ピオグリタゾンは脳卒中の既往のある2型糖尿病および大血管疾患を有する患者における再発リスクを有意に減少させる、とWorld
Congress of Cardiologyで発表された。PROactiveスタディは2型糖尿病および大血管疾患を有する5,238人の患者を対象に行われた。このスタディでは、高リスクを有する2型糖尿病患者(ベースライン時の脳卒中の有無にかかわらず)における脳卒中リスクおよび心血管疾患予後に対するピオグリタゾンの効果について解析検討がなされた。その結果、脳卒中の既往のある患者における脳卒中発症率は47%減少し、心疾患による死亡、心筋梗塞、脳卒中を合わせたリスクは28%減少した。ベースライン時、脳卒中の既往のない患者では、脳卒中発症に関する有効性は認められなかった。
IDEALトライアルの結果、アトルバスタチンの80mg/日投与はシンバスタチンの20〜40mg/日投与より二度目の心筋梗塞発症リスクを減少させる点ではより有効であることが示された、とWorld
Congress of Cardiologyで発表された。このトライアルでは、冠疾患がありコレステロール値の中等度上昇を呈する8,888人の患者がアトルバスタチン群とシンバスタチン群に無作為割り付けされた(平均フォローアップ期間:4.8年)。今回の結果は、トライアルに登録されるまでの2ヵ月未満の間に心筋梗塞発作があった999症例について解析されている。アトルバスタチン服用患者はシンバスタチン服用患者と比較して、二度目の心筋梗塞発症リスクが46%、心疾患死を含めた主要な冠血管イベントリスクが34%減少していた。また、アトルバスタチン群ではシンバスタチン群と比較して、心疾患死、脳卒中、不安定狭心症および血行再建術のリスクを18%減少させた。薬物の安全性に関しては両群間に差は認められなかった。
新しいACCLAIMトライアルのデータによれば、Celacade抗炎症技術は慢性心不全患者の心血管疾患による入院もしくは死亡のリスクを減少させることを示している、とWorld
Congress of Cardiologyで発表された。この国際的な研究は、12ヵ月以内に入院または血管内薬物療法を受けた左室駆出率30%以下のClass
II〜IVの心不全患者、あるいは左室駆出率25%未満のClass III〜IVの心不全患者という診断基準に合致した2,408人を対象として行われた。全ての患者はベースライン時に薬物療法や植込み型除細動器を含む適正な標準的ケアを受けた。研究者らは、心筋梗塞の既往の無いClass
III/IV患者およびClass II患者全てを合わせたサブグループ(計1,305人)において、Celacade技術を用いることによって心血管疾患による死亡や入院という一次エンドポイントに対するリスクが31%減少したことを見出した。これまでに発表されたデータでは、Celacade技術は全患者における一次エンドポイントに対するリスクを減少させるものの、今回ほど有意なものではなかった。
ASCOTトライアルのデータによれば、アムロジピンをベースとした治療はβブロッカーをベースとした治療と比較して、高血圧患者における血圧を低下させ糖尿病の新規発症リスクを有意に減少させることを示している、とWorld
Congress of Cardiologyで発表された。5年間にわたるASCOT(Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes
)トライアルでは、患者はアムロジピン(ペリンドプリル併用もしくはアムロジピン単独)群とアテノロール(ベンドロフルメチアジド併用もしくはアテノロール単独)群に無作為に割り付けされた。患者19,257人のうち14,120人にはベースライン時に糖尿病は認めなかった。この中で1,366例に糖尿病が発症した;アムロジピン群567例(8%)、アテノロール群799例(11.4%)。アテノロール群の患者では体重増加、ベースライン時の血糖値、ベースライン時の血圧を含むリスクファクターとは独立して糖尿病発症リスクの増加が認められた。このトライアルは、アムロジピンが全体の死亡率を11%、心血管疾患死を24%減少させることが分かった時点で、早期に中止された。
急性虚血性脳卒中発生後の血流再開において、遺伝子組み換え組織プラスミノゲンアクチベータ(rtPA)と抗トロンビン薬であるアルガトロバンの併用は、プラスミノゲンアクチベータ単独療法よりさらに有効な可能性がある、とArchives
of Neurology 8月号に掲載された。米国の研究者らはこの予備研究で、標準量のrtPAを投与(発症後平均118分)した15人の患者(男性10人、女性5人、平均年齢61歳)について調査を行った。患者はrtPA投与後1時間以内(発症後平均172分)に高用量のアルガトロバン投与を開始され、以後48時間持続投与された。1人の患者は初期に出血を認めたが、残りの患者は予定量のアルガトロバンを投与された。血流のモニタリングは経頭蓋ドップラー画像で行われた。2人の患者に出血がみられ、うち1人が死亡した。6人の患者で2時間以内に動脈の完全な再開通が、4人の患者で部分開通が認められた。これらの患者のうち3人に再閉塞が認められた。全患者の重症度スコアの平均は治療後に改善していた。今後、さらなる調査が行われることになっている。