不眠症に対する治験薬であるramelteonはプラセボと比較し仕事の効率低下や乱用する可能性は認められない [2005-05-31]

The investigational anti-insomnia agent ramelteon shows no evidence of impaired task performance or abuse potential compared with placebo

不眠症に対する治験薬であるramelteonは、推奨投与量の20倍使用してもプラセボと比較し仕事の効率低下や乱用する可能性が認められない、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。多剤内服歴のある成人14人にramelteon(16、80、160mg)とトリアゾラム(0.25、0.5、0.75mg)の効果をプラセボと比較するクロスオーバー臨床試験を行った。トリアゾラムとプラセボを比較した際には用量依存性の薬物作用が認められたが、ramelteonとプラセボを比較した場合にはそのような効果は認められなかった。仕事の効率に関してもトリアゾラムの2つの高用量投与では影響が認められたが、今回の治験薬ramelteonではそのような影響は認められなかった。Ramelteonは視交叉上核内の選択的メラトニンアゴニスト(MT1およびMT2受容体に対する)といった新たな作用機序を有している。

 

非定型抗精神病薬を内服している統合失調症患者は症状コントロールが不十分なために内服を中断することが多い [2005-05-31]

Patients with schizophrenia who take atypical antipsychotics are most likely to discontinue medication because of inadequate symptom control

いくつかのトライアルのデータを解析した結果、非定型抗精神病薬を内服している統合失調症患者は症状コントロールが不十分なために内服を中断することが多い、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。研究者らは4つの24〜28週間にわたる長期の無作為二重盲検臨床試験の患者計1,627人、および4種類の抗精神病薬(オランザピン、リスペリドン、クエチアラピン、ziprasidone)を評価した。解析の結果、オランザピンを内服している患者が最もトライアルに最後まで参加し、より長期に内服を継続する傾向にあった。また、副作用により内服を中断する率は薬剤間で差はないことも示された。発表者らはまた、オランザピンとリスペリドンのすべての原因による内服中断を種々の薬効を有する従来の抗精神病薬と比較した、オープンラベルの1年間のトライアルデータ(計648人)に関しても論議した。1年後にオランザピンの内服継続率はリスペリドンや中等度または高度の薬効の従来薬剤よりも有意に高かった。

抗うつ薬と心理療法を切り替えることにより初期治療に反応しなかった慢性うつ病患者の症状が改善する可能性がある [2005-05-16]

Switching between antidepressant medication and psychotherapy may improve symptoms in patients with chronic depression unresponsive to first-line therapy

抗うつ薬から心理療法への切り替えおよびその逆は初期治療に反応しなかった慢性うつ病患者の症状を改善する可能性がある、とArchives of General Psychiatry 5月号に掲載された。12週間のトライアルにおいて患者は、nefazodone(初回投与量100 mgを1日2回から最高1日600 mgまで増量)または認知行動解析心理療法を1週間に2回4週間、その後1週間に1回12週後まで受けた。治療に反応しなかった患者156人中140人(89.7%)がクロスオーバー治療に同意した。その結果、nefazodoneから心理療法へ、あるいは心理療法からnefazodoneへ切り替えた患者両者ともに改善を認めた。治療反応率はnefazodoneから心理療法へ切り替えたもので57%、その逆は42%であった。グループ間で寛解率に有意な差はなかった。

 

神経増殖因子を発現する様に調節した細胞を初期アルツハイマー病患者の脳に直接挿入することにより認知機能低下速度を遅延することが可能である [2005-05-16]

Direct insertion of cells modified to express nerve growth factor into the brains of patients with early Alzheimer’s disease slows rate of cognitive decline

神経増殖因子を発現する様に調節した患者の皮膚細胞を初期アルツハイマー病患者の脳に直接挿入することにより、認知機能低下速度を遅延し脳代謝活性を増大させることが可能である、とNature Medicine 4月24日号に掲載された。Phase Iのスタディで初期アルツハイマー病のボランティア8人が脳内深部への注射を受けた。合併症なく手技を施行された患者6人において、陽電子放射断層撮影(PET)は脳内糖代謝の上昇を示し、精神状態試験では認知機能低下率の36〜51%の減少を認めた。さらに研究者らは、参加者のうち死亡した者の脳組織を調べた結果、神経増殖因子遺伝子が伝達された周囲のコリン作動性細胞の強固な伸展が認められることを見出した。

非定型抗精神病薬は定型抗精神病薬と比較し、あらゆる理由による内服中断までの時間が長い [2005-05-10]

Atypical antipsychotic agents are associated with a longer time to all-cause medication discontinuation than older typical antipsychotics

最近開催された国際精神学会で発表された2つの研究結果によると、統合失調症患者が非定型抗精神病薬を内服した場合、従来の定型抗精神病薬と比較し、あらゆる理由による内服中断までの期間が長く予後も良好である。米国での3年間にわたる Schizophrenia Care and Assessment Programにおける1,029人の患者データが解析された。その結果、非定型抗精神病薬は定型抗精神病薬と比較し、有効性に関係なく内服中断率が低く、またこの傾向は年齢性別に関わりなく認められた。もうひとつの研究では、長期(24週間以上)にわたる6つの二重盲検無作為スタディのデータをまとめ、治療期間と予後を評価した。より長期の治療により、3つの一般的な方法で評価した臨床症状やQOLの改善度はより大となった。この共同研究では様々な非定型抗精神病薬を使用したが、定型抗精神病薬としては全員がハロペリドールを内服していた。

 

カロリー消費の程度ではなく様々なレジャーや身体活動により高齢者の痴呆のリスクが軽減される可能性がある [2005-05-10]

Variety of leisure and physical activities rather than intensity in calorie expenditure may reduce risk for dementia in older people

カロリー消費の程度ではなく様々なレジャーや身体活動により高齢者の痴呆のリスクが軽減される可能性がある、とAmerican Journal of Epidemiology 4月号に掲載された。65歳以上の男女計3,375人がCardiovascular Health Cognitionスタディに参加した。いずれの評価においても対象者は皆、高齢者における15種類の一般的な身体活動の頻度およびその持続時間に関する質問表に回答した。研究者らは活動性指標を作成し、評価時点2週間前でのそれぞれの活動の点数を計算した。平均5.4年の追跡期間中に480例の痴呆が新たに発症した。活動性レベルと痴呆を発症した者の数には統計学的な相関が認められた。しかし、この相関関係は、アルツハイマー病のリスクを上昇させるAPOE-4ジェノタイプを有する人々においては認められなかった。

 


 

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