弾性ストッキングは長距離飛行中の深部静脈血栓発生のリスクを有意に軽減する [2006-04-25]

Compression stockings can significantly reduce risk for development of deep vein thrombosis during long flights
弾性ストッキングは長距離飛行中の深部静脈血栓発生のリスクを有意に軽減するとのメタ解析の結果が、Cochrane Database of Systematic Reviews 2006年版に掲載された。9つのスタディ(成人計2,800人)を解析した結果、半数の者が7時間以上の飛行の間に何らかのの弾性ストッキングを着用していた。飛行後に検査した結果、50人が無症状の血栓を有し、そのうち3人はストッキングを着用しており47人は着用していなかった。ストッキングを着用していた者は下肢の不快感がかなり軽く、むくみも少なかったと報告した。明らかな血栓症状を発症した者は一人もなく、また血栓による重大な体調不良を示す者もいなかった。これらのスタディには低リスクから比較的高リスクの患者まで含まれていた。ストッキングのタイプは血栓予防の程度には影響しないようであった。

心血管疾患のスタディの結果、定期的に尿蛋白を計測し糸球体濾過率を推定することにより中年期から高齢期の末期腎疾患発症のリスクが予測できることが示された [2006-04-25]

Cardiovascular study shows routine testing for proteinuria and estimated glomerular filtration rate predicts risk for development of end-stage renal disease from middle to old age
定期的な尿検査により長期的な末期腎疾患リスクを予測することができる、とJournal of the American Society of Nephrologyオンライン版4月12日号に掲載された。13,000人近くの米国人男性(スタディ開始時の年齢35〜57歳)が心血管疾患予防スタディに登録された。全員がベースラインの時点で心疾患のリスクが高かったが、冠動脈疾患は有していなかった。25年間のうちに1.7%が末期腎疾患を発症するかまたは腎疾患にて死亡した。ベースライン時点で尿蛋白が少量より多く認められた者は末期腎疾患を発症する確率が3倍高かった。尿蛋白がより多く出ている者においては尿蛋白の出ていない者よりリスクが15倍以上高かった。糸球体濾過率推定値が異常低値の場合、後に腎疾患が生じるリスクは2倍以上高かった。他の独立した予測因子としては高齢、喫煙、高血圧、HDLコレステロール低値、高血糖が含まれた。

臨床上無症状の患者であっても頸動脈内ステント留置術後の脳機能テストの点数が改善した [2006-04-18]

Even clinically asymptomatic patients have improvement in brain function test scores after treatment with carotid artery stenting
臨床上有症状および無症状の両患者の脳機能が頸動脈内ステント留置術後に有意に改善した、とSociety of Interventional Radiology学会で発表された。末梢塞栓予防装置を用いたステント留置術を施行された患者計26人が、術前に5回、術後に4回の脳機能の検査を受けた。施術6ヵ月後に全ての患者において術前と比較し神経認知機能が有意に増大していた。一過性脳虚血発作や脳卒中の既往のない無症状の患者は主に神経認知機能が改善した。研究者らは、術前の明らかな行動障害はステント留置後、検査および患者の自覚の両方で改善したことを見出した。全ての患者において改善が認められたが、若年の患者ほど成績が良好であった。全ての改善は核磁気共鳴画像で示されたステント留置前から後への血流の増加度と相関した。

アンジオテンシン変換酵素阻害薬は冠動脈疾患患者の心血管事故および死亡のリスクを軽減させる可能性がある [2006-04-18]

Angiotensin-converting enzyme inhibitors may reduce risk for adverse cardiovascular events and death in patients with coronary artery disease
アンジオテンシン変換酵素阻害薬は左室機能障害または心不全のない冠動脈疾患患者の有病率および死亡率を低下させる可能性がある、とArchives of Internal Medicine 4月10日号に掲載された。7つの無作為化試験(患者計33,960人)のメタ解析の結果、アンジオテンシン変換酵素阻害薬は総死亡リスク、心血管死、心筋梗塞、および脳卒中のリスクを有意に軽減することが示された。全ての患者が少なくとも2年間、平均4.4年間追跡調査された。今回の解析の筆者らは、冠動脈疾患を有する全ての患者に対しこの種類の薬剤投与を考慮することを推奨している。

たとえ軽度でも若年期にLDLコレステロールを低下させた方が冠動脈疾患のリスクを有意に低下させる [2006-04-11]

Even modest reductions in low-density cholesterol early in life significantly reduce risk for coronary heart disease
たとえ軽度でも若年期にLDLコレステロールを低下させることにより冠動脈疾患のリスクが有意に低下する、とNew England Journal of Medicine 3月23日号に掲載された。米国の研究者らは15年間の研究期間中に得られた12,000人以上の成人(ベースライン時の年齢45〜64歳)のデータを解析した。PCSK9遺伝子(これによりLDLコレステロールの肝臓貯蔵許容量が増大し血清レベルは低下する)変異のある人々が存在することを確認した後、ジェノタイプとコレステロールレベル、および冠動脈疾患の発症の関連の可能性を調査した。LDLコレステロールレベルが平均より約40mg/dL低い者はそのレベルが平均のものと比較し冠動脈疾患を発症する確率が8倍以上低かった。LDLコレステロールレベルが平均より約20mg/dL低い者は心疾患を発症する確率が2倍低かった。

LIFEスタディの新たなデータによると、ロサルタンの左室肥大軽減効果は糖尿病を有する者では有さない対照群と比較し低いことが示された [2006-04-11]

New LIFE Study data indicate use of losartan to reduce left ventricular hypertrophy is much less effective in patients with diabetes than in non-diabetic peers
LIFEスタディの新たなデータ解析によると、ロサルタンまたはアテノロールの左室肥大軽減効果は、糖尿病および高血圧を有する患者において糖尿病を有さない対照群と比較し低い、とCirculation 3月28日号に掲載された。今回の解析で研究者らは、高血圧患者9,193人(うち1,195人が糖尿病を合併)の5年間の予後を比較した。薬物療法で有意な左室肥大軽減の認められた糖尿病を有さない患者において死亡または重大な心血管イベント発症率は17〜35%低下した。一方、糖尿病を有する患者においては左室肥大の改善が認められにくく、また左室肥大の軽減が認められた場合でも予後が改善しにくい傾向にあった。筆者らは、糖尿病患者における左室肥大の理解および管理のため、さらなる研究の必要性を強調している。

TROPHYトライアルの結果、カンデサルタンは正常高血圧から高血圧への進行のリスクを軽減することが示された [2006-04-04]

TROPHY Trial data suggest candesartan can reduce risk of progression from high normal blood pressure to hypertension
TROPHYトライアルの結果、カンデサルタンは正常高血圧から高血圧への進行のリスクを軽減することが示された、とAmerican College of Cardiology学会で発表された。このトライアルはカンデサルタン(1日16mg)またはプラセボによる治療を2年間行った二重盲検試験とそれに引き続きその後両群ともプラセボを2年間内服する一重盲検試験から構成された。対象計772人(平均年齢48歳、女性40%)がエンドポイントの高血圧発症までフォローされた。対象者すべてがベースラインの時点で高血圧予備群(血圧が139以下/85-89 mmHgまたは130〜139/89以下で定義)であった。4年目までに、プラセボと比較しカンデサルタン群では15.6%と有意な相対リスクの軽減が認められた。

ExTRACT-TIMI 25トライアルの結果、急性心筋梗塞後のenoxaparin投与により再梗塞および死亡のリスクが軽減されることが示された [2006-04-04]

ExTRACT-TIMI 25 Trial shows that enoxaparin after an acute myocardial infarction can reduce risk for repeat infarction or death
ExTRACT-TIMI 25トライアルの結果、急性心筋梗塞後のenoxaparin投与により再梗塞および死亡のリスクが軽減されることが示された、とAmerican College of Cardiology学会で発表された。研究者らは、急性心筋梗塞の一次治療がフィブリン溶解療法である48ヵ国の20,000人以上の患者を登録した。入院期間中enoxaparinを投与する群と未分画ヘパリンを48時間投与する群を比較した。死亡または非致死的再梗塞のリスクはenoxaparin投与により有意(17%)に低下し、この効果は48時間以内に明らかとなった。30日後、非致死的再梗塞のリスクはenoxaparin群で有意に(33%)低下した。さらに、未分画ヘパリンを投与された患者の7.5%が死亡したのに対しenoxaparinを投与された患者のその割合は6.9%であった。重症出血のリスクで補正した後でも、enoxaparinの有益性は依然として認められた。
 
 
 
 

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