抗うつ薬は急性冠症候群の既往を有する患者のうつ症状を改善する [2007-01-30]

Antidepressant therapy improves symptoms of depression in patients who have had an acute coronary syndrome event
選択的セロトニン再取込み阻害薬は急性冠症候群の既往を有する患者のうつ症状を軽減するが、対人関係療法は有益性がないようである、とJournal of the American Medical Association 1月24日号に掲載された。12週間のカナダのスタディでは、大うつ病を有する患者284人を4週間以上の対人関係療法またはcitalopramかプラセボを通常の治療に加える群に無作為に割り付けた。その結果、受けたソーシャルサポートおよび日常機能に加え全ての有効性評価法においてcitalopramはプラセボよりも優れていた。このcitalopramの優位性は6週間の間明らかであった。対人関係療法は通常の治療と比べ、寛解率および治療反応率に影響を与えなかった。編集者は、同じクラスの薬剤セルトラリンも他の研究で同様の抗うつ効果が認められているため、抗うつ薬療法のトライアルへの敷居を低くするよう勧告している。

がんを有する患者が急性心筋梗塞疑いで入院した場合には他の患者と同様のアスピリン療法を受けさせるべきである [2007-01-30]

Patients with cancer should receive the same aspirin therapy if admitted for suspected acute myocardial infarction as other patients
がんを有する患者が急性心筋梗塞疑いで入院した場合には他の患者と同様のアスピリン療法を受けさせるべきである、とCancer 12月13日号に掲載された。米国の主要がんセンターの研究者らは、このセンターで2001年に心筋梗塞の治療を受けた患者のレトロスペクティブスタディを施行した。70人の患者を血小板数に基づき2群に分け、アスピリン使用、出血の合併症、および生存率についてのデータを集計した。その結果、血小板数が低くアスピリンを投与されなかった患者の7日間生存率は6%であったのに対し、アスピリンを投与された患者の生存率は90%であった。血小板数が正常の患者においてもアスピリンの有益性が認められた。すなわち、アスピリンを投与された患者の7日間生存率は88%であったのに対し、アスピリンを投与されなかった患者の生存率は45%であった。

家族性高コレステロール血症によりコレステロールが非常に高い患者の低密度リポ蛋白コレステロールが、新薬により有意に低下する [2007-01-23]

Novel agent significantly reduces low-density lipoprotein cholesterol in patients with very high cholesterol levels due to familial hypercholesterolemia
ミクロゾームトルグリセリド転移蛋白を阻害する新薬が、ホモ接合性家族性高コレステロール血症患者の低密度リポ蛋白(LDL)コレステロールを有意に低下させ、将来的には難治性高コレステロール血症やスタチンに忍容性のない患者の選択肢となる可能性がある、とNew England Journal of Medicine 1月11日号に掲載された。この疾患を有する患者の血漿コレステロールレベルは一般的に500mg/dlを超え、通常30歳より長く生存できない。研究者らは6人の患者において用量漸増試験を施行した。患者らはこの阻害薬を異なる4用量で、それぞれ4週間ずつ内服し、4週間のウォッシュアウト期間後に最後の受診をした。全ての患者において最高用量まで忍容性が良好であった。LDLコレステロールが51%低下したのに加え、総コレステロールは58%、トリグリセリドは65%、アポリポ蛋白Bは56%低下した。

冠動脈バイパス−頸動脈内膜切除術の同時手術を施行された患者は脳卒中または死亡のリスクが有意に高い [2007-01-23]

Patients who undergo combination coronary bypass-carotid endarterectomy procedures have significantly increased risk of stroke or death
冠動脈バイパス−頸動脈内膜切除術の同時手術を施行された患者は脳卒中または死亡のリスクが有意に高い、とNeurology 1月16日号に掲載された。研究者らは、1993〜2002年に頸動脈内膜切除術または冠動脈バイパス術を施行された米国患者657,877人のデータをレビューした。その結果、同時手術を受けた患者は冠動脈バイパス術のみを受けた患者と比較し、死亡または術後脳卒中のリスクが38%高かった。研究者らは個々の患者の脳卒中の既往や頸動脈狭窄の程度を把握できていなかったため、筆者らは、単一手術と同時手術を比較する前向き無作為化試験を行なう際にはこれらの二つの因子を考慮すべきであると提案している。筆者らはまた、女性は男性と比較し同時手術のリスクが低いことも記している。

APEX AMIトライアルの結果、経皮的冠動脈インターベンション前後のpexelizumabの使用はプラセボと比較し有意な治療効果が認められないことが示された [2007-01-16]

APEX AMI Trial shows that pexelizumab before and after percutaneous coronary intervention has no significant treatment effect compared with placebo
予備的研究では有効性が示されたが、大規模なAPEX AMIトライアルの結果、経皮的冠動脈インターベンション前後のpexelizumab使用はプラセボと比較し有意な治療効果を認めないことが示された、とJournal of the American Medical Association 1月3日号に掲載された。
この国際的なphase III試験には5,745人の患者を組み入れ、2,885人をプラセボ、2,860人にはpexelizumabを施術前およびその後24時間点滴を行う群に無作為に割り付けた。その結果、30日および90日後の死亡率または死亡、心原性ショック、または心不全の総計には有意差がなかった。著者および編集者は、炎症による再灌流障害が予後不良の原因であるとの仮説は根拠があり、今後の研究により異なる薬剤または他のタイミングでの薬剤使用を試みたり、臨床上の結果を変化させる程の再灌流障害リスクの最も高い患者群の見極めを行うであろう、と述べている。

中等量のアルコールを摂取する高血圧の男性は飲酒をしない対照群と比較し、致死的および非致死的心筋梗塞を発症するリスクが低い可能性がある [2007-01-16]

Men with hypertension who drink a moderate amount of alcohol may have a lower risk of fatal and non-fatal myocardial infarction than non-drinking peers
中等量のアルコール(1日1〜2杯)を摂取する高血圧の男性は飲酒をしない対照群と比較して致死的および非致死的心筋梗塞を発症するリスクが低い可能性がある、とAnnals of Internal Medicine 1月2日号に掲載された。研究者らは、1986年に開始され現在も進行中であるスタディの対象となった高血圧の米国人男性11,711人のデータを解析した。彼らは4年ごとに、ビール、赤ワイン、白ワイン、およびリキュール類の摂取頻度に関するアンケートに回答した。フォローアップ期間中に653件の心筋梗塞(致死性279件、非致死性374件)が発症した。中等度のアルコール摂取により非飲酒と比較し梗塞のリスクが低下した。このアルコールと梗塞のリスクの関係は群間の違いで補正してもなお認められた。一日3杯以上の飲酒は血圧を上昇させるため、筆者らはガイドライン通りに一日1〜2杯以下の飲酒を守ることを推奨している。

冠動脈バイパス術中の自己血でない輸血は、術後数ヵ月間の感染および死亡のリスクを上昇させる [2007-01-09]

Transfusion with donated blood during coronary bypass surgery increases risk for infection and death in the first several months after surgery
冠動脈バイパス術中の自己血でない輸血は術後の感染および死亡のリスクを上昇させる、とAmerican Heart Journal 12月号に掲載された。この解析は米国の同じ地域でバイパス術を施行された患者9,218人のデータに基づくものである。手術の緊急性などの因子で補正した結果、研究者らは、輸血を受けた患者は輸血を受けなかった患者と比較し、術後100日間に死亡する確率が5倍高いことを見出した。自己血輸血に伴うリスクは輸血を受けなかった患者のそれと同等であった。白血球または他の血液成分に対する患者側の全身反応が、輸血を受けた患者において認められた全体的な易感染性の原因ではないか、と筆者らは推測している。

年齢とともに身長が低下する男性は冠動脈疾患に伴う合併症のリスクおよび死亡のリスクが高い [2007-01-09]

Men who lose height as they age are at increased risk for adverse events associated with coronary heart disease and increased risk for death
加齢により身長が3cm以上低下した男性は死亡のリスクが高い、とArchives of Internal Medicine 12月11日号に掲載された。研究者らは、1978〜1980年に心臓のスタディに組み入れられその後20年間追跡調査された英国の男性(60〜79歳)4,213人を調査した。全体では身長が平均で1.67cm低下した:低下が1cm未満だった者が1,471人、1〜1.9cmだった者が1,330人、2 〜2.9cmだった者が807人、3cm以上だった者が605人であった。二回目の調査後平均5年間のフォローアップ期間中に760人が死亡した。身長が3cm以上低下した者は身長の低下が1cm未満の者よりも死亡のリスクが64%高かった。死亡を増加させた原因は、心血管疾患か呼吸器疾患またはがん以外の他の疾患がほとんどであった。身長の低下は、心血管疾患の既往や既知のリスクファクターで補正してもなお、冠動脈イベントのリスクを上昇させる因子であった。
 
 
 
 

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