インスリン様細胞増殖因子Iの2種類の遺伝子亜型が、様々な人種群および民族群において前立腺がんのリスクを上昇させることが発見されたことで、個々人のリスク層別化が改善する可能性がある、とJournal
of the National Cancer Institute 1月18日号に掲載された。10年間に渡る地域住民ベースのこのコホートスタディではラテン系、黒人、白人に加え、ハワイ人および日系アメリカ人を含むアメリカ人男女約215,000人以上のデータを解析した。科学者らは、前立腺がんを発症した男性2,320人とそれに匹敵するコントロール2,290人を比較した結果、ある2つの特異的な遺伝子亜型が遺伝的な関連の原因となっており、10%の症例がこの2亜型により説明がつくことを発見した。さらなる解析の結果、このリスク上昇は5つの人種および民族全てにおいて同等であることが示され、このインスリン様細胞増殖因子パスウェイを介して発がん性に同様の影響をもたらしていることが示唆された。
サルを用いた研究の結果、大豆製品中に含まれる高用量のエストロゲン様イソフラボンは乳がんのリスクは上昇させず、閉経後女性において実際その予防効果を有する可能性がある、とCancer
Research 1月15日号に掲載された。閉経後のサルに、様々な1日量のイソフラボンおよびエストロゲンを摂取させた結果、エストロゲンレベルの低いサルはどの用量のイソフラボン摂取でも乳房細胞増殖の増大は認められなかった。興味深いことに、同じサルにおいてエストロゲンレベルを高めると、イソフラボン無摂取またはイソフラボン摂取量が少ないことにより、細胞増殖率が上昇(そして乳がんのリスクが上昇する可能性がある)した。同じエストロゲンレベルを高めたサルはイソフラボン摂取量を多くすることにより細胞増殖が減少したことから、この植物性エストロゲン成分は生理的なエストロゲンの乳房組織に対する影響を一部阻害する可能性が示唆された。
頭頸部がん治療後1年の良好なQOLは長期生存と相関する可能性がある、とArchives of Otolaryngology
- Head & Neck Surgery 1月号に掲載された。ニュージーランドの連続200人の患者群が診断時点と治療後12ヵ月の時点で、がんの再発がなかった場合にアンケートに回答した。10年後、136人(68%)の患者が死亡し、48人が生存しており、16人の状況は不明であった。治療後1年後のQOLが低かった者(頭頸部の疼痛を有していた者も含め)は死亡した確率が高かった。
最大限の外科的腫瘍除去後の静脈内および腹腔内化学療法の併用により生存率に多大な有益性がもたらされたとの新たなデータが確認されたため、stage
IIIの卵巣がん患者の標準的な治療法が変わった、とNew England Journal of Medicine
1月5日号およびNational Cancer Institute (米国国立がん研究所)診療ガイドラインに掲載された。この最新のスタディでは、429人の女性において、静脈内パクリタキセル投与後に静脈内シスプラチン投与を行う群と、静脈内パクリタキセル投与後に腹腔内シスプラチン投与を行いその後に腹腔内パクリタキセル投与を行う群を比較した。骨盤内化学療法を行われた患者205人中、6つの治療を全て受けた患者はたったの86人であったにもかかわらず、この併用療法群の患者の生存期間は16ヵ月長かった。腹腔内カテーテル留置に伴うほとんどの合併症は容易に管理可能であった。治療後一年のQOLは両群間で差がなかった。National
Institutes of Healthの陳述はウェブサイトhttp://ctep.cancer.gov/highlights/ovarian.html.で閲覧可能である。
肺がんの強い家族歴のある現在または過去の喫煙者は肺機能検査やスパイラル断層撮影を受けることにより早期肺がん発見率が改善する可能性がある、とAmerican
Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 1月号に掲載された。統計に基づくと、肺がんの家族歴のある人々は肺がんを発症するリスクが約2〜3
倍高く、米国の研究者らは遺伝子的に肺がんのリスクのある可能性のある人々、特に現在または過去の喫煙者、を見極め監視する方法を調査した。肺がんと診断された患者26,000人中約14%において少なくとも第1度親族が肺がんを有していた。肺がんの若年の家族の診断時年齢中央値は50.5歳とより若年発症の傾向を認めるため、筆者らは早期診断早期治療が重要であると述べている。
CYP2D6酵素活性を低めるこの酵素の対立遺伝子を有する乳がん女性は、タモキシフェンを5年間投与された場合、再発のリスクが約2倍である、とJournal
of Clinical Oncology12月20日号に掲載された。この酵素はタモキシフェンを約100倍有効な代謝物に変換する。米国女性の10%に至るまでがこの対立遺伝子を含むジェノタイプを有している。今回の研究における乳がん女性256人において研究者らはまた、この対立遺伝子を有する女性は、乳がん治療に伴うほてりが少ない、またはあっても軽度であることが多いことに気付いた。同研究グループは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるパロキセチンは、しばしばこのほてりに対し使用されるが、タモキシフェンの活性を阻害する可能性があり、一方、同じ種類の薬剤であるvenlafaxineはタモキシフェンの活性には影響を与えないことを発見した。