マウスにいじめを繰り返すことにより持続的な海馬の遺伝子発現の変化に関連したうつ病様の症状が引き起こされる  [2006-03-14]

Repeated bullying causes a depression-like syndrome in mice that is associated with lasting changes in gene expression in the hippocampus

優勢なマウスにより攻撃を繰り返されたマウスはうつ病様症状を示し、明らかな海馬の遺伝子発現変化が認められる、とNature Neuroscience オンライン版2月26日号に掲載された。Brain-derived neurotrophic factor (BDNF) の遺伝子発現は攻撃の後3倍減少しており、その後数週間にわたり低いレベルを維持した。イミプラミンにより遺伝子発現は回復し行動も正常に戻ったが、社会的逸脱行動は薬物を中止すると再発した。遺伝子発現の低下はDNAを取り囲むヒストン蛋白のメチル化、つまり、「発現抑制」と呼ばれる作用によるものであった。イミプラミンは逆の化学反応によりこの発現抑制を妨害する。しかし、抗うつ剤はこの「抑制」分子自体を取り除かない。このことが抗うつ剤により治療成功したあとにうつ病が再発しやすい原因であるかもしれない。

 

電気けいれん療法は大うつ病患者のQOLを少なくとも半年間改善させる [2006-03-14]

Electroconvulsive therapy improves quality of life in patients with major depression for at least six months

大うつ病患者に対する電気けいれん療法により改善したQOLは少なくとも半年間持続する、とJournal of Affective Disorders 2月号に掲載された。米国の研究者らは重症のうつ病患者283人を治療前およびその後半年間評価した。QOLはMedical Outcomes Study Short Formを用いて評価された。このスコアは各々の項目が0から100までの段階で評価され、100が満点であった。治療前の平均の「活力」スコアは20.4点、「社会的機能」スコアは22.8点、「感情」スコアは6.4点であった。治療半年後、活力スコアは40.1点、社会的機能スコアは55.2点、感情スコアは42.8点であった。改善の大部分は抑うつ症状のコントロールにより説明された。24週間後、全体の78%の患者がベースラインよりQOLが改善した、と報告した。

 

幼少期の不安やうつの症状は青年期または若年成人期のエクスタシーまたは他の多幸感誘発薬剤の使用のリスクを上昇させるようである  [2006-03-07]

Childhood symptoms of anxiety and depression appear to increase risk for use of ecstasy or other euphoria-inducing drugs in adolescence and young adulthood

不安やうつの症状を有する子供は、青年期または若年成人期に、エクスタシーとして知られる3,4-methylenedioxymethamphetamine (MDMA)または他の多幸感誘発薬剤を使用するリスクが高い可能性がある、との前向き地域集団研究の結果が、British Medical Journal 2月23日号オンライン版に掲載された。オランダの研究者らは、エクスタシーが気晴らし様麻薬としてオランダの市場に出る前の1983年および1997年に同じ1,580人を評価した。1983年に不安やうつを有していた子供は1997年にエクスタシーを使用している確率が高かった。筆者らは、これからの研究により、薬物開始のリスクファクターの理解、およびそのような薬剤使用による脳神経伝達系とそれに関連した精神病理学に対する影響に関する結論がさらに得られるであろうと述べている。

 

10代青少年の蛋白同化ステロイド使用による攻撃性は少なくとも若年成人期まで持続し、脳内化学物質の長期的な変化と関係がある可能性がある [2006-03-07]

Aggression related to anabolic steroid use by teenagers may persist into at least young adulthood and correlate with longer-lasting changes in brain chemistry

10代青少年の蛋白同化ステロイド使用による攻撃性は少なくとも若年成人期まで持続し、長期的な脳内化学物質の有害な変化と関係がある可能性がある、とBehavioral Neuroscience 2月号に掲載された。ハムスターのモデルを使用したスタディの結果、脂溶性ステロイド溶液を注射されたハムスターは、彼らのケージに入れられた脂溶性溶媒のみを注射された同週齢のハムスターよりも、10倍以上攻撃的であった。ステロイドの離脱および臨床的な回復には数週間を要し、それは青年期期間の半分に等しかった。視床下部からのバソプレッシンの分泌は攻撃的な行動と平行に急上昇しそして低下した。この研究グループの最新の発見から、これらのハムスターのセロトニン系はステロイド使用後決して回復しないことが示され、この結果は現在または過去のステロイド使用者におけるうつ病を扱う際に影響を及ぼす可能性がある。

 


 

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