パニック障害の初期治療患者に対するエビデンスに基づいた認知行動療法と薬物療法の併用は、通常の治療である薬物療法とカウンセリングの併用よりも有効である可能性がある、とArchives
of General Psychiatry 3月号に掲載された。米国の研究者らは232人の初期治療患者を通常の治療または心理療法に基づく治療プログラムを受ける群に無作為に割り付けた。心理療法群に加えられた治療は認知行動療法、電話によるフォローアップ、精神科医の指導に従った処方などであった。ベースライン、3ヵ月後、および6ヵ月後の評価の結果、認知行動療法と薬物療法の併用群では従来治療群と比較し、症状の改善は持続し徐々に増大した。
クエチアピンもrivastigmineも痴呆に伴う焦燥性興奮には無効であるが、クエチアピンはプラセボと比較し認知機能を有意に低下させる、とBritish
Medical Journalオンライン版 2月18日号に掲載された。内服開始から6および26週後、どちらの薬剤もプラセボと比較し有意な改善を示さず、クエチアピンを内服した患者ではプラセボ群と比較し認知機能の低下が2倍であった。クエチアピンはこれまで安全な抗精神病薬と考えられてきたことから今回の結果は特に意味があり、これらの患者集団に対する抗精神病薬の有用性に関しては疑問である、と筆者らは考えている。
セントジョーンズワートの特別製造抽出物は中等度から重度のうつ病の治療に少なくともパロキセチン(選択的セロトニン再取込み阻害薬)と同様の効果がある、とBritish
Medical Journal 2月11日号に掲載された。ドイツの研究者らは無作為コントロール二重盲検非劣性試験を用いて、301人の男女に対し(18〜70歳)、ハイペリカム抽出物WS
5570とパロキセチンの効果を6週間にわたり比較した。対象者は全てベースライン時のHamiltonうつ病スコアが22点以上であった。トライアルの終了時にはハーブ抽出物を内服した患者122人中61人(50%)が症状の軽快を認めたのに対し、パロキセチン内服患者のうち同様に症状が軽快したのは122人中43人(35%)に過ぎなかった。両薬剤ともに最も多い副作用は胃腸障害であったが、ハーブ抽出物は忍容性の点においてもパロキセチンよりも優れていた。
毎日中等量の飲酒をする高齢女性は認知機能試験の成績が良好な傾向にある、とAmerican
Journal of Epidemiology 2月1日号に掲載された。米国の研究者らは65〜79歳の女性4,461人に対し、軽度の認知障害や痴呆を検出するための検査を毎年行った(平均追跡期間4.2年)。収入や教育レベルなどの因子で補正した結果、毎日一杯以上の飲酒をすると答えた女性は飲酒を控えている女性と比較し、追跡期間中の認知機能低下のリスクが40%低かった。この結果は他の研究結果と同様であり、その原因の一部はアルコールによる血管およびHDLコレステロールレベルに対する影響である可能性がある。筆者らは、未確認の因子が影響している可能性があるため、女性らがこの結果に基づき飲酒様式を変化させることのないように警告している。