痴呆による体重減少は臨床的な痴呆の症状より前に出現するため、痴呆の初期兆候の発見に役立つ可能性がある  [2005-01-25]

Dementia-associated weight loss develops before onset of clinical symptoms and may be a useful early sign of disease

痴呆による体重減少は明らかな痴呆の症状より前に出現し、また交絡因子とは独立した因子であるため、痴呆の初期兆候の発見に役立つ可能性がある、と Archives of Neurology 1月号に掲載された。日系米国人高齢男性1,890人(痴呆を発症した者112人、痴呆の発症が認められなかった者1,778人;追跡期間34年)の長期研究のデータ解析の結果、痴呆を発症した者には発症前に有意な体重減少が認められた。つまり、痴呆を発症した者の大部分が5kg(平均体重のほぼ10%)以上減少した。多くの症例で、臨床的な痴呆に達する2〜4年前に体重減少が認められた。この関係はアルツハイマー型痴呆と血管性痴呆とで同等であった。

 

青年期および成人初期の大麻乱用は後の精神疾患のリスクを上昇させる [2005-01-25]

Frequent cannabis use during adolescence and young adulthood increases risk for psychosis later in life

青年期および成人初期の大麻乱用は後の精神疾患のリスクを中等度上昇させるが、精神疾患にかかりやすい因子を既に有する若年者においてそのリスクははるかに高い、とBritish Medical Journal 1月1日号に掲載された。ドイツの前向き地域住民ベースの研究で、14〜24歳の青少年2,437人を対象とし、薬物使用、精神疾患の素因、および精神疾患症状をベースラインと4年後に調査した。社会的経済的地位、小児期のトラウマ、および大麻以外の薬物、たばこ、アルコールの使用などで補正した結果、大麻を使用することで精神疾患症状の発症のリスクが中等度上昇した。しかし、ベースラインの時点で精神疾患のリスクファクターを有していた者は、大麻と精神疾患の用量依存性の相関関係がはるかに強く認められた。

Clozapineとオランザピンは肥満のない統合失調症患者のインスリン抵抗性および糖尿病のリスクを増加させる可能性がある  [2005-01-18]

Clozapine and olanzapine may increase risk for insulin resistance and diabetes in non-obese patients with schizophrenia

Clozapineとオランザピンは肥満のない統合失調症患者にインスリン抵抗性を引き起こすが、リスペリドンは耐糖能検査の結果を変化させないようである、とArchives of General Psychiatry 1月号に掲載された。肥満のない統合失調症の外来患者36人にclozapine、オランザピン、またはリスペリドンを投与し、体重を維持するような食事を与え、頻回に採血を行い耐糖能を観察した。筆者らは、肥満のない患者においてある種の非定型抗精神病薬とインスリン抵抗性の関連が認められたことから、内服開始前および開始後に厳密に検査し、糖尿病や心血管疾患の他のリスクに関しても詳細に説明すべきである、と述べている。

 

インターネットで知り合った人々が集団自殺をする可能性があることに社会的関心が高まっている [2005-01-18]

Public awareness spreads of potential for strangers to meet via the Internet and form suicide pacts

2004年10月に日本で起こった集団自殺は、自殺した9人がインターネットで知り合ったという点で比較的稀なケースであり国際的な注目を浴びている、とBritish Medical Journal 12月4日号に掲載された。この記事は、詳細で図入りの自殺の方法を提供するwebsiteが増加していることを強調している。影響を受けやすい、特に青少年は、そのようなwebsiteを見ることが自殺のきっかけとなる可能性があると考えられている。10月の集団自殺に基づき筆者は、医師らに、リスクのある患者や人々がインターネットで知り合い集団自殺をする可能性があることを頭に置いておく必要がある、と主張している。

セロトニン合成を抑制する遺伝子変異が選択的セロトニン再取込み阻害薬抵抗性の重症うつ病と関連がある [2005-01-11]

Mutation that suppresses serotonin synthesis is tied to severe depression resistant to therapy with selective serotonin reuptake inhibitors

うつ病患者においてはセロトニン合成を80%低下させる変異がかなり多く認められ、選択的セロトニン再取込み阻害薬抵抗性の重症うつ病とこの変異が関連している、とNeuronオンライン版12月中旬号に掲載された。セロトニン合成を促進する酵素を暗号化する遺伝子の変異型が成人うつ病患者の10%以上(87人中9人)に認められたが、コントロールにおいては219人中3人であった(3人はいずれも精神疾患の家族歴および抑うつ/不安のいずれかまたは両者の軽度の症状を有していた)。変異型遺伝子を有していたうつ病患者9人は全て抗うつ剤抵抗性のうつ病であった。解説者は、この新たな分子学的な発見により、医師らが将来遺伝的に高リスクの患者を分別し遺伝子変異を有する患者の個別の治療を行うのに役立つであろうと述べている。今後の研究により、この遺伝子変異を認めない60人の双極性障害患者においても類似の結果が得られるかどうかが調査されるであろう。

 

自閉症者の脳はアルファベットの文字を通常は形態を処理する脳領域で記憶する [2005-01-11]

Brains of people with autism remember alphabet letters in region that normally processes shapes

自閉症者の脳はアルファベットの文字を通常は形態を処理する脳領域で記憶する、とNeuroimage オンライン版11月29日号に掲載された。自閉症者は文字を記憶する際に前頭部よりも後頭部により刺激を受けるとの機能的核磁気共鳴画像の結果に加え、左脳半球よりも右脳半球により刺激を受け、同年齢の知能の同等な健常人と比較し、他の脳部位との同期が少ないことが示された。この結果から、自閉症者は高レベルの脳機能障害および異なる脳領域間の連携に異常があることが示唆された。筆者らは、いくつかの脳領域を同時に刺激する治療が自閉症児に有益である可能性がある、と考えている。



 

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