第一世代抗精神病薬と非定型抗精神病薬
  うつ病の寛解の維持
  抗うつ薬と自殺
  幼児の注意欠陥・多動性障害
  抗うつ薬の効果増強
  知能と心的外傷後ストレス障害

 12月5日のDOL NewsはAHA特集のため、Psychiatryニュースは
 お休みさせていただきました。



CATIEトライアルの結果、第一世代抗精神病薬ペルフェナジンの統合失調症治療における有効性は、より新しい非定型抗精神病薬と比較し劣らないことが示唆された [2006-12-26]

CATIE Trial suggests that the first generation agent perphenazine is no less effective than the newer atypical antipsychotics for treatment of schizophrenia

第一世代抗精神病薬ペルフェナジンの統合失調症治療における有効性は、より新しい非定型抗精神病薬と比較し劣らないようである、とAmerican Journal of Psychiatry 12月号に掲載された。CATIEトライアルのPhase IIにおいて研究者らは第一世代抗精神病薬ペルフェナジンの有効性および忍容性を、Phase Iで使用した、第二世代抗精神病オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、およびziprasidoneと比較した。その結果、ペルフェナジンと第二世代群とでは、症状の改善や副作用の負担など全体の有効性において有意な差はなかった。このスタディの継続期間はわずか18ヵ月であったため、抗精神病薬開始後数年経過後に発症する遅発性ジスキネジアや糖尿病、心血管障害、または他の病態の発現を明らかにするのは不可能であった。このようなスタディの限界はあるが、筆者らは医師らに、特に薬剤の変更が必要な場合には、第一世代の抗精神病薬の使用を考慮することを推奨している。

 

大うつ病再発患者の多くは抗うつ薬による長期維持療法が有益な可能性がある [2006-12-26]

Many patients who have had a recurrence of major depression may benefit from long-term maintenance antidepressant therapy

大うつ病再発患者の多くは抗うつ薬による長期維持療法が有益であろう、とJournal of Clinical Psychiatry 11月号に掲載された。研究者らは、fluoxetine、セルトラリン、パロキセチン、またはcitalopramの4剤中1剤を用いた8週間の初期治療に対する反応が良好であった患者200人を評価した。初期療法のあとはescitalopramを用いた治療を4ヵ月間施行した。その後患者らを10または20 mgの定量のescitalopramまたはプラセボを1年間内服する群に無作為に割り付けた。フォローアップ期間中にescitalopram内服群患者の27%が再発したのに対しプラセボ内服群のその割合は65%であった。維持療法を行わない場合の再発のリスクを全体的に評価するにあたり筆者らは、この無作為化試験に組み入れられた患者は試験開始時にはうつ病の症状が完全に消失していたことを特筆している。

 

抗うつ薬を内服している自殺企図患者は、自殺企図のリスクは上昇する可能性はあるが自殺または他の原因で死亡するリスクは低い [2006-12-19]

Suicidal patients taking antidepressants appear to be at increased risk for suicide attempts but at reduced risk for death from suicide or other cause

抗うつ薬を内服している自殺企図患者は、自殺企図のリスクは上昇する可能性はあるが自殺または他の原因で死亡するリスクは低い、とArchives of General Psychiatry 12月号に掲載された。フィンランドの研究者らは自殺企図にて入院した患者15,390人(男性7,466人、女性7,924人)を退院後フォローした(平均3.4年)。フォローアップ期間中に自殺602件、自殺企図の結果の入院7,136件、および死亡1,583件が認められた。自殺既遂は抗うつ薬内服者において9%少なかったが、リスクは薬剤により異なった。例えば、fluoxetineは内服していない者と比較し自殺既遂のリスクを48%低下させたが、venlafaxineはリスクを61%上昇させた。筆者らは、自殺企図の増加の一部は用量過多によるものであるが、首吊りや銃の使用のようなより暴力的で致死率の高い自殺の方法が減少したため自殺既遂率は低下したものと推測している。

 

未就学児の注意欠陥・多動性障害は低用量methylphenidateの綿密な監視下での使用により改善する [2006-12-19]

Pre-school age children with attention deficit hyperactivity disorder improve with closely monitored use of low-dose methylphenidate

未就学児の注意欠陥・多動性障害は低用量methylphenidateの綿密な監視下での使用により改善する、とJournal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry 11月号に掲載された。この大規模研究(3〜5歳の小児303人)は10週間の行動療法コースから開始した。極端な症状が改善しない小児で親が継続したい場合のみ、薬物療法のスタディに組み込んだ。初めに子供達は1日3.75mg から 22.5mgまでの用量を3回に等分し内服する群に割り付けられた。11%が体重減少や不眠から気分障害や皮膚摘み取り行動に到るまでの症状により脱落した。次の段階ではmethylphenidateとプラセボを比較した。Methylphenidateは全ての用量にわたりプラセボよりも症状の著明な改善をもたらした。年長の小児と比較し、総じてmethylphenidateの有益性は限られており副作用は多かった。

 

Phase IIトライアルの結果、治験薬mecamylamineはcitalopramによる抗うつ療法を増強するのに使用した場合、効果が期待できることが示された [2006-12-12]

Phase II trial data suggest investigational agent mecamylamine is effective when used to augment antidepressant therapy with citalopram

Mecamylamineはcitalopramによる抗うつ療法を増強するのに使用した場合、効果が期待できることが示されたとのphase II TRIDMACトライアルの結果が得られた。このスタディの最初の段階では大うつ病患者450人にcitalopramを6週間投与し、Hamilton Depression Rating Scale (ハミルトンうつ病評価尺度)および Clinical Global Impression subscale(臨床症状の全般評価)を用いて疾患の重症度を評価した。その後、部分的に効果のあった者および効果の認められなかった者184人を、追加の8週間のcitalopram 療法の効果を増強する目的でmecamylamineまたはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。Intent-to-treat解析によるとmecamylamineはプラセボよりも有意に症状を改善した。他の一次エンドポイントである寛解率は、mecamylamineにおいて良好であったが統計学的に有意ではなかった。さらにこのトライアルには二次計測項目として5つの評価尺度が含まれていた。5つの尺度のうち3つはmecamylamineの方が有意に良好であった。

 

知能の高い小児はその後の人生において心的外傷後ストレス症候群を発症しにくいが不安症を有する小児は平均よりもリスクが高い可能性がある [2006-12-12]

Intelligent children may be less likely to develop post-traumatic stress disorder later in life whereas children with anxiety may have higher-than-average risk

知能は青年期の心的外傷後ストレス障害の発症しやすさに影響する可能性がある、と Archives of General Psychiatry 11月号に掲載された。米国の研究者らは2つの近い地域(貧しい都市地域と中流の郊外)集団の小児713人を調査した。子供たちは6歳の時に知能テストを施行され、教師と親たちは子供の行動を評価し不安障害の症状があれば記録した。17歳の時点で全ての参加者が問診を受けた。その結果、541人が心的障害を受ける出来事を経験し45人(心的障害を経験した者の8.3%)が心的外傷後ストレス障害の診断基準に合致した。子供の頃に知能の高かった青年らは外傷後障害を発症しない傾向にあった。一方、行動に問題があったり不安症の症状を有したりする青年はこれらを有さない青年と比較し外傷に遭遇した場合に障害を有する確率が2倍高かった。不安症や地域背景のような他の因子が存在してもなお知能は予測因子となった。

 


 

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