなかった。20年間の累積発症率は脈圧が40mmHg以下の群で5.6%であり、脈圧が61mmHgを超えると23.3%であった。

勃起障害は糖尿病や心血管疾患と高率に関連があり生活習慣の改善によりこれら3つの障害を軽減できる可能性がある [2007-02-27]

Erectile dysfunction is frequently associated with diabetes and cardiovascular disease and lifestyle modification may reduce risk for all three disorders
勃起障害は、年齢、心血管疾患、および糖尿病と強力に関連があるが、身体活動を増大するなどの生活習慣の改善によりこれら3つの疾患が予防できる可能性がある、とAmerican Journal of Medicine 2月1日号に掲載された。研究者らは、米国国内のある調査に参加した米国男性2,126人のデータを解析した。全体における有病率は18%であった。70歳以上の男性は勃起障害があると訴える確率が非常に高かったが、20〜40歳の若い男性のその率は5%であった。糖尿病の男性の半数近くが勃起障害を有していた。さらに、勃起障害を有する男性の約90%が、糖尿病、高血圧、コレステロール上昇、または現在の喫煙、のいずれかのリスクファクターを少なくとも一つ有していた。勃起障害の男性はまた、このスタディに参加する前1ヵ月以内に活発な身体活動をしている傾向が低かった。

低侵襲大動脈断裂修復術は通常の開胸手術よりも生存率が高い可能性がある [2007-02-20]

Minimally invasive repair of an aortic tear may have a higher survival rate than traditional open surgery
低侵襲大動脈断裂修復術は通常の開胸手術よりも生存率が高い可能性がある、と第19回International Symposium on Endovascular Therapyで発表された。低侵襲修復術はステントを支柱とした布製のチューブであるエンドグラフトを用いるため開胸の必要が無い。このカナダでのレトロスペクティブ研究では、鈍的胸部大動脈損傷と診断された患者28人の診療記録を検討した。手術群では5人(31%)の患者が死亡し、1人(6%)は対麻痺を発症し、1人(6%)は出血過多のため再手術を施行された。一方エンドグラフト群では死亡した患者、対麻痺を発症した患者、および再手術を施行された患者はいなかった。

初回虚血性脳卒中後の脳内ステント留置術はアスピリンやワーファリンを使用するよりも脳卒中再発のリスク軽減効果が高い可能性がある [2007-02-20]

Intracranial stenting after an initial ischemic stroke may decrease risk of recurrent stroke more than use of aspirin or warfarin
脳内ステント留置術はアスピリンやワーファリンを使用するよりも脳卒中再発のリスク軽減効果が高い可能性がある、とInternational Stroke Conference 2007で発表された。現在、抗凝固療法中の症候性脳内動脈硬化性狭窄患者が虚血領域の脳卒中を起こすリスクは、1年間で11%、2年間で14%高い。中国人の研究者らは脳卒中または一過性脳虚血発作を発症しステントを留置された患者213人(平均53歳)を追跡調査した。30日以内に213人中10人(4.6%)が脳卒中(虚血7人、出血3人)を発症した。他の9人は緊急血行再建術を施行され、2人は無症候性の脳内出血を発症した。これら以外の患者を約2年間追跡した。その結果、7人はステント留置部の近位に虚血性脳卒中を来たし、3人は異なる領域の虚血性脳卒中を起こした。全体で、1年後と2年後のステント留置領域の虚血性脳卒中のリスク(30日以内の脳卒中リスクも含む)はそれぞれ、わずか6.9%および8.9%であった。

新たな複数の学会の勧告によると、薬物溶出ステントを留置された患者は術後最低1年間は2種類の抗血小板薬を内服すべきであると述べている [2007-02-13]

New multi-society advisory states that patients with drug-eluting stents should take dual antiplatelet medication for at least one year after stent placement
薬物溶出ステントを留置された患者は、術後最低1年間は2種類の抗血小板薬を内服すべきであるとの新たな勧告がCirculation誌1月15日号オンライン版に掲載された。アスピリンとチエノピリジン系薬剤の併用、または2種類の抗血小板薬の併用療法は、薬物溶出ステントでは術後1年間、ベアメタルステントでは術後3ヵ月間のステント内血栓のリスクの最も高い期間において特に重要である。心筋梗塞発症後薬物溶出ステントを留置された患者500人のスタディにおいて、その後11ヵ月の死亡率は、チエノピリジン系薬剤内服を中止した者において7.5%であったのに対し、2種類内服を継続した者のその割合は0.7%であった。薬物溶出ステント留置を受けた患者652人の研究の結果、クロピドグレルの内服を中止することによりステント内血栓のリスクが30倍上昇した。筆者らは医師らに、待機的ステント留置術前および術後は常に、アスピリンの長期使用の必要性に加え2種類の抗血小板薬の必要性に関して話し合うように強調している。

術中の出血を軽減するためにaprotininを使用することにより心臓手術後5年間の死亡のリスクが上昇する [2007-02-13]

Use of aprotinin to limit blood loss is associated with an increased risk for death for five years following cardiac surgery
術中の出血を軽減するためにaprotininを使用することにより心臓手術後5年間の死亡のリスクが上昇する、とJournal of the American Medical Association 2月7日号に掲載された。研究者らは、冠動脈バイパス術を施行された世界中の患者3,876人において術後6週、6ヵ月、および5年後まで1年ごとに生存率を評価した。使用薬物に基づき分けられた4群(アミノカプロン酸、トラネキサム酸、aprotinin、または止血薬不使用)について、死亡率が計測された。5年間の追跡調査の結果、aprotinin群の死亡率20.8%に対し、アミノカプロン酸群では15.8%、トラネキサム酸群では14.7%、対照群では12.7%であった。Aprotinin使用により透析を要するような術後腎不全のリスクが上昇する、という報告がなされている。筆者らは外科医に対して、有意な出血のリスクの高い患者の手術を計画する際には、他のいずれかの薬剤の使用を考慮するよう勧めている。

国際HF-ACTIONトライアルでは3,000人の心不全患者に対し運動療法の効果を評価する予定である [2007-02-06]

International HF-ACTION trial will involve 3,000 patients in an evaluation of the effects of exercise training on patients with heart failure
国際HF-ACTIONトライアルでは心不全患者3,000人の組み入れを開始し、これらの患者を心不全に対する運動療法の効果解析の基盤とする予定である、とAmerican Heart Journal 2月号に掲載された。患者は運動療法または標準的な治療を受ける予定である。運動療法群の患者は施設で自転車または歩行を用いた36セッションの監視下運動療法を受ける。最初の18セッションの後に患者は基本的に家で行う運動を開始し、この18セッション終了後は家でのみ運動を行う。彼らは3ヵ月ごとに施設で行う運動療法に復帰する。監視下運動療法プロトコールは心臓バイパス術後患者用に開発された36セッションの心臓リハビリテーションプログラムを基本としている。参加者全てが治療薬やその副作用、体液量の管理、および減塩食を固守することの重要性などについての教育を受けることになっている。
 
 
 

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