Phase IIIトライアルのデータによるとpaliperidone徐放剤は統合失調症の症状を有意に軽減し人格的社会的機能を改善することが示されたと、ある科学研究会で発表された。この薬剤は一日一回投与した。Paliperidoneは2つの研究においていずれの用量もプラセボと比較し、Positive
and Negative Syndrome Scaleの平均合計スコアを有意に改善した。また同薬剤は、いずれのトライアルにおいてもPersonal
and Social Performance scaleのスコアを5つの治療群中4つにおいてプラセボと比較し統計学的に有意に改善した。この研究期間中に発生した、全体の治療による緊急の副作用発症率は、プラセボと差がなかった。5%以上に発生した特異的な副作用はpaliperidoneでは頭痛、アカシジア、錐体外路障害、鎮静、不眠、興奮、不安、頻脈であり、プラセボでは頭痛、鎮静、不眠、興奮、不安であった。
マリファナを毎日、1年以上使用することにより遺伝的に統合失調症になりやすい青少年の疾患発症リスクを上昇させる可能性がある、とRadiological
Society of North America学会で発表された。米国の研究者らは、water diffusion
tensor 画像という、最も精巧な画像診断技術の一つを用いて様々な集団の青少年男性を評価した;つまり、12人の脳の発達の正常な後期青少年と比較した12人の健康な若年青少年、対照コントロール17人と比較した統合失調症患者11人、薬物使用のない対照15人と比較したマリファナ喫煙者15人、である。画像上健常人には、弓状束、前頭用のBroca領域と側頭葉のWernicke領域を連絡している繊維束に異常は認められなかったが、マリファナ使用者と統合失調症の青少年には同様の異常が認められた。
イルカと泳いだり触れ合ったりする動物活用療法は軽度から中等度のうつ病に有効である、とBritish
Medical Journal 11月26日号に掲載された。Honduranトライアルに参加した患者30人のうち半数が、イルカと泳いだり潜ったりすることを1日1時間行った。一方コントロール群の患者は同様の内容を動物なしで行った。患者は全員スタディ開始4週間以上前から2週間のスタディ期間中、抗うつ剤及び心理療法を中止した。ベースラインおよび治療終了時にうつ病スコアを計測した。その結果、平均のうつ病症状の重症度は動物療法群でコントロール群と比較しはるかに軽減し、この結果から、動物とのふれあいは水の中で遊ぶことを超えて有益をもたらすことが示唆された。試験終了から3ヵ月後、両群の患者ともに改善が持続し治療が不要であると報告した。
双極性障害患者において、うつ病症状が増悪または軽快する毎にそれに伴う心理社会的障害の有意な段階上の増悪または軽快が認められる、とArchives
of General Psychiatry 12月号に掲載された。研究者らはNational Institute
of Mental Health (USA) Collaborative Depression Study(米国国家精神衛生うつ病共同研究)の対象者である双極I型障害の患者158人、双極II型障害の患者133人を平均15年間追跡調査しそのデータを解析した。その結果彼らは、無症状の患者の心理社会的能力は良好であることを見いだした。しかし、双極I型およびII型障害の患者のうつ病症状の重症度が上昇する毎に心理社会的障害は増悪した。さらに、双極I型障害の患者においてはほぼ、躁病症状の重症度上昇に伴い心理社会的障害が増悪した。
18歳以上の米国人のうち推定1,700万人(この年代の人口の約8.0%)が過去1年に少なくとも1回の大うつ病エピソードを経験したことが、Substance
Abuse and Mental Health Services Administration(薬物乱用およびメンタルヘルスサービス本部)の新たな文書から明らかになった。彼らの約3分の2が抗うつ薬投与を受けていた。本人からの報告をベースとした今回の2004年の調査は、初めて成人に大うつ病エピソードに関してアンケートをとったものである。前月に不法薬剤を使用した割合は大うつ病を経験した者の方がうつ病のない者より約2倍多く(それぞれ14.2%および7.3%)、喫煙者の割合も高かった。うつ病エピソードを経験したと報告した女性は男性の約2倍(10.3%対5.6%)であり、女性の方が治療を受ける確率が高かった(70.1%対55.2%)。この報告および調査の詳細はhttp://www.oas.samhsa.gov/で閲覧可能である。