一般人口における大腸がんのスクリーニングとしてのS状結腸鏡の米国ベンチマークデータが確立された [2005-07-26]  
US benchmark data are established for use of flexible sigmoidoscopy as a screening tool for colorectal cancer in the general population

早期大腸ガン検索の新たなデータにより、S状結腸鏡がスクリーニングの方法として大規模に使用されるためのベンチマークが示された、とJournal of the National Cancer Institute 7月6日号に掲載された。1993年11月から2001年7月までの間に、前立腺がん、肺がん、大腸がん、および卵巣がんの既往のない55〜74歳の成人154,942人が、がんスクリーニング研究に登録された。対象者はコントロール群またはS状結腸鏡検査を受ける介入群に無作為に割り付けられた。介入群患者のうち、83.5%(64,658人)が初回の検査を受けることに同意した。スクリーニングを受けた患者のうち23.4%(15,150人)が少なくとも一つのポリープまたは腫瘤を有しており、これらのうち74.2%がフォローアップの下部消化管内視鏡検査を受けた。研究の結果から、女性は男性よりもスクリーニングを辞退する傾向にあることが示された(19.2%対13.8%)。がんは、スクリーニングを受けた者1,000人当たり2.9人の割合で発見された。

低用量アスピリンおよびビタミンEは女性のがん予防には有効性が認められない [2005-07-26] 
Neither low-dose aspirin nor vitamin E have a benefit among women for prevention of cancer
US Women’s Health Studyのデータによると、低用量アスピリンおよびビタミンEによるがんの予防の有効性は認められない、とJournal of the American Medical Association 7月6日号に掲載された。アスピリンに関しては、39,876人の女性を一日おき100mgのアスピリン投与または無投与群に、ビタミンEに関しては一日おきに600IU投与または無投与に無作為に割り付けた。その結果、アスピリンはすべてのがん、あるいはいずれの単独がん発症にも影響を与えなかった。肺がんに関しては、有意ではないリスク軽減効果(22%低下)の傾向が認められた。肺がん死(30%リスク低下)以外の、がん全体または局所がんによる死亡の軽減効果も認められなかった。ビタミンEに関しても何の効果も認められなかった。これらの論文を評価した論評者は、これらの物質の女性に対する有効性は確認できなかったが(アスピリンと肺がんの予防の可能性に関しては、さらなるデータが必要なのを除き)、しかし、がんの化学的予防効果に関しての研究は継続すべきであると主張している。
慢性的な低用量の電離放射線被爆によりがんのリスクが軽度上昇する [2005-07-19] 
Chronic low-dose exposure to ionizing radiation is associated with a small increase in risk for cancer
核関連の工場での仕事のような慢性的な低用量の被爆により、がんのリスクが軽度上昇するとの大規模研究の結果がBritish Medical Journal オンライン版6月29日号に掲載された。15ヵ国の研究者らは、薬品、産業廃棄物処理、発電所などで過去に勤務したか現在勤務している者407,000人余りの記録を解析した(平均追跡期間13年)。白血病以外のがんによる死亡および慢性リンパ性白血病以外の白血病による死亡の、被爆レベルあたりの推定リスクを計算した。他の因子で補正した結果、対象者のがん死の1〜2%は被爆によるものと考えられた。この研究結果に基づく単回および積算の推奨被爆量は、既存の防護水準と一致する。
細胞内蛋白処理の2つの異なる経路をブロックする新薬の薬剤耐性多発性骨髄腫の培養細胞に対する効果は有望である [2005-07-19] 
Novel drug that blocks two different pathways of protein disposal within cells shows promise against drug-resistant multiple myeloma cells in culture
細胞内のプロテアソームおよびアグレソーム蛋白処理系を両方ともブロックする新薬の薬剤耐性多発性骨髄腫の培養細胞に対する効果は非常に有望である、とProceedings of the National Academy of Sciences 6月14日号に掲載された。わずか2年前に米国で認可されたばかりの新薬bortezomibは、プロテアソームの機能をブロックする初めての薬剤である。この新薬は、実際はbortezomibとtubacinと呼ばれる予備の蛋白処理系をブロックする薬剤(アグレソーム)の合剤である。骨髄から得た薬剤耐性細胞に対する新薬の有効性がどちらか一方のみを使用した場合の2倍以上有効であったとのin vitroの結果に基づき、臨床試験が計画されている。
健常男性から得られた新たなデータによると、一回の前立腺特異抗原測定値からでは高感度および高特異度で前立腺がんを診断することは不可能である [2005-07-12]  
New data with healthy men indicate there is no one prostate specific antigen level with high sensitivity and high specificity for prostate cancer

健常男性から得られた新たなデータによると、一回の前立腺特異抗原(PSA)測定で高感度および高特異度で健常者をモニタリングする測定値は存在しない、とJournal of the American Medical Association 7月6日号に掲載された。ベースライン時のPSAレベルが3.0 ng/mL以下で、直腸指診で異常を指摘されなかった55歳以上の健常男性約900人を7年間追跡調査した。採血または直腸指診のいずれかで異常を指摘された場合には、生検が勧められた。スタディ終了時点ではがんを有さないすべての人々に生検が勧められた。また、採血または直腸指診を同年に施行された8,575人の解析も行われた:そのうち5,587人(65.2%)が生検を施行され、1,225人(21.9%)が前立腺がんと診断された。PSAカットオフ値を1.1、2.1、3.1、および4.1とした際の感度は、それぞれ83.4%、52.6%、32.2%、および20.5%であり、特異度はそれぞれ38.9%、72.5%、86.7%、および93.8%であった。PSA値上昇に伴う連続的なリスクの上昇および前立腺がんの多様な生物学的動態を踏まえ、予後と相関のあるマーカーを探す研究の必要性を筆者らは主張している。

肺機能検査における一秒率を喫煙歴で補正した値により肺がんのリスク上昇を予測できる [2005-07-12] 
A reduced forced expiratory volume in one second adjusted for smoking history predicts increased risk for lung cancer
喫煙歴で補正した大規模な地域集団ベースの前向き研究における再調査の結果、肺機能検査の一秒率が中等度減少していても肺がんのリスクが上昇することが示された、とThorax誌7月号に掲載された。この研究では204,990人を解析し、そのうち6,185人が肺がんを有するかまたは肺がんで死亡した。参加者の平均年齢は42〜47歳であり追跡期間は9〜18年であった。男性においては、肺機能が最良の者と比較し肺機能が最低の者の肺がんリスクは2倍以上であり、女性においては4倍近くリスクが上昇した。正常範囲内と考えられる程度の軽度の肺機能低下であっても、特に女性においては肺がんのリスクは30〜60%上昇した。筆者らは、特に女 性のために肺がんのリスクを予測する正常範囲を定義する研究の必要性を強調している。
核磁気共鳴画像を用いた継続的な評価が乳がんの化学療法への反応および再発のリスクを判断する最良の方法である [2005-07-05]  
Serial assessments with magnetic resonance imaging may be best tool to assess response of breast cancer to chemotherapy and risk for recurrence

核磁気共鳴画像を用いた継続的な腫瘍容積の計測により乳がんの化学療法への反応や再発のリスクを正確に評価できる可能性がある、とAmerican Journal of Roentgenology 6月号に掲載された。米国人女性計58人のうち、ベースライン時の腫瘍容積が33 cm3であった者のうち93%がその後2年間無病であったのに対し、それより腫瘍が大きかった者のその割合は70%であった。さらに、化学療法後に腫瘍サイズが50%以上縮小した者の87%はその後2年間無病であったのに対し、腫瘍サイズの縮小レベルが50%未満の者ではその割合は64%であった。筆者らは、より大規模な研究を行い、さらに化学療法中の容積変化から治療法を速やかに変更することにより利益をこうむる患者を見極めることが可能かどうかを評価するべきであると強調している。

Bevacizumabを化学療法に追加することにより進行大腸がん患者のQOLが向上し生存期間が延長される [2005-07-05] 
Addition of bevacizumab to chemotherapy improves quality of life and prolongs survival of patients with advanced colorectal cancer
Bevacizumabを化学療法に追加することにより進行大腸がん患者のQOLが向上し生存期間が延長されるとの新たなデータが、第7回World Congress on Gastrointestinal Cancerで発表された。Phase III 臨床試験で未治療の大腸がん患者813人をイリノテカン/5フルオウラシル/ロイコボリンとプラセボを併用する群またはベバシツマブを併用する群に無作為に割り付けた。その結果、bevacizumabを追加することにより総生存期間および無進行生存期間の改善が認められ、QOLが障害されるまでの期間は両群間で差はなかった。Phase IIの研究では同様の患者209人を5フルオウラシル/ロイコボリンとプラセボを併用する群またはbevacizumabを併用する群に無作為に割り付けた。この研究では、bevacizumab群患者に無進行生存期間およびQOLが障害されるまでの期間の有意な延長が認められた。
 


 

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