ピオグリタゾンと脳卒中 (World Congress of Cardiology)
  IDEALトライアルとスタチンの比較 (World Congress of Cardiology)
  心不全に関するACCLAIMトライアルのデータ (World Congress of Cardiology)
  高血圧に関するASCOTトライアルのデータ (World Congress of Cardiology)
  心室性不整脈と心臓突然死
  虚血性脳卒中後の血流
  クロピドグレルの適応拡大
  高齢者における弁疾患


ピオグリタゾンは脳卒中の既往をもつ2型糖尿病患者における脳卒中の再発リスクを有意に減少させる [2006-09-26]

Pioglitazone significantly reduces the risk for recurrent ischemic stroke in patients with type 2 diabetes who have had a first stroke
ピオグリタゾンは脳卒中の既往のある2型糖尿病および大血管疾患を有する患者における再発リスクを有意に減少させる、とWorld Congress of Cardiologyで発表された。PROactiveスタディは2型糖尿病および大血管疾患を有する5,238人の患者を対象に行われた。このスタディでは、高リスクを有する2型糖尿病患者(ベースライン時の脳卒中の有無にかかわらず)における脳卒中リスクおよび心血管疾患予後に対するピオグリタゾンの効果について解析検討がなされた。その結果、脳卒中の既往のある患者における脳卒中発症率は47%減少し、心疾患による死亡、心筋梗塞、脳卒中を合わせたリスクは28%減少した。ベースライン時、脳卒中の既往のない患者では、脳卒中発症に関する有効性は認められなかった。

IDEALトライアルの結果、心筋梗塞既往患者における二度目の発症リスクを減少させる点ではアトルバスタチンはシンバスタチンよりも有効であることが示された [2006-09-26]

IDEAL trial indicates atorvastatin is more effective than simvastatin in reducing risk for second myocardial infarction in patients with a recent infarction
IDEALトライアルの結果、アトルバスタチンの80mg/日投与はシンバスタチンの20〜40mg/日投与より二度目の心筋梗塞発症リスクを減少させる点ではより有効であることが示された、とWorld Congress of Cardiologyで発表された。このトライアルでは、冠疾患がありコレステロール値の中等度上昇を呈する8,888人の患者がアトルバスタチン群とシンバスタチン群に無作為割り付けされた(平均フォローアップ期間:4.8年)。今回の結果は、トライアルに登録されるまでの2ヵ月未満の間に心筋梗塞発作があった999症例について解析されている。アトルバスタチン服用患者はシンバスタチン服用患者と比較して、二度目の心筋梗塞発症リスクが46%、心疾患死を含めた主要な冠血管イベントリスクが34%減少していた。また、アトルバスタチン群ではシンバスタチン群と比較して、心疾患死、脳卒中、不安定狭心症および血行再建術のリスクを18%減少させた。薬物の安全性に関しては両群間に差は認められなかった。

ACCLAIMトライアルは、慢性心不全患者のサブグループにおいて抗炎症技術が心血管疾患による入院もしくは死亡のリスクを減少させることを示している [2006-09-19]

ACCLAIM trial shows anti-inflammatory technology reduces risk of cardiovascular hospitalization or death for major subgroup of patients with chronic heart failure
新しいACCLAIMトライアルのデータによれば、Celacade抗炎症技術は慢性心不全患者の心血管疾患による入院もしくは死亡のリスクを減少させることを示している、とWorld Congress of Cardiologyで発表された。この国際的な研究は、12ヵ月以内に入院または血管内薬物療法を受けた左室駆出率30%以下のClass II〜IVの心不全患者、あるいは左室駆出率25%未満のClass III〜IVの心不全患者という診断基準に合致した2,408人を対象として行われた。全ての患者はベースライン時に薬物療法や植込み型除細動器を含む適正な標準的ケアを受けた。研究者らは、心筋梗塞の既往の無いClass III/IV患者およびClass II患者全てを合わせたサブグループ(計1,305人)において、Celacade技術を用いることによって心血管疾患による死亡や入院という一次エンドポイントに対するリスクが31%減少したことを見出した。これまでに発表されたデータでは、Celacade技術は全患者における一次エンドポイントに対するリスクを減少させるものの、今回ほど有意なものではなかった。

ASCOTトライアルのデータによれば、アムロジピンをベースとした治療は高血圧患者における血圧を低下させ糖尿病の新規発症リスクを有意に減少させることを示している [2006-09-19]

ASCOT trial data show that an amlodipine-based regimen significantly reduces blood pressure and the risk for new-onset diabetes in patients with hypertension
ASCOTトライアルのデータによれば、アムロジピンをベースとした治療はβブロッカーをベースとした治療と比較して、高血圧患者における血圧を低下させ糖尿病の新規発症リスクを有意に減少させることを示している、とWorld Congress of Cardiologyで発表された。5年間にわたるASCOT(Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes )トライアルでは、患者はアムロジピン(ペリンドプリル併用もしくはアムロジピン単独)群とアテノロール(ベンドロフルメチアジド併用もしくはアテノロール単独)群に無作為に割り付けされた。患者19,257人のうち14,120人にはベースライン時に糖尿病は認めなかった。この中で1,366例に糖尿病が発症した;アムロジピン群567例(8%)、アテノロール群799例(11.4%)。アテノロール群の患者では体重増加、ベースライン時の血糖値、ベースライン時の血圧を含むリスクファクターとは独立して糖尿病発症リスクの増加が認められた。このトライアルは、アムロジピンが全体の死亡率を11%、心血管疾患死を24%減少させることが分かった時点で、早期に中止された。

心室性不整脈の管理と心臓突然死の予防に対するガイドラインについて、北米とヨーロッパ間で意見の一致が得られた [2006-09-12]

North American and European societies reach consensus for guidelines on management of ventricular arrhythmia and prevention of sudden cardiac death
心室性不整脈の管理と心臓突然死の予防に対する心室性不整脈とそのリスクのある患者の評価と治療に対する新しいガイドラインが共同発表されたことで、北米とヨーロッパの循環器病医の間で意見の一致が得られた。新しいガイドラインでは、急性期および長期の治療選択肢として、薬物治療、デバイス、アブレーション、外科手術、および血行再建術が含まれている。予後や管理は、臨床症状に加えて、症状による負担や根底にある心疾患の重症度に基づいている。さらにこのガイドラインでは、特異的な病態を示す患者群、すなわち運動選手、妊婦、高齢者および小児などに対する勧告もカバーされている。植込み型除細動器についての一つの重要な改訂は、その適応が個々の臨床試験に基づいたそれぞれの閾値から左室駆出率の範囲によるものに変更になった点である。新しいガイドラインはwww.acc.orgwww.americanheart.orgwww.escardio.org で見ることができる。

虚血性脳卒中発生後の血流再開において、遺伝子組み換え組織プラスミノゲンアクチベータとアルガトロバンの併用は、プラスミノゲンアクチベータ単独療法よりさらに有効な可能性がある [2006-09-12]

Recombinant tissue plasminogen activator plus argatroban may be more effective than plasminogen activator alone in restoring blood flow after ischemic stroke
急性虚血性脳卒中発生後の血流再開において、遺伝子組み換え組織プラスミノゲンアクチベータ(rtPA)と抗トロンビン薬であるアルガトロバンの併用は、プラスミノゲンアクチベータ単独療法よりさらに有効な可能性がある、とArchives of Neurology 8月号に掲載された。米国の研究者らはこの予備研究で、標準量のrtPAを投与(発症後平均118分)した15人の患者(男性10人、女性5人、平均年齢61歳)について調査を行った。患者はrtPA投与後1時間以内(発症後平均172分)に高用量のアルガトロバン投与を開始され、以後48時間持続投与された。1人の患者は初期に出血を認めたが、残りの患者は予定量のアルガトロバンを投与された。血流のモニタリングは経頭蓋ドップラー画像で行われた。2人の患者に出血がみられ、うち1人が死亡した。6人の患者で2時間以内に動脈の完全な再開通が、4人の患者で部分開通が認められた。これらの患者のうち3人に再閉塞が認められた。全患者の重症度スコアの平均は治療後に改善していた。今後、さらなる調査が行われることになっている。

クロピドグレルは、米国で急性ST上昇心筋梗塞患者に対して認可されたことで全ての急性冠症候群の治療選択肢となる [2006-09-05]

Approval of clopidogrel in USA for patients with acute ST-segment elevation myocardial infarction makes it an option for all types of acute coronary syndrome
クロピドグレルは、米国で急性ST上昇心筋梗塞患者に対して認可されたことで全ての急性冠症候群の治療選択肢となる。2つの臨床試験では、標準治療にクロピドグレルとアスピリンを併用した群と標準治療にプラセボとアスピリンを併用した群に48,000人以上の患者を無作為に割り付け、評価検討が行われた。中国のCOMMIT/CCS-2スタディでは患者は28日間にわたって経過観察され、一方、国際的なCLARITY-TIMI 28トライアルでは30日間経過観察された。COMMITスタディの結果、クロピドグレルは入院8日後あるいは退院までの再梗塞、脳卒中、心血管死の複合エンドポイント同様、あらゆる原因による死亡の相対リスクを軽減した(イベント発生率、クロピドグレル群15.0% vsプラセボ群21.7%)。初回血管形成術を受けた患者に関するクロピドグレルの効果については明らかになっていない。

加齢の結果、中等度から重度の弁疾患を発症する高齢者の数が増加していることが、臨床的および公衆衛生上の問題となっている [2006-09-05]

The increasingly large number of older adults who develop moderate or severe valve disease as a result of aging is becoming a clinical and public health concern
加齢の結果、中等度から重度の弁疾患を発症する高齢者の数が増加していることが臨床的および公衆衛生上の問題となっている、とLancetオンライン版に掲載された。米国の研究者らは、3つの全国的な人口調査に参加した成人11,911人と大規模医療機関の近隣に住む循環器疾患患者のデータを解析した。全国的にみて、中等度から重度の弁疾患罹患率は18〜44歳で0.7%、75歳以上では13.3%であった。地域別のデータでも同じような結果であったが、男性と比較して女性では弁疾患が起こりにくい可能性が示唆された。今後20年間で弁疾患を有する高齢者の数は倍増することが罹患率の結果から示唆されるため、著者らはより侵襲度の少ない弁疾患治療法の開発と同様、高齢者に対する手術の有益性とリスクについての再評価を勧めている。
 
 
 

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