アミオダロンとβブロッカーの併用は埋め込み型除細動器による除細動の電気刺激の頻度を低下させるのに有効であり、バッテリー消耗の早まりを抑え患者の装置に対する忍容性を改善する可能性がある、とJournal
of the American Medical Association 1月11日号に掲載された。この国際的なOPTISスタディーでは、誘導性または自発性の心室性不整脈に対し最近除細動器を埋め込まれた患者412人をアミオダロンとβブロッカーの併用、ソタロール単独、またはβブロッカー単独を1年間投与する3群に無作為に割り付けた。適切な除細動および不適切な除細動(主に上室性不整脈に対する)のいずれも、βブロッカー単独と比較し、アミオダロンとβブロッカーの併用で有意に減少したが、ソタロールでは変化がなかった。編集局は、この研究の患者のように二次予防目的で除細動器を埋め込まれている患者には、この薬物併用療法は少なからず有益であろうと述べている。実際、除細動の電気刺激頻度は28%低下した。
安定している心不全患者は、軽度の利尿作用と呼吸刺激作用を有するアセタゾラミドを睡眠前に内服することにより、睡眠時無呼吸が軽減し夜間血中酸素レベルおよび日中の覚醒度を改善する可能性がある、とAmerican
Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 1月15日号に掲載された。研究者らは、夜間無呼吸発作(1回の持続時間は10秒以上)を一晩に16回以上有する男性12人(平均年齢66歳)を評価した。この二重盲検クロスオーバー試験では患者に、アセタゾラミドまたはプラセボを睡眠1時間前に、6夜にわたり内服させた。2週間のwashout期間の後、内服薬剤を入れ替えた。Body
mass index、血圧、または心拍数の患者群間の差はなかった。睡眠、肺機能検査、血液および他の検査の結果から、アセタゾラミド内服期間中はプラセボ期間中よりも明らかな改善が認められたとの患者の自覚が支持された。
中年期の肥満は、高血圧や脂質異常がなくとも、その後の冠動脈疾患、心血管疾患、および糖尿病のリスクを上昇させる、とJournal
of the American Medical Association1月11日号に掲載された。冠動脈疾患、糖尿病、および明らかな心電図異常のない米国の31〜64歳の成人17,643人が平均32年間追跡調査された。Body
mass indexは正常(18.5〜24.9)、過剰体重(25.0〜29.9)、および肥満(30以上)の者が含まれた。収縮期血圧と総コレステロール値で補正した結果、冠動脈疾患死のリスクは、リスク分類が同等の肥満者と正常体重の者とで比較すると、低リスク群では肥満者のリスクが43%高く、中等度リスク群では2.1倍高かった。この結果は他のリスク群や心血管疾患患者に関しても同様であったが、糖尿病に関しては、リスクは遥かに高かった(低リスク群で糖尿病による死亡のリスクが11倍、入院のリスクが7.8倍)。
高血圧を有する成人における心電図上のストレインパターン(ST低下とT波の陰転化)は、うっ血性心不全を予測する独立した因子である、とCirculation
1月3日号に掲載された。ロサルタン治療による高血圧のエンドポイント軽減(Losartan Intervention
for Endpoint Reduction in Hypertension :LIFE)スタディでは、心電図上左室肥大の所見があるが心不全の既往のない患者8,696人を対象とした。アテノロールまたはロサルタンを基本とした降圧療法に無作為に割り付けた後、4.7年間追跡調査した。ストレインパターンは923人(10.6%)に認められ、彼らの心不全発症のリスクは3倍以上高く、5年間の発症率は8.8%であり、一方ストレインの認められない者におけるその割合はわずか2.7%であった。さらに、ストレインパターンを有する患者の心不全死のリスクはちょうど4倍高く、5年間の死亡率が1.2%であり、ストレインパターンを有さない者のそれは0.3%であった。
心筋梗塞後のLアルギニンのサプリメントは心機能を改善せず死亡のリスクを増加させる可能性がある、とJournal
of the American Medical Association 1月4日号に掲載された。心筋梗塞における血管と年齢の相互作用(VINTAGE
MI)トライアルでは、初回ST上昇心筋梗塞の患者153人(うち77人は60歳以上)に対し6ヵ月間のアミノ酸サプリメントを内服させ、Lアルギニンが血管のstiffnessを軽減し心駆出率を改善するかどうかを観察した。プラセボと比較し、Lアルギニンは非侵襲的に計測した血管のstiffnessを低下させず、心駆出率を改善せず、臨床上の予後も改善しなかった。Lアルギニンを摂った高齢の患者においてはプラセボを摂った高齢患者と比較し、死亡のリスクが増加する可能性があり、その結果、このスタディは予定よりも早期に終了した。Lアルギニン群の患者のうち6人(8.6%)が死亡したのに対し、プラセボ群においては死亡者はいなかった。
勃起不全を有する男性は重大な心血管イベントのリスクが高い、と
Journal of the American Medical Association 12月21日号に掲載された。この7年間のスタディでは他のスタディでプラセボ群に割り付けられた55歳以上の男性9,457人を追跡し、3ヵ月毎に心血管疾患と勃起不全について調査した。9,457人中8,063人(85%)がベースラインの時点で心血管疾患を有さず、そのうちの3,816人(47%)がベースラインの時点で勃起不全を有さなかった。勃起不全のない4,247人中、2,420人(57%)が5年間の間に勃起不全が時に起こったと報告した。本人および家族の様々な病歴などの因子で補正した結果、勃起不全が時に起こる者はスタディ期間中に心血管イベントのリスクが25%増大した。勃起不全を有する男性または時に勃起不全が起こる男性を合計したリスク増大率は45%であった。
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American
Heart Associationは、心筋梗塞後患者への骨髄細胞注入の有望性をはじめとした2005年の研究の進歩―トップ10の一覧を公表した [2006-01-10]
American Heart Associationは、心筋梗塞後患者の損傷心筋の修復補助のための骨髄前駆細胞注入療法の有望性をはじめとした2005年の研究の進歩―トップ10の一覧を公表した。さらに、
vareniclineの禁煙効果がbupropionの倍でありプラセボの4倍であることが示され、また一方、他の研究では間接喫煙が喫煙そのものとほぼ同等の影響があることが確認された。薬物溶出ステントの再血行再建術施行の必要性を軽減する効果および埋め込み型除細動器の死亡率低減効果が強調された。小児および青少年の肥満に対する初めてのガイドラインでは、小児時期の早期から注意が必要であることが力説された。Framingham
Studyの既存のデータから、高血圧前症(収縮期120〜139、拡張期80〜89)の者は正常血圧の者と比較し心筋梗塞のリスクが3倍以上、心疾患のリスクが1.7倍以上であることが示された。脳卒中のケアでは、温熱寒冷交互療法により障害上肢のリハビリテーションが有意に改善することが示された。