パニック障害患者に対するエビデンスに基づいた認知行動療法と薬物療法の併用は、薬物療法とカウンセリングの併用よりも有効である可能性がある [2005-03-29]

Evidence-based cognitive behavioral therapy plus medication may be more effective for patients with panic disorder than medication and counseling

パニック障害の初期治療患者に対するエビデンスに基づいた認知行動療法と薬物療法の併用は、通常の治療である薬物療法とカウンセリングの併用よりも有効である可能性がある、とArchives of General Psychiatry 3月号に掲載された。米国の研究者らは232人の初期治療患者を通常の治療または心理療法に基づく治療プログラムを受ける群に無作為に割り付けた。心理療法群に加えられた治療は認知行動療法、電話によるフォローアップ、精神科医の指導に従った処方などであった。ベースライン、3ヵ月後、および6ヵ月後の評価の結果、認知行動療法と薬物療法の併用群では従来治療群と比較し、症状の改善は持続し徐々に増大した。

 

三環系抗うつ薬および選択的セロトニン再取込み阻害薬の研究の結果、うつ病そのものが心筋梗塞のリスクを上昇させることが示唆された [2005-03-29]

Research with tricyclic and selective serotonin reuptake inhibitor antidepressants suggests depression itself increases risk for myocardial infarction

一般集団における三環系抗うつ薬および選択的セロトニン再取込み阻害薬の研究の結果、観察された初回心筋梗塞のリスクの上昇は、薬剤が原因ではなく根底にあるうつ病の何かが影響していることが示唆された、とHeart誌 4月号に掲載された。前述の薬剤のどちらかを処方された患者の内服開始後7日以内の心筋梗塞リスクは2倍以上高かったが、薬剤を1ヵ月以上使用することによりリスクは軽減した。この結果は1998〜2001年に初回心筋梗塞を発症した英国の患者60,000人と年齢性別を一致させた対照360,000人の記録を評価したものである。

クエチアピンは痴呆に伴う焦燥性興奮には無効でありプラセボと比較し認知機能を有意に低下させる [2005-03-08]

Quetiapine is not effective for dementia-related agitation but is linked with significantly greater cognitive decline compared with placebo

クエチアピンもrivastigmineも痴呆に伴う焦燥性興奮には無効であるが、クエチアピンはプラセボと比較し認知機能を有意に低下させる、とBritish Medical Journalオンライン版 2月18日号に掲載された。内服開始から6および26週後、どちらの薬剤もプラセボと比較し有意な改善を示さず、クエチアピンを内服した患者ではプラセボ群と比較し認知機能の低下が2倍であった。クエチアピンはこれまで安全な抗精神病薬と考えられてきたことから今回の結果は特に意味があり、これらの患者集団に対する抗精神病薬の有用性に関しては疑問である、と筆者らは考えている。

 

メディアにおける暴力的な映像は低年齢の小児の短期的な興奮のレベルに影響する可能性があり、攻撃的なあるいは恐怖におびえる行動のリスクを上昇させる [2005-03-08]

Violent imagery in the media can significantly affect short-term level of arousal in young children to increase risk for aggressive or fearful behaviors

暴力的な映像は低年齢の小児の短期的な覚醒、思想、感情などのレベルに実質的に影響する可能性があり、攻撃的なあるいは恐怖におびえる行動のリスクを上昇させる、とLancet 2月19日号に掲載された。メディアの暴力的画像が小児に与える影響に関する北米の6つの研究を評価したところ、受動的な視聴(テレビや映画)および双方向性の視聴(ビデオやコンピュータゲーム)に関して、暴力的な映像を見た小児はその後より攻撃的な遊びをしたり行動をとったりするという一致した結果が得られた。その影響は小さくはあるが有意であり、特に少年において明らかであった。この傾向は年長の小児やティーンエイジャーでは少なかった。この関連性は社会経済状態、知能、育て方で補正しても依然として認められ、この結果からこの影響の一部は他の因子と独立したものであると考えられる。

セントジョーンズワートの特別製造抽出物は中等度から重度のうつ病に対し少なくともパロキセチンと同様の効果がある [2005-03-01]

A specially manufactured extract of Saint John’s wort appears to be at least as effective as paroxetine for moderate-to-severe depression

セントジョーンズワートの特別製造抽出物は中等度から重度のうつ病の治療に少なくともパロキセチン(選択的セロトニン再取込み阻害薬)と同様の効果がある、とBritish Medical Journal 2月11日号に掲載された。ドイツの研究者らは無作為コントロール二重盲検非劣性試験を用いて、301人の男女に対し(18〜70歳)、ハイペリカム抽出物WS 5570とパロキセチンの効果を6週間にわたり比較した。対象者は全てベースライン時のHamiltonうつ病スコアが22点以上であった。トライアルの終了時にはハーブ抽出物を内服した患者122人中61人(50%)が症状の軽快を認めたのに対し、パロキセチン内服患者のうち同様に症状が軽快したのは122人中43人(35%)に過ぎなかった。両薬剤ともに最も多い副作用は胃腸障害であったが、ハーブ抽出物は忍容性の点においてもパロキセチンよりも優れていた。

 

毎日中等量の飲酒をする高齢女性は認知機能試験の成績が良好な傾向にある [2005-03-01]

Older women who consume a moderate amount of alcohol daily tend to perform better on tests of cognitive function

毎日中等量の飲酒をする高齢女性は認知機能試験の成績が良好な傾向にある、とAmerican Journal of Epidemiology 2月1日号に掲載された。米国の研究者らは65〜79歳の女性4,461人に対し、軽度の認知障害や痴呆を検出するための検査を毎年行った(平均追跡期間4.2年)。収入や教育レベルなどの因子で補正した結果、毎日一杯以上の飲酒をすると答えた女性は飲酒を控えている女性と比較し、追跡期間中の認知機能低下のリスクが40%低かった。この結果は他の研究結果と同様であり、その原因の一部はアルコールによる血管およびHDLコレステロールレベルに対する影響である可能性がある。筆者らは、未確認の因子が影響している可能性があるため、女性らがこの結果に基づき飲酒様式を変化させることのないように警告している。



 

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