高用量体外照射は従来の用量の放射線照射よりも局所性前立腺がんの再発を防ぐ効果が高い、とJournal
of the American Medical Association 9月14日号に掲載された。Stage
T1b-T2bで前立腺特異抗原の値が15 ng/mL未満の米国の前立腺患者計393人を、70.2 Gyまたは79.2
Gyの光子(フォトン)および陽子(プロトン)を組み合わせたものを体外照射する群に無作為に割り付けた。5年後、従来照射量および高用量照射患者の無病率はそれぞれ61.4%
と80.4%であった。この高用量照射の有益性は低リスクおよび高リスクいずれの患者においても認められた(それぞれリスクは51%
および44%低下)。編集記者は、さらに長期追跡しさらなる研究をすることにより、高用量照射が生存期間延長につながるか、またどの用量で最大限の効果が発揮されるかが明らかとなるであろうと述べている。
米国FDA(US Food and Drug
Administration)は、リンパ節転移陽性で化学療法を受けているハイリスクの乳がん患者に対しletrozoleがタモキシフェンよりも有効であることを受けて、letrozoleをホルモン受容体陽性の閉経後乳がん女性のアジュバント療法薬として承認した。この審査はphase
IIIの無作為二重盲検試験であるBreast International Group (BIG) 1-98研究のデータ解析結果に焦点を当てている。この研究はホルモン受容体陽性の閉経後早期乳がん患者8,000人以上に対しアジュバントletrozoleまたはタモキシフェンの安全性および効果を比較したものである。Letrozoleはまた、タモキシフェンによるアジュバント療法完了後の治療(Extended
Adjuvant療法)において使用され有効性が認められている。
マンモグラフィによるスクリーニングで乳がんを発見された患者は、たとえリンパ節転移陽性であっても、他の方法で発見された患者よりも予後が良好である、とJournal
of the National Cancer Institute 8月17日号に掲載された。研究者らは3つのトライアルの計150,000人以上の北米患者のデータを解析した。疾患のステージで補正した結果、以前のマンモグラフィのスクリーニングでは陰性でその後腫瘍が発見された患者はスクリーニングで発見された患者と比較し死亡のリスクが53%高かった。マンモグラフィを施行されなかった患者(ネガティブコントロール)はスクリーニングで発見された者より死亡のリスクが36%高かった。この研究は、スクリーニングで乳がんを発見することによる予後に対する有益性が予測されるよりも高かったという意味で、医師や女性にとって特記すべきものである。
縦隔鏡および経食道エコーガイド下の針生検により肺がんの術前病期分類が改善する可能性がある、とJournal of the American Medical Association 8月24/31日号に掲載された。切除可能と考えられる非小細胞肺がんを有するオランダ人患者107人に前述の2つの技術を用い、縦隔鏡下での針生検が不成功であった場合には開胸腫瘍摘出を行った。外科的病理学的病期分類と術前評価を比較した。腫瘍の浸潤およびリンパ節転移は、縦隔鏡のみ(20%)または経食道エコーのみ(28%)を用いた場合よりも両者を組み合わせた方が(36%)、多くの患者において発見された。つまり、開胸術を16%省くことができたことになる。しかし、針生検結果の2%はfalse positiveであり、筆者らは、この結果を説明するため、さらなる研究が必要であると述べている。
腫瘍縮小目的で行われる術前化学療法前にリンパ節マッピングおよびセンチネルリンパ節生検を行うことへの評価は非常に高く、サイズの大きな乳がんを有する女性にとっても有益であるとAmerican Journal of Surgery 9月号に掲載された。乳がん患者計21人が、より多くの染色液を注入するセンチネルリンパ節生検法を施行された。センチネルリンパ節の腫瘍細胞が陽性であるか腫瘍サイズが5cm以上の場合には、術前化学療法開始前に腋窩リンパ節郭清を行った。生検の結果センチネルリンパ節に悪性腫瘍細胞が発見されず腫瘍サイズが5cm未満の場合にはリンパ節切除は行わず術前化学療法を施行した。平均36ヵ月の追跡期間ののち、リンパ節へのがんの進行が認められたものは一人もいなかった。センチネルリンパ節生検のfalse-negative の確率はゼロであった。一方、術前化学療法および手術後のセンチネルリンパ節生検におけるfalse-negativeの確率は33%に認められうることが示された。