ドセタキセルはパクリタキセルと比較し進行乳がんの全生存期間および無増悪期間中央値を改善する [2005-08-30]  
Docetaxel significantly improves overall survival and median time to disease progression compared with paclitaxel in women with advanced breast cancer

アントラサイクリンを基本とした化学療法によっても疾患が進行した進行乳がん患者に対して、タキサン系抗がん剤ドセタキセルは全生存期間および無増悪期間中央値を改善する、とのタキサン系抗がん剤を比較したphase III試験の結果がJournal of Clinical Oncology 8月20日号に掲載された。局所進行乳がんおよび転移性乳がん患者計449人がドセタキセルまたはパクリタキセル群に無作為に割り付けられた。ドセタキセルは、無増悪期間を有意に改善させた(5.7ヵ月対3.6ヵ月)ことに加え、全生存期間も延長させた(15.4ヵ月対12.7ヵ月)。腫瘍の縮小が計測できた患者において、ドセタキセル群はパクリタキセル群と比較し、奏功率が有意に高く(37% 対26%)、奏功期間中間値も有意に長かった(7.5ヵ月対4.6ヵ月)。

2003年版TNM(2003 Tumor-Node-Metastasis)分類から術前化学療法を受けた局所進行乳がん患者の再発および生存率が予測できる [2005-08-30] 
2003 Tumor-Node-Metastasis system predicts relapse and survival in women with locally advanced breast cancer who had neoadjuvant chemotherapy
2003年版TNM(2003 Tumor-Node-Metastasis)分類から、術前化学療法を受けた局所進行乳がん患者の再発および生存率が予測できる、と Journal of the National Cancer Institute 8月3日号に掲載された。研究者らは1998年版TNM分類上、臨床stage IIまたはstage IIIで1992〜2000年の術前化学療法トライアルで治療を受けた患者132人のデータを評価した。2003年版の分類を用いて外科的病理学的stage分類を行い5年間の予後を解析した結果、改訂版TNM分類は遠隔無病生存期間(distant disease-free survival)および全生存期間と強く関連していた。術前化学療法後の残存high stageの腫瘍は統計学的に無病生存期間の低さと関連していた。研究者らは、改訂版の分類により予後予測能力が改善したのは、単なるリンパ節転移の有無ではなくその拡がりの程度を評価したことによると考えている。
タモキシフェンを2年間使用した後にアナストロゾールに移行することにより閉経後女性の早期乳がんの無事故生存率が向上する [2005-08-23]  
Transition to anastrozole after two years of tamoxifen can improve event-free survival for postmenopausal women with early breast cancer

タモキシフェンを2年間使用した後にアナストロゾールに移行することにより閉経後女性の早期乳がんの無事故(局所および遠隔部位の再発、または他方の乳房への新たながんの発症で定義)生存率が向上する、とLancet 8月6日号に掲載された。ヨーロッパにおけるこの解析は、タモキシフェンを2年間投与された閉経後の乳がん患者をアナストロゾール(1,618人)またはタモキシフェン(1,606人)をさらに3年間投与する群に無作為に割り付けたものである。無作為化した2年後にはアナストロゾールを内服している群はタモキシフェン群と比較し、事故のリスクが40%低かった(67件対110件)。アナストロゾール群ではタモキシフェン群と比較し骨折をする患者数が多かったが、血栓症の症例数は少なかった。

前立腺がんはPTEN やp53などいくつかの既知の腫瘍抑制遺伝子の変化により引き起こされることが示された [2005-08-23] 
Prostate cancer has been shown to be caused by changes in several known tumor suppressor genes including PTEN and p53
前立腺がんはPTEN やp53などいくつかの既知の腫瘍抑制遺伝子の変化により引き起こされ、PTEN損失は明らかに発がんに重要でありp53の損失は進行がんの成長に重要である、とNature 8月4日号に掲載された。マウスモデルとヒトの腫瘍サンプルを用いた作業により、少なくとも1 copyのPTENの損失によりがん細胞が発生することが示された。しかし、p53の活性が完全であれば異常細胞は老化し腫瘍は発生しなかった。細胞がPTENとp53の両者の活性を損失している場合には、早期に転移を起こし死に至る進行の速い前立腺がんを発症した。これらの遺伝子のどちらかひとつまたは両者の機能を支持する薬剤は、がんの発症や進行の抑制において臨床的に役立つであろう。
良性乳房疾患は乳がんの高リスクを有し、ある種の良性疾患は近い時期の乳がん発症を予測する可能性がある [2005-08-09]  
Benign breast disease carries a higher risk for breast cancer and certain types of benign disease may predict near-term development of breast cancer

良性乳房疾患の女性は乳がんのリスクが高く、ある種の良性疾患は近い時期の乳がんの発症を予測する可能性がある、とNew England Journal of Medicine7月21日号に掲載された。ある米国の1施設において、1991年12月までの25年間に18〜85歳の女性計9,087人の良性乳房病変の生検を行った。結果を知らない一人の病理医が全ての組織標本を判読し、非増殖型、増殖型、および非典型疾患に分類した。非増殖型で乳がんの家族歴のない者は乳がんのリスクは高くなかった。しかし、増殖型および非典型疾患では乳がんの家族歴がなくとも将来乳がんが発症する確率が高かった。

樹状突起細胞ワクチンによる前処置で多型性神経膠芽腫の化学療法に対する感受性が増大する [2005-08-09] 
Pretreatment with a dendritic cell vaccine can make glioblastoma multiforme tumors more sensitive to chemotherapy
樹状突起細胞ワクチンによる前処置で多型性神経膠芽腫の化学療法に対する感受性が増大するようである、とOncogeneオンライン版とプリント版8月号に掲載された。過去の研究からの推計で、米国の研究者らは、多型性神経膠芽腫の薬剤耐性に関係のあるチロシナーゼ関連蛋白(TRP)-2に対する樹状突起細胞ワクチンを作成した。ワクチン接種後にTRP特異的細胞毒性T細胞が発見され、ワクチン接種後に腫瘍を切除して得た腫瘍細胞のTRP-2発現はワクチン接種前よりも有意に低かった。さらに、ワクチン接種後の腫瘍細胞は、カルボプラチンおよびtemozolomideに対して明らかに感受性が高かった。再発後にワクチン−化学療法を施行された4人の患者は完全に治療が成功したことが核磁気共鳴画像(MRI)で確認された。
英国で開発された新たな表により医師らは、骨盤内または腹部に放射線を受けた女性が不妊になる時期を予測できる [2005-08-02]  
New table enables physicians to predict when a woman treated with pelvic or abdominal radiation as treatment for cancer may become sterile

英国で開発された新たな表により医師らは、骨盤内または腹部に放射線を受けた女性が不妊になる時期を予測できる、とInternational Journal of Radiation Oncology*Biology*Physics 7月号に掲載された。研究者らは、治療を受けた年齢、治療の時期に存在した未熟卵の数、被爆した放射線用量を考慮に入れ、患者の卵巣機能障害が発症する年齢を予測する計算式を作成した。今回のモデルは基礎医学情報に基づいたものであるが、妊娠やホルモン補充療法のタイミング、および骨密度評価を説明する際に医師らのガイドになると考えられ、また、この表はより有効な予測因子でもある。

日光暴露により前立腺組織内のビタミンD活性が上昇することから前立腺がんのリスクが減少する可能性がある [2005-08-02] 
Increased exposure to sunlight may decrease risk for prostate cancer through increased vitamin D activity in prostatic tissue
日光暴露により前立腺組織内のビタミンD活性が上昇することから前立腺がんのリスクが減少する可能性がある、とCancer Research 6月15日号に掲載された。米国の研究者らは進行前立腺がんの白人と対照の健常人455人を比較した。日光暴露の程度は屋外行動歴および腋の下と前額部の皮膚の色素沈着をポータブル反射率計で比較した。前額部と腋の下の色を比較したところ、コントロール群の色はがん患者の色と比較して有意に黒かった。日光暴露量の多い者は少ない者と比較し前立腺がんのリスクが半分であった。さらに、ビタミンD受容体の、ある遺伝子型を有する者はリスクが65%も低かった。今回と同じ研究グループが行った過去の研究では、前立腺が前立腺細胞の正常な成長を促しがん細胞の浸潤や転移を阻害するのにビタミンDを使用することを示していた。
 
 

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