PhaseIIIトライアルのデータによるとpaliperidone徐放剤は統合失調症の症状軽減に有効であり人格的社会的機能を改善することが示された  [2005-12-27]

Phase III trial data suggest extended-release paliperidone effectively reduces symptoms of schizophrenia and improves personal and social function

Phase IIIトライアルのデータによるとpaliperidone徐放剤は統合失調症の症状を有意に軽減し人格的社会的機能を改善することが示されたと、ある科学研究会で発表された。この薬剤は一日一回投与した。Paliperidoneは2つの研究においていずれの用量もプラセボと比較し、Positive and Negative Syndrome Scaleの平均合計スコアを有意に改善した。また同薬剤は、いずれのトライアルにおいてもPersonal and Social Performance scaleのスコアを5つの治療群中4つにおいてプラセボと比較し統計学的に有意に改善した。この研究期間中に発生した、全体の治療による緊急の副作用発症率は、プラセボと差がなかった。5%以上に発生した特異的な副作用はpaliperidoneでは頭痛、アカシジア、錐体外路障害、鎮静、不眠、興奮、不安、頻脈であり、プラセボでは頭痛、鎮静、不眠、興奮、不安であった。

双極性障害患者の急性躁病および躁うつ病エピソードに対してDepakote徐放剤が米国において認可された [2005-12-27]

Extended-release Depakote now approved in USA for acute manic or mixed episodes in patients with bipolar disorder

Depakote徐放剤の使用適応が米国において拡大され、精神病的病像の有無にかかわらず双極性障害の急性躁病および躁うつ病エピソードに対し新たに認可された。この新たな薬剤は一日一回投与である。この認可は3週間の無作為二重盲検同時並行対照群研究を検討した後になされたものである。一次有効性評価はMania Rating Scaleスコアのスタディ開始前から終了時(21日目)までの変化であった。Depakote徐放剤はプラセボと比較し全スコアをより低下させた(平均スコア変化:-11.5対-9.0)。急性躁病のトライアルにおいて5%以上の発症率およびプラセボの2倍以上の発症率であった副作用は、消化不良(23%対11%)、嘔吐(13%対5%)、腹痛(10%対5%)であった。すべてのバルプロ酸製剤において認められる重大な副作用、特に肝酵素の上昇および血小板減少の頻度は用量依存性の可能性がある。

 

マリファナの大量使用は遺伝的に統合失調症になりやすい青少年の疾患発症リスクを上昇させる可能性がある  [2005-12-20]

Heavy use of marijuana may place adolescents who are genetically predisposed to schizophrenia at greater risk for developing the disease

マリファナを毎日、1年以上使用することにより遺伝的に統合失調症になりやすい青少年の疾患発症リスクを上昇させる可能性がある、とRadiological Society of North America学会で発表された。米国の研究者らは、water diffusion tensor 画像という、最も精巧な画像診断技術の一つを用いて様々な集団の青少年男性を評価した;つまり、12人の脳の発達の正常な後期青少年と比較した12人の健康な若年青少年、対照コントロール17人と比較した統合失調症患者11人、薬物使用のない対照15人と比較したマリファナ喫煙者15人、である。画像上健常人には、弓状束、前頭用のBroca領域と側頭葉のWernicke領域を連絡している繊維束に異常は認められなかったが、マリファナ使用者と統合失調症の青少年には同様の異常が認められた。

 

イルカを用いた動物活用療法の無作為コントロールトライアルの結果、この療法は軽度から中等度のうつ病に有効であることが示された [2005-12-20]

Randomized controlled trial of animal facilitated therapy with dolphins shows that the treatment is effective for mild to moderate depression

イルカと泳いだり触れ合ったりする動物活用療法は軽度から中等度のうつ病に有効である、とBritish Medical Journal 11月26日号に掲載された。Honduranトライアルに参加した患者30人のうち半数が、イルカと泳いだり潜ったりすることを1日1時間行った。一方コントロール群の患者は同様の内容を動物なしで行った。患者は全員スタディ開始4週間以上前から2週間のスタディ期間中、抗うつ剤及び心理療法を中止した。ベースラインおよび治療終了時にうつ病スコアを計測した。その結果、平均のうつ病症状の重症度は動物療法群でコントロール群と比較しはるかに軽減し、この結果から、動物とのふれあいは水の中で遊ぶことを超えて有益をもたらすことが示唆された。試験終了から3ヵ月後、両群の患者ともに改善が持続し治療が不要であると報告した。

Bupropionはメタンフェタミンの薬剤性多幸感や使用中止時の渇望感を軽減することにより同薬物依存の治療に対する有効性が期待される  [2005-12-13]

Bupropion shows promise as treatment for methamphetamine addiction through reduction of drug-related euphoria and between-use cravings

Bupropionはメタンフェタミンの薬剤性多幸感や使用中止時の渇望感を軽減することにより同薬物依存の治療に対する有効性が期待されるとNeuropsychopharmacologyオンライン版 11月23日号に掲載された。対象者26人中20人がスタディ最終まで参加した。彼ら(年齢18〜45歳)はスタディ開始時点にメタンフェタミンを使用していた。研究者らは対象者をプラセボまたはbupropion使用群に無作為に割り付け、スタディ開始時に3回のメタンフェタミン静脈内投与を行い、その後プラセボまたはbupropionによる治療開始6日後に同様の処置を施行した。Bupropion投与群の患者は治療開始後のhigh(高揚感)の程度が低下し、メタンフェタミン使用のシミレーションビデオを観たあとには渇望感が減少した。今回の米国の研究チームの指揮下に行われているPhase II多施設トライアルが現在進行中である。

双極性障害患者の心理社会的障害の程度はうつ病症状と比例する [2005-12-13]

Degree of psychosocial disability in people with bipolar disorder changes in parallel with severity of depressive symptoms

双極性障害患者において、うつ病症状が増悪または軽快する毎にそれに伴う心理社会的障害の有意な段階上の増悪または軽快が認められる、とArchives of General Psychiatry 12月号に掲載された。研究者らはNational Institute of Mental Health (USA) Collaborative Depression Study(米国国家精神衛生うつ病共同研究)の対象者である双極I型障害の患者158人、双極II型障害の患者133人を平均15年間追跡調査しそのデータを解析した。その結果彼らは、無症状の患者の心理社会的能力は良好であることを見いだした。しかし、双極I型およびII型障害の患者のうつ病症状の重症度が上昇する毎に心理社会的障害は増悪した。さらに、双極I型障害の患者においてはほぼ、躁病症状の重症度上昇に伴い心理社会的障害が増悪した。

 

米国の新たな報告によると、成人のほぼ10人に1人が少なくとも1年1回の大うつ病エピソードを経験し、その3分の2が治療を受けているとのことである  [2005-12-06]

New US report indicates that almost one in ten adults experience at least one major depressive episode per year and two thirds of them receive treatment

18歳以上の米国人のうち推定1,700万人(この年代の人口の約8.0%)が過去1年に少なくとも1回の大うつ病エピソードを経験したことが、Substance Abuse and Mental Health Services Administration(薬物乱用およびメンタルヘルスサービス本部)の新たな文書から明らかになった。彼らの約3分の2が抗うつ薬投与を受けていた。本人からの報告をベースとした今回の2004年の調査は、初めて成人に大うつ病エピソードに関してアンケートをとったものである。前月に不法薬剤を使用した割合は大うつ病を経験した者の方がうつ病のない者より約2倍多く(それぞれ14.2%および7.3%)、喫煙者の割合も高かった。うつ病エピソードを経験したと報告した女性は男性の約2倍(10.3%対5.6%)であり、女性の方が治療を受ける確率が高かった(70.1%対55.2%)。この報告および調査の詳細はhttp://www.oas.samhsa.gov/で閲覧可能である。

 

健常な成人であっても暴力的または感情的な映画のシーンを見た程度のストレスで認知機能テストの結果が悪化する [2005-12-06]

Healthy adults can have poorer cognitive test performance after stress as slight as watching a violent or emotional movie scene

暴力的または感情的な映画のシーンを見た程度の単純な体験で問題解決能力を妨害するほどのストレスを生み出すことができる、とSociety of Neuroscience学会で発表された。この結果から、不安障害や薬物乱用のような精神障害を有する患者の一部に慢性的に認められる認知機能低下に関する新たな知見が得られる可能性がある。計12人の成人(男性6人女性6人)がアニメーションコメディ“Shrek”の最初の20分または第二次世界大戦の生々しい映画 “Saving Private Ryan” の序幕部分を鑑賞した。これらのフィルムを観た直後に彼らの語彙連想テストの遂行能力を評価した。ストレスを受けていない者はストレスを受けた者より正しく回答する頻度が39%高かった(正答数82対59)。これに関連した研究で、βブロッカープロプラノロール40mgにより健常人においてストレス効果が消失することが示された。注目すべきことに、ストレスおよび薬物のいずれも記憶力テストには影響を及ぼさなかった。

 


 

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