フィトエストロゲンの豊富な植物性食品を多く摂取すると男女ともに肺がんのリスクが軽減する、とJournal
of the American Medical Association 9月28日号に掲載された。米国の研究者らは、患者1,674人と対象1,735人からなる現在進行中のケースコントロールスタディのデータを解析した。定期的な対面調査の期間、女性はホルモン療法についても尋ねられた。肺がんのリスク軽減はフィトエストロゲン摂取量が多いほど上昇する傾向にあり、食物のみからのフィトエストロゲン摂取量の最も多い四分位群は最も少ない四分位群よりも肺がんのリスクが46%低かった。女性においてはエストロゲン療法との相乗効果が認められた。フィトエストロゲン大量摂取の有効性は現役の喫煙者および一度も吸ったことのない者両者において認められたが、過去の喫煙者においては明らかではなかった。編集局は医師らに、すべての患者に対し食事による予防に関して意識的に徹底的に話すように勧めている。
過形成性母斑または黒色腫の家族歴を有する者は多発性原発性黒色腫を発症する確率が高い、とJournal
of the American Medical Association 10月5日号に掲載された。米国の研究者らは同一のがんセンターで初めて原発性黒色腫と診断された患者4,484人を評価した。多発性原発性黒色腫を有していた385人(8.6%
)中21% が黒色腫の家族歴を有していたのに対し単発の黒色腫患者のその割合は12%であった。さらに、多発性原発性黒色腫患者の38%が過形成性母斑を有し、単発性の患者のその割合は18%であった。家族歴陽性または過形成性母斑を有する患者においては多発性原発性黒色腫が5年以内に発症する確率はそれぞれ19.1%および23.7%であり、2回目の原発性腫瘍発症の半数以上が追跡期間1年以内に認められた。
ヘビースモーカー(たばこを一日15本以上)で喫煙量を半分に減らした者は肺がんのリスクを軽減することができる、とJournal
of the American Medical Association 9月28日号に掲載された。デンマークの研究者らは地域住民ベースの観察研究に参加した男性11,151人、女性8,563人を最大31年追跡調査した。調査期間中に864例(女性360例、男性504例)が肺がんと診断された。ヘビースモーカーで喫煙量を半分に減量した者は喫煙量が不変であった者と比較し、肺がんのリスクが27%低かった。少量喫煙者および追跡期間中に禁煙した者は継続的なヘビースモーカーと比較し、それぞれ肺がんのリスクが56%および50%低かった。過去に喫煙をしていて禁煙した者のリスクは継続的なヘビースモーカーよりも83%低かったが、一度も喫煙したことのない者と比較するとリスクは有意に高かった。編集者は、肺がんや心血管疾患のリスクを軽減するためには禁煙がやはり目標であるが、今回のデータをヘビースモーカーに節煙の動機を起こさせるのに使用すべきであると述べている。
コンピュータ処理のマンモグラフィによって若年者の小さな腫瘍を含めたより多くの乳がんを検出できる、とAmerican
Journal of Roentgenology 10月号に掲載された。米国のある1施設で3年間に行われたスクリーニングのマンモグラフィ27,274例(7,872例はコンピュータ処理システム導入前に施行され、19,402例はコンピュータ処理を用いたマンモグラフィを施行された)を評価した。その結果、この強化システムによりがんの検出率が16%増加した。特に、コンピュータ処理のマンモグラフィにより1cm以下の進行の早いがんの検出率が164%上昇した。また、この方法にてがんが発見された女性の平均年齢はベースラインの時期と比較し5歳低下した。
強力な乳がんの家族歴があってもBRCA変異のない女性は卵巣がんのリスクは高くない、とJournal of the National Cancer Institute 9月21日号に掲載された。米国のあるがんセンターの研究者らは、家族内に乳がんが多発しているがBRCA変異を認めない家系199例を調査した。追跡期間中に19例が乳がんと新たに診断された。この結果は予測値の6例の3倍多かった。また、卵巣がんと診断されたのはたったの1例であり、これは一般人口における予測値と同等であった。筆者らは、これらの家系の女性は卵巣がんのリスクは高くないが、乳がん症例の半数を占める遺伝性のメカニズムは不明のままであると述べている。