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冠動脈バイパス術後の肺合併症のリスクの高い患者は術前の呼吸訓練および筋力トレーニングによりリスクを軽減することができる
[2006-10-31]
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Patients at high risk for pulmonary complications after coronary bypass graft surgery can reduce risk with preoperative breathing exercises and muscle training |
冠動脈バイパス術後の肺合併症のリスクの高い患者は、有効呼吸法、強制呼気法、およびスパイロメーターを用いた術前トレーニングによりリスクを軽減することができる、とJournal
of the American Medical Association 10月18日号に掲載された。待機的手術を施行されたオランダ人患者655人中299人(45.6%)がハイリスクであった。279人がスタディに組み入れられ吸気筋トレーニング(140人)または通常のケアを受ける群(139人)に無作為に割り付けられた。両群ともに同様の術後理学療法を受けた。肺合併症はトレーニング群139人中25人(18.0%)に、通常ケア群では137人中48人(35.0%)に発生し、トレーニング群においてリスクが48%軽減した。肺炎はトレーニング群患者の6.5%、通常ケア群患者の16.1%に発症した。 |
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高周波エネルギーを使用した新たなクランプを用いることにより、心房細動に対するCox-Maze手術が簡便になり施術時間が短縮する [2006-10-31]
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Use of a new clamp that uses radiofrequency energy makes it easier to use the Cox-Maze procedure for atrial fibrillation and shortens duration of the procedure |
メスを用いた切開ではなく高周波エネルギーを使用したクランプを用いてアブレーションを行い瘢痕を作成することにより、心房細動に対するCox-Maze手術が簡便になり施術時間が短縮する、とAnnals
of Surgery 10月号に掲載された。Cox-Maze手術を初めに開発した米国の研究者グループは、手技を有意に簡便にし他の多くの外科医の使用を可能としたこの新たなデバイスを開発し評価した。研究者らは、アブレーションに必要なエネルギー伝達には2〜3秒しか要さず、周囲組織を傷害された患者は一人もいなかった、との結果を得た。最近のスタディによるとこのCox-Maze変法は、90%の患者において心房細動を消失させた。この治癒率は従来の手術による成績に匹敵する好ましいものであった。 |
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新たな解析の結果、ほとんど全ての非ステロイド系抗炎症薬とシクロオキシゲナーゼ2阻害薬を変形性関節症の治療に使用した場合の有効性と安全性は同等であることが示唆された
[2006-10-24]
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New
analysis suggests that almost all nonsteroidal anti-inflammatory drugs and cyclooxygenase-2
inhibitors have comparable efficacy and safety profiles when used to treat osteoarthritis. |
新たな解析の結果、ほとんど全ての非ステロイド系抗炎症薬とシクロオキシゲナーゼ2阻害薬を変形性関節症の治療に使用した場合の有効性と安全性は同等であることが示唆された、とUS
Agency for Healthcare Research and Qualityから報告された。研究者らは26の薬剤のトライアルデータを評価した。鎮痛効果には差は認められなかった。全ての薬物が高血圧、うっ血性心不全、末梢の浮腫、および腎機能低下の悪化を引き起こした。明らかにリスクの低いナプロキセン以外のほとんどが心筋梗塞のリスクを同等に有していた。Celecoxibによる消化管の有害事象のリスクは、非ステロイド系抗炎症薬のリスクと同様であった。筆者らは、他の用量で長期使用を行なった場合の心および消化管のリスクを比較する研究が必要であると強調している。このスタディでは、薬物による大腸がんや他の疾患の予防を目的とした抗炎症薬の使用に関しては評価していない。 |
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乾癬を有する患者は、特に若年および皮膚疾患が重症である場合に、心筋梗塞のリスクが高いようである [2006-10-24]
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Patients
with psoriasis appear to be at increased risk for myocardial infarction especially
if young or their skin disease is severe |
乾癬を有する成人は心筋梗塞のリスクが高いようである、とJournal of the
American Medical Association 10月11日号に掲載された。研究者らは英国において、コントロール556,994人、軽症乾癬患者127,139人、および重症乾癬患者3,837人を比較した。心筋梗塞発症率は重症乾癬患者(5.13/1,000人/年)または軽症乾癬患者(4.04/1,000人/年)においてコントロール(3.58/1,000人/年)より高く、最も発症率が高かったのは若年の重症乾癬患者であった。例えば、重症の乾癬を有する30歳の患者は健康な対照と比較しリスクが3倍高かった。60歳の重症乾癬患者は心筋梗塞のリスクが36%高かった。筆者らは、50歳未満の重症乾癬患者と心筋梗塞の相関は、主要な危険因子を有する者と心筋梗塞の相関の程度に匹敵する規模であった、と述べている。 |
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American Heart Association と American College
of Cardiologyは、心血管疾患を有する患者にはインフルエンザ予防接種を推奨している [2006-10-17]
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American
Heart Association and American College of Cardiology recommend that patients with
cardiovascular disease receive influenza vaccinations |
American Heart Association と American College
of Cardiologyから出された新たな勧告では、心血管疾患を有する患者は他の慢性疾患患者と比較しインフルエンザで死亡する確率が高いため、これらの患者に対するインフルエンザ予防接種を推奨している。インフルエンザ予防接種の防御効果に関する最強のエビデンスはFLUVACSトライアルから得られた。このトライアルでは心筋梗塞またはステント留置による冠動脈形成術施行目的にて入院した患者301人を、インフルエンザ予防接種を受けさせる群と受けさせない群に無作為に割り付けた。その次の年に心疾患による死亡、非致死的心筋梗塞、または重度の虚血を発症した者の割合は、予防接種を受けなかった患者では23%であったのに対し、予防接種を受けた患者のそれはわずか11%であった。この勧告では、鼻からスプレーをして投与する生ワクチンは、心血管疾患患者のようなハイリスク集団においてはインフルエンザを発症させる可能性があるため、投与しないことと特記している。 |
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トライアルデータの新たな解析の結果、急性冠症候群患者には早期の強化スタチン療法を行うことにより重大な心血管イベントのリスクを軽減できることが示された [2006-10-17]
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New
analysis of trial data shows that early intensive use of statins reduces risk
of major cardiovascular events and death in patients with acute coronary syndrome |
13のトライアルの系統的解析から、急性冠症候群で入院後14日以内に強力なスタチン投与を行うことにより重大な心血管イベントおよび死亡のリスクが軽減できることが示された、とArchives
of Internal Medicine 9月25日号に掲載された。研究者らは患者17,963人(平均年齢60歳、男性76%)のデータを解析した。このスタディでは、高用量、低用量のスタチン、またはプラセボで4ヵ月間治療した後、低用量のスタチン、プラセボのみ、または通常の治療を行う群で比較した。早期の高用量スタチン投与の効果は出現するまでに4ヵ月以上かかり2年間維持された。冠動脈イベントが20%弱軽減した。この結果はコレステロール低下作用のみでは説明できなかった。全体としてスタチンは対照治療と同様に安全で忍容性が高かった。17,963人中3人に横紋筋融解症が生じた。いくつかのスタディではスタチン使用により肝炎のリスクが軽度上昇することが示されている。 |
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日本のパイロット研究の結果、ヒスタミンH2受容体拮抗薬により心不全に伴う症状の進行を遅延できる可能性のあることが示された [2006-10-10]
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Pilot
Japanese study indicates use of a histamine blocker may slow progression of symptoms
associated with heart failure |
日本のパイロット研究の結果、ヒスタミンH2受容体拮抗薬により慢性心不全の進行を遅延できる可能性があることが示された、とJournal
of the American College of Cardiology 10月3日号に掲載された。研究者らは損傷した心筋からのヒスタミン放出を阻害することにより疾患の進行を遅らせる可能性があるとの仮説を立てた。彼らは心不全および胃食道逆流症を有する患者50人を無作為に割り付けヒスタミンH2受容体拮抗薬であるファモチジン1日30mgまたは胃粘膜の産生を促すテプレノンを投与した。24週後にファモチジン群患者の心不全症状の重症度(プロトコールを知らない循環器医3人が評価した)は軽くなっていた。筆者も編集局も、この結果は予備的なものであると述べている。もし大規模な臨床評価により有益性が確認されれば、治療方針決定の際に取り組むべきあるいは考慮すべき安全性の問題と同様、至適投与量が同定されるであろう。 |
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若年アスリートの心血管突然死はスクリーニングプログラムに前もって参加することにより有意に減少する可能性がある [2006-10-10]
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Incidence
of sudden cardiovascular deaths among young athletes may be significantly reduced
with pre-participation screening programs |
北東イタリアにおける若年アスリートの心血管突然死発症率は、心血管スクリーニングへの事前参加開始後有意に減少した、とJournal
of the American Medical Association 10月4日号に掲載された。研究者らは若年アスリート42,386人(12〜35歳)のデータを評価した。スタディ期間中にスクリーニングを行なったアスリートでは55件の心血管突然死が発生した(1.9/100,000人/study期間)。一方、スクリーニングを行わなかった非アスリートでの発生率は265件(0.79/100,000人/study期間)であった。アスリートの年間突然死発生率は、1979〜1980年の3.6/100,000人/年から2003〜2004年の0.4/100,000人/年と、89%減少した。一方スクリーニングを行っていない非アスリートにおける突然死発症率はこの期間中変化がなかった。死亡率減少に最も寄与したのは、心筋症による突然死の件数が減少したことであった。このスタディ期間中、アスリートの2%が心血管疾患を理由に不適格とされた。 |
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磁気共鳴画像検査は植込み型除細動器またはペースメーカーを使用している患者の多くに対して、安全かつ有効に施行できる [2006-10-03]
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It
is possible to safely and effectively perform magnetic resonance imaging for many
people with an implanted defibrillator or pacemaker |
植込み型除細動器またはペースメーカーのうち最近のモデル24種に関しては磁気共鳴画像検査を使用することが可能である、とCirculation
9月18日号に掲載された。動物実験で良好な結果を報告した米国のある研究グループが、臨床のプロトコールで評価した。簡単に述べると、デバイスは周囲から見えないように特殊な方法で固定され、除細動器は画像診断に際してスイッチをオフとした。電磁場の強度は約半分の2ワット/kgとし、全ての画像検査に際し蘇生グループが待機した。55人の患者に報告された結果によると、90%以上の画像は診断に適していた。胸部以外の部位は100%正確に画像が撮れており、CT画像では見逃されていたいくつかの診断(2例の脳梗塞/出血、脳腫瘍、および脊髄の血腫を含む)が新たになされた。全ての患者に対して心臓またはデバイスの損傷の兆候の有無を確認するため、3〜6ヵ月間フォローした。今回検査を行い安全であったものでチタンベースのデバイスのリストが、論文の最後に掲載されている。 |
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女性においてリポプロテイン(a)の極端な上昇は新たな独立した心血管疾患の危険因子となりうる [2006-10-03]
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Extremely
high levels of lipoprotein (a) may constitute a new, independent risk factor for
cardiovascular events in women |
女性においてリポプロテイン(a)の極端な上昇は新たな独立した心血管疾患の危険因子となりうる、とJournal
of the American Medical Association 9月20日号に掲載された。この解析には、米国Women's Health Studyの登録時健康な女性27,791人が含まれた。10年の追跡期間中に899例の心血管イベントが新たに発症した。伝統的な危険因子およびC反応性蛋白で補正した解析の結果、リポプロテイン(a)値が上位25%に含まれる女性は下位25%に含まれる女性と比較し心血管イベントを起こす確率が1.47倍であった。リポプロテイン(a)レベルが極端に高い女性の多くはLDLコレステロールレベルも高かったため筆者らは、危険因子を有さずに若年発症の心筋梗塞や他の重篤なイベントを発症した女性や、家族性高脂血症のようなリスクが高いことがわかっているような女性に対してリポプロテイン(a)の検査を施行すべきであると述べている。 |
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