非小細胞肺がんの生存率改善
  手術不能な頭頸部がんの選択肢
  血液幹細胞移植の新たな技術
  マンモグラフィーの新たな解析

 11月21日・28日のDOL NewsはAHA特集のため、Oncologyニュースは
  お休みさせていただきました。




縦隔リンパ節転移陽性の非小細胞肺がん患者は術後放射線照射と化学療法の併用により術後化学療法単独よりも生存期間が延長する [2006-11-14]
Patients with non-small cell lung cancer and positive mediastinal nodes live longer with postoperative radiation and chemotherapy than with chemotherapy alone

縦隔リンパ節転移陽性の非小細胞肺がん患者は術後放射線照射と化学療法の併用により術後化学療法単独よりも生存期間が延長する、とAmerican Society for Therapeutic Radiology and Oncology学会にて発表された。研究者らは非小細胞肺がんに対する術後化学療法を調査した無作為化ANITA1試験のデータを解析した。放射線療法は無作為化ではなくリンパ節転移陽性の患者には推奨された。840人の患者のうち232人が術後放射線療法を受け、その一部が化学療法も併用された。化学療法と放射線療法を受けた患者は術後化学療法のみの患者よりも2年間長く生存した(47ヵ月対24ヵ月)。この解析結果は今回のような設定下で術後放射線療法を評価した初めてのものであり、今後これらの患者集団に対する放射線療法を直接評価する前向き試験のさきがけとなる可能性がある。

 
手術不能な頭頸部がんに対する放射線療法との併用静注化学療法はカテーテルを用いた動注化学療法と有効性が同等である [2006-11-14]
Chemoradiation for inoperable head and neck cancer using intravenous drug delivery is as effective as direct intra-arterial chemotherapy delivery

手術不能な頭頸部がんに対する放射線療法との併用静注化学療法はカテーテルを用いた動注化学療法と有効性が同等である、とAmerican Society for Therapeutic Radiology and Oncology 学会で発表された。このオランダのスタディでは手術不能な頭頸部がん患者240人を放射線療法および静注または動注化学療法によりシスプラチンを投与する群に無作為に割り付けた。その結果、いずれの治療法においても腫瘍の成長は同程度に抑制された。過去の非無作為化試験においては動注化学療法の方がより有効であるとの結果が得られていた。

 
血液幹細胞移植の新たな技術により白血病の小児の全身の被爆が避けられ免疫機能の回復が改善する [2006-11-07]
New technique for blood stem cell transplantation avoids whole-body irradiation and improves recovery of immune system function in children with leukemia

低強度の血液幹細胞移植により薬剤無効白血病の小児の全身の被爆や抗胸腺細胞グロブリンの使用を避けることに成功した、とBritish Journal of Haematology 11月号に掲載された。この新たな技術は移植前にTリンパ球を取り除き完全にマッチした細胞を使用するのではなく、haplo-identicalな(HLA不一致)幹細胞を使用する。米国の臨床試験で22人の小児が低強度の移植を施行された。91%において完全ドナー型キメリズム(Full-donor chimerism)が認められた。一方従来の方法(骨髄破壊処置)を受けた患者のその割合は92%であった。12ヵ月の追跡期間中に急性移植片対宿主病(GVHD)は低強度療法患者の12%、従来の治療を受けた患者の2%に認められた。低強度療法群患者のうち5人に慢性疾患が発症した。結果として1年間に死亡した患者はいなかった。低強度療法患者においては移植後4ヵ月間における免疫系の回復が早く認められウイルス感染の発症率も低かった。

 
マンモグラフィーのスクリーニングにより乳がん死亡率は低下するが臨床上有意でない疾患の診断をするリスクが上昇する [2006-11-07]
Screening mammography reduces breast cancer mortality but is associated with higher risk for diagnosis of clinically insignificant disease

マンモグラフィーのスクリーニングにより乳がん死亡率は低下するが臨床上有意でない疾患の診断をするリスクが上昇する、とCochrane Database of Systematic Reviews第4版(2006年)に掲載された。研究者らは6つの無作為化トライアルにおける500,000人の女性(ほとんどがベースライン時45〜64歳)を解析した。7年後にスクリーニングを受けた女性の乳がん死亡率はスクリーニングを受けなかった女性よりも20%低かった。同様の死亡率低下が13年後にも認められた。トライアルの質を評価した筆者らは、マンモグラフィーのスクリーニングにより死亡率が約15%低下すると結論付けた。しかし、スクリーニングを受けた女性は有意でない可能性のあるがん(最も多いのが非浸潤性乳管がん)を診断される確率が30%高かった。マンモグラフィーの全体的な有益性は、生体反応のマーカーを非常に早期の腫瘍の段階で発見することにより上昇し、過剰治療を行なうことにより低下する。

 
 


 

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