Bortezomib単独または他の治療法との併用は腎障害や染色体異常を有する患者を含めた広範囲の多発性骨髄腫患者の治療に有望であるとの2つの報告が、American
Society of Hematology学会で発表された。透析を必要とする腎不全を有する患者24人における単剤および併用投与による全奏功率は78%であり、33%の患者を完全寛解またはほぼ完全寛解にまで持ち込むことができた(中央値7.5回)。3人(12.5%)の患者は完全寛解し透析を中止することが可能であった。もうひとつの研究は染色体異常を有する患者51人を対象とした。染色体13番欠損の患者の全奏功率は50%であり、23%が完全寛解した(10.4ヵ月間)。全生存期間の中央値は15ヵ月であった。全体の予後は染色体13番の状態に関係なかった。奏功率や全生存期間はまた、14q染色体異常やβ2マイクログロブリンなどの因子とも無関係であった。
Bendamustine単剤投与は、過去の複数の治療法が不成功であった進行無痛性非ホジキンリンパ腫患者において高い奏功率をもたらす、とAmerican
Society of Hematology学会で発表された。アポトーシスおよび有糸分裂障害を引き起こすこの新たなアルキル化薬を77人の患者に投与した。35%が薬剤に対し完全奏功を示し、39%が部分奏功に達し、7%は疾患が進行せず、16%においては疾患の進行が認められた。リツキシマブが無効であり、従来のアルキル化薬による治療に奏功しなかった患者28人のうち、64%がbendamustineで奏功が認められた。すべての評価はInternational
Working Groupの標準的な診断基準に基づき行われた。リツキシマブの無効な非ホジキン病患者に対するphase
IIIトライアルが米国で現在進行中である。
Stage IIIの結腸がんに対する術後化学療法により5年生存率が有意に上昇した、と
Journal of the American Medical Association 12月7日号に掲載された。今回の研究は1990〜2002年に米国のデータベースに登録されたstage
III結腸がん患者85,934人のデータを評価したものである。アジュバント化学療法施行率は1990年の39%から2002年の64%に上昇したが、その頻度は女性および高齢者では低かった。外科手術のみに対するアジュバント化学療法の5年生存率の改善率は1990年に8%であったものが1997年には16%に上昇したに過ぎなかった。研究者らは同時に、アジュバント化学療法により高齢者も若年者と同様に生存率が改善したことを見出した。しかし、その有益性は高悪性度のがんでは低かった。
Phenoxodiolはstageの進行したホルモン不応性前立腺がんの腫瘍の進行を有意に抑制するとInternational
Conference on Molecular Targets and Cancer Therapeuticsで発表された。このphase
Ib/IIa試験は、2つの高用量で治療された患者の生存期間が予想外に長かったために、24週から90週に延長された。Phenoxodiolは酸化還元電位を変化させることにより、がん細胞の重要なpro-survival
経路を遮断する。対象となった55〜85歳の男性26人の平均Gleasonスコアは8.04 (6〜9)であり、ベースラインの前立腺特異抗原の値は56.3
pg/mLであった。低用量(12人)と高用量(14人)を比較すると、6ヵ月後にも治療を継続している患者数は低用量では12人中1人であったのに対し、高用量では14人中10人に増加した。進行するまでの平均期間は15週から47週に延長した。この47週には、42、74、82、および90週後にも治療継続中であった4人はカウントされていない。
コンピュータ補助による腺腫様ポリープ検出装置を搭載したコンピュータ断層大腸検査(CT-
colonography)は非侵襲的なスクリーニング法として非常に有用である、とRadiological
Society of North America(北米放射線学会)で発表された。米国の研究者らは、8 mm以上のポリープの検出力を改善することを目標に、患者一人当たり約600〜1,000の画像読影のバックアップとしてこの断層装置を使用した。この装置により10
mm以上のポリープを有する患者の89.3%、8 mm以上のポリープを有する患者の85.4%が検出された。このコンピュータ装置の偽陽性率は10
mm以上のポリープで2.1%、8 mm以上のポリープで6.7%であり、この率は研究者らの許容範囲内であった。
核磁気共鳴ガイド下に行うレーザー焼灼術は大腸がんの肝転移を来した患者の一部には通常の外科手術と同等に有効である、とRadiological
Society of North America(北米放射線学会)で発表された。このタイプの研究で追跡期間が最も長い最大のスタディにおいて、ドイツ人患者839人は肝転移巣に核磁気共鳴ガイド下レーザー温熱療法を受けた。1993〜2005
年の間に研究者らは2,506の肝腫瘍を治療し生存率を追跡した。診断日からの平均生存期間は3.8年であり、通常の術後の生存期間(1.5
〜 5.0年)に匹敵する長さであった。レーザー焼灼術は、しばしば一回の治療で肝臓の右葉および左葉いずれの腫瘍にも行うことができる。さらに、観察期間中に新たな腫瘍が発見されても、再び開腹手術をするよりもレーザー治療を行う方が遙かに簡単である。発表者は、多くの外科医が適応のある患者に対しては肝切除よりむしろレーザー焼灼術を行う方向に移行していると述べた。
Cetuximabと放射線照射療法の併用により上皮細胞増殖因子受容体を過剰発現する進行頭頸部がん患者の疾患コントロールおよび生存率が改善する、とMolecular
Targets and Cancer Therapeutics学会で発表された。このphase IIIトライアルではlocoregionallyな進行扁平上皮がん(病変の範囲は咽喉頭および頸部リンパ節に限られた)患者424人を対象とした。患者は放射線療法のみまたは放射線療法にcetuximabを併用する群に無作為に割り付けられた。その結果、生存期間中間値は併用群で49ヵ月であったのに対し放射線療法単独では29ヵ月であり、また併用群において死亡のリスクが26%低下した。併用群の3年生存率は56%であり、放射線療法単独群のそれは45%であった。Cetuximab併用による放射線毒性の増強は最低限に抑えられ、有益性が認められた。
骨盤内臓器(子宮頸部、直腸、および肛門)のがんに対し放射線療法を受けた高齢女性は骨盤骨折のリスクが実質的に有意に高い、とJournal
of the American Medical Association 11月23日号に掲載された。米国の研究者らは全国的ながん患者登録データを用いて、1986〜1999に骨盤内臓器がんと診断された65歳以上の女性(主に白人)6,428人を選び出した。このデータから得られた放射線療法による骨折のハザード比は肛門がんで3.16、子宮頸がんで1.66、直腸がんで1.65であった。上肢および椎骨骨折の頻度は照射群と非照射群とで差はなかった。これらの患者のベースラインの骨折のリスクが高いことを受けて筆者らは、男性や他の人種においても一般的にリスクが高いかを評価する研究が必要であると主張している。編集部は医師らに骨盤内臓器がんに対する放射線療法後には骨の保護を考慮し、放射線療法後の骨盤部位の疼痛に対してはどのようなものでも迅速に評価するよう呼びかけている。