肥満は気分障害および不安障害のリスクを25%上昇させ薬物乱用のリスクを25%低下させる、とArchives of General Psychiatry 7月号に掲載された。米国の研究者らは、ある大規模な調査に参加した成人9,125人(平均年齢44.8歳)に対し大うつ病、気分変調、双極性障害などの気分障害、パニック障害や全般性不安障害を含む不安障害、薬物乱用などの経験に関する質問を行った。Body mass indexが 30未満は全体の約4分の3であり、2,330人はbody mass indexが30以上で肥満と考えられた。肥満を有する成人は気分障害や不安障害の生涯罹患率がより高く、薬物乱用障害の罹患率はより低かった。この傾向は男女間において差はなかった。肥満と気分障害の関連はヒスパニック系でない白人でより学歴の高い者において最も強く認められた。
第3回目のSTAR*Dスタディの新たな結果から、抗うつ薬を2種類試し不成功であった患者が3種類目の薬剤によって軽快する確率はごく低いことが示された、とAmerican Journal of Psychiatry 7月号に掲載された。抗うつ薬に関するこれまでで最も大規模な第二相臨床試験の患者で、他の薬剤を試すことを選択した者235人を、レベル1または2では使用されなかった抗うつ薬であるノルトリプチリンまたはmirtazapineを試す群に無作為に割り付けた。14週後の寛解率はノルトリプチリン群で20%、mirtazapine群で12%であり有意差はなかった。有害な副作用の頻度もまた同等であった。このレベル3で使用された2種類の抗うつ薬の薬理作用は過去のレベルのものとは異なり、また2種類各々の薬理作用もお互いに異なっていた。
境界性パーソナリティ障害と双極性障害は一般的には共存しないとの治療へのアプローチに関する重要な意味を持つ結果が、American
Journal of Psychiatry 7月号に掲載された。4年間の米国のスタディにおいて境界性パーソナリティ障害と確定診断された患者196人を評価した。双極性障害の合併率は19%であった。一方、他のパーソナリティ障害を有する患者が双極性障害を合併する確率は8%であった。パーソナリティ障害を有しベースライン時に双極性障害を有さない患者のうち、その後4年間に双極性障害を発症した確率は、境界性パーソナリティ障害での8%に対し、他のパーソナリティ障害患者におけるその割合は3%であった。これだけ差があったにもかかわらず、境界性パーソナリティ障害患者における双極性障害の合併率は20%未満にとどまっていた。双極性障害の有無に関わらず境界性パーソナリティ障害患者の3分の2において寛解が認められた。
米国のデータの新たな解析の結果、過去20年間の抗うつ剤の使用量増加と国内の自殺率の著明な低下には強力な相関関係が認められることが示された、とPLoS
Medicine 6月号に掲載された。このデータは、fluoxetineが発売される以前の15年間の米国の自殺率はほぼ変化がなかったが、その後14年間その使用量増加に伴い自殺率が低下したことを示している。効果は女性において顕著に認められた。1988年以前のデータをもとに数式モデルから予測した1988〜2002年の自殺率によると、fluoxetine導入後の米国人の自殺による推測死亡者の減少総数は33,600人である。筆者らは、自殺の多くは未治療のうつ病の人々に起こっていると述べている。また、データを総合的に判断すると、使用された個々の抗うつ剤または薬剤の種類と自殺のリスクには傾向が見られなかったことが示された。
リラクゼーション療法のような認知行動療法は非ベンゾジアゼピン系薬剤であるゾピクロンと比較してより有益である、とJournal
of the American Medical Associationの6月28日号に掲載された。ノルウェーの研究グループは慢性の一次性不眠を有する成人46症例(平均年齢60.8歳)を、行動療法群、ゾピクロン
7.5mg就寝前投与群、およびプラセボ投与群に無作為に割り付けた。全ての群の治療は6週間にわたって行われ、さらに行動療法群、ゾピクロン7.5mg就寝前投与群の両群に関しては6ヵ月間のフォローアップが行なわれた。行動療法群の夜間総覚醒時間はプラセボ群と比較して6週間の時点で、またゾピクロン投与群と比較すると6週間および6ヵ月の時点で有意に改善が認められた。一方、行動療法群における総睡眠時間は6週間の時点と比較して6ヵ月の時点では有意に増加していた。ゾピクロン投与群では6ヵ月間のフォローアップの期間を通じ、投与6週間の時点において最も改善が認められた。全体的に見て、
認知行動療法群ではゾピクロン投与群に比べ、総覚醒時間、睡眠効率、徐波睡眠のすべてにおいてより有意であった。