肥満は限局性前立腺がんに対する放射線療法後の生化学的再発の独立した予測因子である [2006-07-25]
Obesity independently predicts biochemical failure after radiation therapy for localized prostate cancer

肥満は限局性前立腺がんに対する放射線療法後の生化学的再発の独立した予測因子である、とCancer 8月1日号プリント版に掲載された。研究者らは1988年から2001年の間に外部照射治療を受けた患者873人を調査した。そのうち18%は軽度肥満であり、5%は中等度−重度の肥満であった。平均96ヵ月後、295人において生化学的再発が認められ、127人においてがんの再発が認められた。他の変数で補正した結果、body mass indexは生化学的再発と再発の両者の予測因子であった。生化学的再発は前立腺特異抗原のモニタリングで検出され、正常体重の患者において30ヵ月後であったのに対し中等度から重度の肥満患者におけるそれは26ヵ月後であった。肥満の男性はまた、再発率も有意に高かった。この結果は、昨年同じ研究チームが初回に手術で治療された患者において報告した体重と予後の関係を再度強調するものである。

 
BRCA変異を有し卵管卵巣摘出術を施行された女性は多重がん(multiple cancers)のリスクが有意に低い [2006-07-25]
Women with BRCA mutations who undergo salpingo-oophorectomy significantly reduce risk for multiple cancers

BRCA変異を有する女性は卵管卵巣摘出術によりある種のがんのリスクが有意に低下する、とJournal of the American Medical Association 7月12日号に掲載された。この国際前向き研究ではBRCA変異を有する女性1,828人を登録した。平均追跡期間3.5年後、新たに50例の卵巣、卵管、および腹膜のがんが報告された。全体で、555人(30%)が試験開始前に予防的手術を施行され、490人(27%)が試験開始後手術を施行され、783人(43%)は手術を受けなかった。がんを発症した50例中32例は卵巣を摘出していない女性において認められた。補正後の、両側卵管卵巣摘出術によるがんのリスク軽減率は80%であった。筆者らは、BRCA1変異を有する者は、乳がんのリスクを軽減するために約35歳の時点で予防的手術を考慮すべきであるとも述べている。BRCA2変異を有する者はそれよりは待てるが、この遅延により乳がんの予防効果はおそらく低下するであろう。

 
女性の喫煙者は男性喫煙者と比較して肺癌発生の危険性は高いものの、肺癌による死亡率は低いようである [2006-07-18]
Women smokers appear to have a higher risk for lung cancer but a lower lung cancer death rate than men who smoke

女性喫煙者は男性喫煙者と比較して肺癌発生の危険性は高いものの、肺癌による死亡率は低いことが明らかにされたとの論文が、Journal of the American Medical Associationの7月12日号に掲載された。北米で行われたこの研究では喫煙歴のある40歳以上の女性7,498例と男性9,427例を対象として、1993年から2005年の期間における肺癌発生状況についてのスクリーニングを行っている。この中で156人(2.1%)の女性および113人(1.2%)の男性が肺癌と診断された。しかし喫煙年数、病期、腫瘍組織型および切除状況による補正を行った結果、女性の肺癌による死亡率は男性のそれと比較して低率であった。女性における各病期ごとの生存率に対する有利な点は全ての組織型の肺癌において認められており、このことは今後の研究において解明されるべき性差を示唆するものである、と編集局では述べている。

 
長期喫煙者はアスピリンもしくは他の非ステロイド系抗炎症薬による大腸癌の予防効果を受けにくい [2006-07-18]
Long-term smokers may not obtain a protective effect against colorectal cancer with aspirin or other nonsteroidal anti-inflammatory drugs

アスピリンもしくは他の非ステロイド系抗炎症薬の服用は大腸癌の危険性を40%まで減少させる可能性が示唆されているが、長期喫煙者においてはこの予防効果は認められないと、Cancer Research 7月1日号に掲載された。この米国の研究は3,299例の成人を対象として行われ、このうち約半数に結腸癌の既往を有する症例が、また残りの半数がコントロールとして結腸癌の既往を有さない症例が含まれていた。この結果、喫煙は癌患者においてより多く認められ、一方、非ステロイド系抗炎症薬の服用は非癌患者においてより多く認められた。最も結腸癌の危険性の高かったのは、20年以上の喫煙歴を有し、かつ非ステロイド系抗炎症薬の服用歴の無いグループであった。非ステロイド系抗炎症薬を服用している喫煙者においても非喫煙者と比較すると結腸癌のリスクは約30%高かった。マイクロサテライト不安定性は結腸癌の約15〜20%において認められる。非ステロイド系抗炎症薬の服用の有無では差は認められなかったものの、長期喫煙者においてはこのマイクロサテライト不安定腫瘍の発生が約2倍の頻度で認められた。

 
腎細胞がんの初回診断時に転移のリスクの高い患者を予測する新たなバイオマーカーが使用される可能性がある [2006-07-11]
Novel biomarker can be used at time of initial diagnosis to predict which patients with renal cell carcinoma are at high risk to develop metastatic disease

RNA結合蛋白IMP3は、腎細胞がんの初回診断時に転移のリスクが高い患者を予測するのに有用な可能性があり、これにより全身療法の利益が得られる可能性があるとLancet Oncology 6月14日号に掲載された。ある米国の多施設研究チームは、原発性腎細胞がんに対し根治的または部分的腎切除を施行された患者406人の組織検体と臨床情報を調査した。研究者らはIMP3に焦点を当てた。というのも、この蛋白は他のがんにおいて過剰発現していることが過去に示されたからである。彼らは、転移を有する患者の腫瘍にはIMP3が過剰発現していることを見出した。興味深いことに、彼らは、IMP3陽性の局所腎細胞がん患者においては80%が後に転移を起こしたが、IMP3を発現していない腫瘍を有する患者のうち転移を来したのはわずか13%であったことも示した。筆者らは、IMP3検査は簡便で廉価かつ信頼できると述べている。

 
BRCA変異があり乳がんを発症した女性は乳房温存手術を受けることは可能であるが、再発予防のためホルモン療法を考慮すべきである [2006-07-11]
Women with BRCA mutations who develop breast cancer can have breast-sparing surgery but should consider hormone therapy to prevent recurrence

BRCA1またはBRCA2変異を有する早期乳がんの女性は、フォローアップのホルモン療法を受ければ乳房温存手術と放射線療法の併用を安全に受けられる、とJournal of Clinical Oncology 6月1日号に掲載された。15年間の国際スタディでは、BRCA変異のある患者160人および変異のない患者445人を対象とした。15年後、併用療法に加え卵巣摘出術を施行されたまたはタモキシフェンを内服した変異のある患者は、併用療法のみを受けた患者と比較して同側の再発のリスクが有意に低かった。併用療法を受けた変異のある患者のうち45%に対側の乳がんが発症したがコントロール群の患者のその割合は9%であった。タモキシフェンを内服することにより対側の乳がんの発症率が6%になった。筆者らは、乳房温存手術を希望するハイリスクの女性に対する最適なホルモンベースの治療法を決定するため、さらなる研究が必要であると主張している。

 
センチネルリンパ節検索と標的リンパ節郭清および生検により大腸がんのステージングが改善する [2006-07-04]
Sentinel lymph node mapping and targeted node excision and biopsy can improve staging of colorectal cancer

標的リンパ節郭清および生検を伴うセンチネルリンパ節検索により大腸がんのステージングが改善する、とArchives of Surgery 6月号に掲載された。米国の研究者らはステージI/IIの大腸がん患者132人(男性63人,女性69人、平均年齢74歳)を調査した。リンパ節検索ののち、腫瘍、センチネルリンパ節、および他の局所リンパ節が摘出された。最終的なステージングの結果、ステージIが33人、ステージIIが46人、ステージIIIが32人であった。リンパ節生検の結果28人(23.6%)がより重症のステージに分類された。リンパ節検索/センチネルリンパ節郭清の感度は88.2%(リンパ節転移が陽性であった患者51人中45人)であった。偽陰性は81人中6人に認められた(7.4%)。筆者らは、大腸がんのリンパ節検索をさらに行うことにより、一部の患者においては将来的に化学療法を治療のプランからはずせる可能性があると結論付けている。

 
ある種の遺伝子変異の存在により、小児がんを患った人が遅発性の薬剤副作用により心不全を発症するリスクが上昇する可能性がある [2006-07-04]
Presence of certain gene variations may increase the risk that survivors of childhood cancers will develop congestive heart failure as a late drug complication

ある種の遺伝子変異の存在により、小児がんを患った人が遅発性の薬剤副作用により心不全を発症するリスクが上昇する可能性がある、とAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。米国の研究者らは、小児期にアントラサイクリンで治療された患者で心不全を有する者47人と有さない者195人を調査した。研究者らは7つの遺伝子の10の多型性を調べ、それらがアントラサイクリンに対する生物学的応答に役割を果たしていることを発見した。GSTP遺伝子のある多型性はリスクを5倍上昇させ、他の変異はリスクを3倍上昇させた。さらに多数の様々な背景の患者の研究を行うことにより、患者の治療プランの一部として行うスクリーニング試験を医師が開発するのに役立つ可能性がある。

 
 


 

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ
Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.