定期的な尿検査により長期的な末期腎疾患リスクを予測することができる、とJournal
of the American Society of Nephrologyオンライン版4月12日号に掲載された。13,000人近くの米国人男性(スタディ開始時の年齢35〜57歳)が心血管疾患予防スタディに登録された。全員がベースラインの時点で心疾患のリスクが高かったが、冠動脈疾患は有していなかった。25年間のうちに1.7%が末期腎疾患を発症するかまたは腎疾患にて死亡した。ベースライン時点で尿蛋白が少量より多く認められた者は末期腎疾患を発症する確率が3倍高かった。尿蛋白がより多く出ている者においては尿蛋白の出ていない者よりリスクが15倍以上高かった。糸球体濾過率推定値が異常低値の場合、後に腎疾患が生じるリスクは2倍以上高かった。他の独立した予測因子としては高齢、喫煙、高血圧、HDLコレステロール低値、高血糖が含まれた。
臨床上有症状および無症状の両患者の脳機能が頸動脈内ステント留置術後に有意に改善した、とSociety
of Interventional Radiology学会で発表された。末梢塞栓予防装置を用いたステント留置術を施行された患者計26人が、術前に5回、術後に4回の脳機能の検査を受けた。施術6ヵ月後に全ての患者において術前と比較し神経認知機能が有意に増大していた。一過性脳虚血発作や脳卒中の既往のない無症状の患者は主に神経認知機能が改善した。研究者らは、術前の明らかな行動障害はステント留置後、検査および患者の自覚の両方で改善したことを見出した。全ての患者において改善が認められたが、若年の患者ほど成績が良好であった。全ての改善は核磁気共鳴画像で示されたステント留置前から後への血流の増加度と相関した。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬は左室機能障害または心不全のない冠動脈疾患患者の有病率および死亡率を低下させる可能性がある、とArchives
of Internal Medicine 4月10日号に掲載された。7つの無作為化試験(患者計33,960人)のメタ解析の結果、アンジオテンシン変換酵素阻害薬は総死亡リスク、心血管死、心筋梗塞、および脳卒中のリスクを有意に軽減することが示された。全ての患者が少なくとも2年間、平均4.4年間追跡調査された。今回の解析の筆者らは、冠動脈疾患を有する全ての患者に対しこの種類の薬剤投与を考慮することを推奨している。
たとえ軽度でも若年期にLDLコレステロールを低下させることにより冠動脈疾患のリスクが有意に低下する、とNew
England Journal of Medicine 3月23日号に掲載された。米国の研究者らは15年間の研究期間中に得られた12,000人以上の成人(ベースライン時の年齢45〜64歳)のデータを解析した。PCSK9遺伝子(これによりLDLコレステロールの肝臓貯蔵許容量が増大し血清レベルは低下する)変異のある人々が存在することを確認した後、ジェノタイプとコレステロールレベル、および冠動脈疾患の発症の関連の可能性を調査した。LDLコレステロールレベルが平均より約40mg/dL低い者はそのレベルが平均のものと比較し冠動脈疾患を発症する確率が8倍以上低かった。LDLコレステロールレベルが平均より約20mg/dL低い者は心疾患を発症する確率が2倍低かった。
TROPHYトライアルの結果、カンデサルタンは正常高血圧から高血圧への進行のリスクを軽減することが示された、とAmerican
College of Cardiology学会で発表された。このトライアルはカンデサルタン(1日16mg)またはプラセボによる治療を2年間行った二重盲検試験とそれに引き続きその後両群ともプラセボを2年間内服する一重盲検試験から構成された。対象計772人(平均年齢48歳、女性40%)がエンドポイントの高血圧発症までフォローされた。対象者すべてがベースラインの時点で高血圧予備群(血圧が139以下/85-89
mmHgまたは130〜139/89以下で定義)であった。4年目までに、プラセボと比較しカンデサルタン群では15.6%と有意な相対リスクの軽減が認められた。
ExTRACT-TIMI 25トライアルの結果、急性心筋梗塞後のenoxaparin投与により再梗塞および死亡のリスクが軽減されることが示された、とAmerican
College of Cardiology学会で発表された。研究者らは、急性心筋梗塞の一次治療がフィブリン溶解療法である48ヵ国の20,000人以上の患者を登録した。入院期間中enoxaparinを投与する群と未分画ヘパリンを48時間投与する群を比較した。死亡または非致死的再梗塞のリスクはenoxaparin投与により有意(17%)に低下し、この効果は48時間以内に明らかとなった。30日後、非致死的再梗塞のリスクはenoxaparin群で有意に(33%)低下した。さらに、未分画ヘパリンを投与された患者の7.5%が死亡したのに対しenoxaparinを投与された患者のその割合は6.9%であった。重症出血のリスクで補正した後でも、enoxaparinの有益性は依然として認められた。