がん患者は深部静脈血栓症や肺塞栓のリスクが健常人と比較し7倍高い [2005-02-22] 
People with cancer have a seven-fold increase in risk for deep vein thrombosis and pulmonary embolism compared with healthy peers

がん患者は深部静脈血栓症や肺塞栓のリスクが健常人と比較し7倍高い、とJournal of the American Medical Association 2月9日号に掲載された。オランダの研究者らは血栓塞栓症を1回認めた18〜70歳の患者3,220人とコントロール2,131人(患者のドメスティックパートナー)を評価した。その結果、造血器腫瘍患者はリスクが28倍高く、次に肺がんおよび消化管のがん患者のリスクが高かった。静脈血栓のリスクは悪性腫瘍の診断から2〜3ヵ月以内が最高であり(53倍)、転移がある場合は局所病変のみの場合と比較しリスクが20倍高かった。ある種の変異を有する場合にも血栓塞栓症のリスクが上昇した。

ニガヨモギ抽出成分とトランスフェリンを結合させた薬剤は白血病細胞を選択的に死滅させるのに有望である [2005-02-22] 
Coupling of wormwood-derived compound with transferrin shows promise as a selective killer of leukemia cells
漢方薬とトランスフェリンを結合させた薬剤は抗白血病薬として有望である、とLife Sciences 1月28日号に掲載された。マラリアの治療薬として古代から現代にかけて使用されてきたニガヨモギ抽出成分アルテミシニンは、寄生虫の鉄蓄積能を阻害することにより殺傷する。今回の研究ではアルテミシニンをトランスフェリンと結合させた。白血病細胞表面にはトランスフェリン受容体が過剰発現しており、その結果、in vitroでこの新たな薬剤の非常に選択的な細胞毒性が認められ、白血病細胞殺傷能力は正常な白血球と比較し34,000倍高かった。アルテミシニンは細胞内に入ると大量のフリーラジカルを発生し、この化学反応により細胞を死滅させる。
合成細菌DNA配列と黒色腫抗原を結合させたワクチンはphase I臨床試験で有望な結果を得た [2005-02-15] 
Vaccine that combines a synthetic bacterial DNA sequence and melanoma antigen shows promise in phase I trial

商品化されている合成細菌DNA配列と黒色腫抗原を用いたワクチンはphase I臨床試験で有望な結果を得た、と Journal of Clinical Investigation 2月号に掲載された。細菌アジュバントと不完全フロインドアジュバントを黒色腫抗原Melan-A/MART-1から得られた合成ペプチドと結合させたこのワクチンは、Melan-A/MART-1抗原を表面に有する細胞を特別に認識するCD8+ T細胞を誘導した。今回の研究の対象となった8人全員にT細胞の反応が起こり、その反応の程度は、前回の研究で細菌配列を含まない不完全フロインドアジュバントを用いた黒色腫抗原を投与された患者より一桁高かった。この研究は国際Cancer Vaccine Collaborativeの研究プログラムで免疫療法研究の一項目に挙げられている。

ラドンはヨーロッパにおいて有意な肺がんの原因であり、喫煙者は最も影響を受けやすい [2005-02-15] 
Radon is a significant contributor to lung cancer in Europe and smokers are most vulnerable to its effects
住居区のラドンへの暴露はヨーロッパにおいて有意な肺がんの原因であり、喫煙者は最も影響を受けやすい、とBritish Medical Journal 1月29日号に掲載された。研究者らはヨーロッパの肺がん患者7,148人およびコントロール14,208人の過去と現在の住居のラドンレベルを計測した。研究者らはまた、非喫煙者における長期の間接喫煙の効果を含む詳細な喫煙歴を調査した。その結果、ヨーロッパにおけるラドンに起因する肺がん死は年間20,000例であり、肺がん死の9%、総がん死の2%を占めるとの結果を得た。肺がんのリスクはラドンへの暴露の程度に比例し増加した。ラドンは喫煙の影響を倍増するため、喫煙者ははるかに高リスクであった。
分子学的検査により乳がんの再発のリスクおよび化学療法による成功率を予測することが可能である [2005-02-08] 
Molecular test can predict risk for recurrence of breast cancer and odds of success with chemotherapy

分子学的検査により、エストロゲン依存性のリンパ節転移のない、全般的に低リスクの乳がん患者の再発リスクおよび化学療法による成功率を予測することが可能である、とNew England Journal of Medicine 12月30日号に掲載された。研究者らは、タモキシフェントライアルの対象者447人および志願者250人の遺伝子の固定組織標本を使用し、16の遺伝子パネルを開発した。最終的なリスクスコアは1から100に分類した。この検査のリスク評価に対する有効性に関しては、タモキシフェンの他のトライアルの対象となった668人の患者群において確認されている。リスクの低い患者群においては10年間の再発のリスクは6.8%であった。中等度、高リスクの患者群におけるその割合はそれぞれ14.3および30.5%であった。

腫瘍細胞間の蛋白輸送が化学療法に対する一時的な抵抗性をもたらし、その時間は一部の細胞にとっては抵抗性に関する遺伝子的な基盤が出現するのに十分な長さである可能性がある [2005-02-08] 
Transfer of protein among tumor cells may confer temporary resistance to chemotherapy long enough for some cells to develop genetic basis for resistance
Pグリコプロテインと呼ばれる蛋白の悪性細胞間の輸送により、化学療法反応細胞に長期の遺伝子的な薬剤耐性が出現するのに十分な長さの一時的な耐性をどのようにして獲得するのかが説明される可能性がある、とProceedings of the National Academy of Sciences オンライン版1月17日号に掲載された。米国の研究者らはin vitroおよびin vivo両方の実験でこの現象を確認し、この発見により腫瘍内の細胞間の情報伝達に対する新たな考え方が得られるであろうと確信を持っている。この検査は蛋白輸送に基づく一時的な抗がん療法に対する抵抗性は同定しないため、今回の結果は腫瘍検体の遺伝子解析的な含みがある。
注射用アルブミン結合パクリタキセルは米国で最初に臨床応用される第二世代タキサンとなる [2005-02-01] 
Injectable albumin-bound paclitaxel becomes the first second-generation taxane to enter clinical practice in the USA

Abraxane™(パクリタキセル−アルブミン結合粒子注射製剤)は初めての第二世代タキサンであり、タキサンに抵抗性の転移性乳がん患者に対し米国で認可され、蛋白結合ナノテクノロジー群薬剤では初めて臨床応用される。この新たな薬剤の登場により溶液の必要性が排除されたことで、過敏反応のリスクが軽減され前投薬や緩徐注入の必要性がなくなる。Phase III臨床試験でこの新たな薬剤による治療反応率は溶液を使用する薬剤の2倍であり、この差の原因の一部は、高用量の活性化パクリタキセルを到達させることができるためと考えられる。さらに、アルブミンにより薬剤が、がん細胞内に流入するのが促進される可能性もある。

前立腺がんに対する画像法を組み合わせた放射線治療計画は近傍の血管を避け勃起障害を回避するのに有用である可能性がある [2005-02-01] 
Radiation planning for prostate cancer that combines imaging modalities may be effective yet avoid nearby blood vessels and prevent erectile dysfunction
核磁気共鳴画像(MRI)およびコンピュータ断層撮影(CT)を組み合わせた前立腺がんに対する放射線治療計画は、より腫瘍を正確に標的とし、従って近傍の血管はより温存され勃起機能障害は回避できる、とInternational Journal of Radiation Oncology, Biology, Physics 1月号に掲載された。25人を対象としたパイロット研究において米国の研究者らは、MRIを用い前立腺底部から尿道球までの正確な距離(CT画像では計測不可)を計測し、この距離が0.5〜2.0cmであることを確認した。このさらなるデータにより、医師らが前立腺全体を照射するが近隣の血管や神経は照射しないような患者各々の治療計画を立てることが可能となる。彼らは、この新たな方法により、勃起障害のみでなく便や尿の失禁のリスクも軽減できるであろうと期待している。
 
 


 

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