抗うつ薬から心理療法への切り替えおよびその逆は初期治療に反応しなかった慢性うつ病患者の症状を改善する可能性がある、とArchives
of General Psychiatry 5月号に掲載された。12週間のトライアルにおいて患者は、nefazodone(初回投与量100
mgを1日2回から最高1日600 mgまで増量)または認知行動解析心理療法を1週間に2回4週間、その後1週間に1回12週後まで受けた。治療に反応しなかった患者156人中140人(89.7%)がクロスオーバー治療に同意した。その結果、nefazodoneから心理療法へ、あるいは心理療法からnefazodoneへ切り替えた患者両者ともに改善を認めた。治療反応率はnefazodoneから心理療法へ切り替えたもので57%、その逆は42%であった。グループ間で寛解率に有意な差はなかった。
神経増殖因子を発現する様に調節した患者の皮膚細胞を初期アルツハイマー病患者の脳に直接挿入することにより、認知機能低下速度を遅延し脳代謝活性を増大させることが可能である、とNature
Medicine 4月24日号に掲載された。Phase Iのスタディで初期アルツハイマー病のボランティア8人が脳内深部への注射を受けた。合併症なく手技を施行された患者6人において、陽電子放射断層撮影(PET)は脳内糖代謝の上昇を示し、精神状態試験では認知機能低下率の36〜51%の減少を認めた。さらに研究者らは、参加者のうち死亡した者の脳組織を調べた結果、神経増殖因子遺伝子が伝達された周囲のコリン作動性細胞の強固な伸展が認められることを見出した。
最近開催された国際精神学会で発表された2つの研究結果によると、統合失調症患者が非定型抗精神病薬を内服した場合、従来の定型抗精神病薬と比較し、あらゆる理由による内服中断までの期間が長く予後も良好である。米国での3年間にわたる
Schizophrenia Care and Assessment Programにおける1,029人の患者データが解析された。その結果、非定型抗精神病薬は定型抗精神病薬と比較し、有効性に関係なく内服中断率が低く、またこの傾向は年齢性別に関わりなく認められた。もうひとつの研究では、長期(24週間以上)にわたる6つの二重盲検無作為スタディのデータをまとめ、治療期間と予後を評価した。より長期の治療により、3つの一般的な方法で評価した臨床症状やQOLの改善度はより大となった。この共同研究では様々な非定型抗精神病薬を使用したが、定型抗精神病薬としては全員がハロペリドールを内服していた。
カロリー消費の程度ではなく様々なレジャーや身体活動により高齢者の痴呆のリスクが軽減される可能性がある、とAmerican
Journal of Epidemiology 4月号に掲載された。65歳以上の男女計3,375人がCardiovascular
Health Cognitionスタディに参加した。いずれの評価においても対象者は皆、高齢者における15種類の一般的な身体活動の頻度およびその持続時間に関する質問表に回答した。研究者らは活動性指標を作成し、評価時点2週間前でのそれぞれの活動の点数を計算した。平均5.4年の追跡期間中に480例の痴呆が新たに発症した。活動性レベルと痴呆を発症した者の数には統計学的な相関が認められた。しかし、この相関関係は、アルツハイマー病のリスクを上昇させるAPOE-4ジェノタイプを有する人々においては認められなかった。