非定型抗精神病薬を内服する認知症患者はプラセボを内服する同様の患者と比較し死亡率がやや高い、とJournal
of the American Medical Association 10月19日号に掲載された。10〜12週間にわたる15の非定型抗精神病薬に関するトライアル(9つは未出版)で、16の非定型抗精神病薬(aripiprazole−3トライアル;オランザピ−5トライアル;クエチアピン−3トライアル;リスペリドン−5トライアル)とプラセボとの比較によるメタ解析の結果である。計3,353人の患者が実薬群、1,757人がプラセボ群に無作為に割り付けられた。脱落者は両群間で差はなかった。死亡は実薬群に割り付けられた患者に多く認められ(118[3.5%
]対40[2.3% ])、有意にリスクが上昇することが示された。感度分析では薬剤の種類、重症度、患者の選択、診断などによる差は認められなかった。
自傷行為により救急外来で治療される若年者の約半分は精神障害と診断される、とArchives
of General Psychiatry 10月号に掲載された。米国の記録をレビューした結果、7〜24歳のこれらの患者の年間の救急外来受診率は人口100,000人当たり225.3人であった。その内訳は15〜19歳および20〜24歳で、7〜14歳よりも多かった。毒物自己内服(67.2%)が最も多く、続いて自己を切ったり突き刺したりする行為が多かった(25.8%)。うつ病が最も多い精神学的診断であり、これはその後の入院と相関があった。筆者らは医師らに、自傷行為で受診した若年者に関しては注意深く評価し、適切な処置およびフォローアップ治療が確実になされるよう配慮すべきであると呼びかけている。
読み書きの不自由な人々は医学情報を得たり理解したりそれに伴い行動することが困難なため、疼痛や日常生活の制限による身体的精神的問題を抱えやすい、とArchives
of Internal Medicine 9月26日号に掲載された。米国の高齢者2,923人(平均年齢71歳)に徹底的なアンケートをした結果、約3分の1が医学情報の読み書きがやっと可能(11%)または不十分に(22.2%)しかできなかった。医学情報の読み書きが不十分な人々は高血圧、糖尿病、心不全、関節炎などの慢性疾患を有する確立が高かった。人々に疾患についての助言および方針を確実に理解させることに加え、筆者らは、この読み書きの不自由なことと慢性疾患の関連から、読み書きの不自由なことにより生活習慣の意思決定が乏しく、それにより慢性疾患を生じたりそれらを処理する能力が乏しかったりするのであろうと述べている。
クロミウムのサプリメント摂取は非定型うつ病で炭水化物摂取を渇望する者に有効である可能性がある、とJournal
of Psychiatric Practice 10月号に掲載された。クロミウムピコリネートまたはプラセボ内服群に無作為に割り付けられ、8週間のプロトコールに従った者75人において、全体の改善度には差はなかった。しかし、クロミウムを内服した患者はハミルトンうつ病29項目中の4項目(炭水化物摂取渇望、食欲増加、過食、日中の気分変動)に関して大きな改善を示した。さらに、クロミウム内服群で炭水化物摂取渇望の度合いが最も高いレベルであった者は、プラセボ群と比較し、HAM-D-29スコア全体において改善度が大であった(クロミウム群80%対プラセボ群38%)。
ほとんどの抗精神病薬の有効性は同等であるが、副作用や症状のコントロールが不十分なために服薬中止率が高い、とNew
England Journal of Medicine 9月22日号に掲載された。臨床的抗精神病薬治療効果比較試験(CATIE
:Clinical Antipsychotic Trials of Intervention Effectiveness)では、統合失調症患者1,400人余りをペルフェナジン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、およびziprasidoneのいずれかを18ヵ月内服する群に無作為に割り付けた。約75%の患者が初回薬剤から他の薬剤内服に切り替えた。オランザピンから内服を開始した者は精神疾患の再発により入院する割合が低く同薬剤の服薬を継続する傾向にあった。しかし、オランザピンは他の薬剤よりも体重増加や代謝異常を引き起こし糖尿病のリスクを上昇させた。
社会経済的地位の低下は女性よりも男性により影響を与える、とJournal of Epidemiology and Community
Health 9月号に掲載された。英国の研究者らは、1947年にイングランド北東部で生まれ、誕生時期に長期調査の一環として家族情報を登録した者503人のアンケート調査結果を解析した。50歳の時点で彼らは詳細なアンケートに回答した。50歳の時点では男性よりも女性のほうが臨床上うつ状態の者が多く、生誕時の社会的階級が有意なうつの予測因子であった。一方、社会的地位が下降傾向にある男性は同様の女性と比較し3.5倍うつになりやすかった。さらに彼らは、社会的地位が不変の男性と比較し、うつになる確率が4倍高かった。