2003年版TNM(2003 Tumor-Node-Metastasis)分類から、術前化学療法を受けた局所進行乳がん患者の再発および生存率が予測できる、と
Journal of the National Cancer Institute 8月3日号に掲載された。研究者らは1998年版TNM分類上、臨床stage
IIまたはstage IIIで1992〜2000年の術前化学療法トライアルで治療を受けた患者132人のデータを評価した。2003年版の分類を用いて外科的病理学的stage分類を行い5年間の予後を解析した結果、改訂版TNM分類は遠隔無病生存期間(distant
disease-free survival)および全生存期間と強く関連していた。術前化学療法後の残存high
stageの腫瘍は統計学的に無病生存期間の低さと関連していた。研究者らは、改訂版の分類により予後予測能力が改善したのは、単なるリンパ節転移の有無ではなくその拡がりの程度を評価したことによると考えている。
良性乳房疾患の女性は乳がんのリスクが高く、ある種の良性疾患は近い時期の乳がんの発症を予測する可能性がある、とNew
England Journal of Medicine7月21日号に掲載された。ある米国の1施設において、1991年12月までの25年間に18〜85歳の女性計9,087人の良性乳房病変の生検を行った。結果を知らない一人の病理医が全ての組織標本を判読し、非増殖型、増殖型、および非典型疾患に分類した。非増殖型で乳がんの家族歴のない者は乳がんのリスクは高くなかった。しかし、増殖型および非典型疾患では乳がんの家族歴がなくとも将来乳がんが発症する確率が高かった。
日光暴露により前立腺組織内のビタミンD活性が上昇することから前立腺がんのリスクが減少する可能性がある、とCancer Research 6月15日号に掲載された。米国の研究者らは進行前立腺がんの白人と対照の健常人455人を比較した。日光暴露の程度は屋外行動歴および腋の下と前額部の皮膚の色素沈着をポータブル反射率計で比較した。前額部と腋の下の色を比較したところ、コントロール群の色はがん患者の色と比較して有意に黒かった。日光暴露量の多い者は少ない者と比較し前立腺がんのリスクが半分であった。さらに、ビタミンD受容体の、ある遺伝子型を有する者はリスクが65%も低かった。今回と同じ研究グループが行った過去の研究では、前立腺が前立腺細胞の正常な成長を促しがん細胞の浸潤や転移を阻害するのにビタミンDを使用することを示していた。