がん患者は深部静脈血栓症や肺塞栓のリスクが健常人と比較し7倍高い、とJournal
of the American Medical Association 2月9日号に掲載された。オランダの研究者らは血栓塞栓症を1回認めた18〜70歳の患者3,220人とコントロール2,131人(患者のドメスティックパートナー)を評価した。その結果、造血器腫瘍患者はリスクが28倍高く、次に肺がんおよび消化管のがん患者のリスクが高かった。静脈血栓のリスクは悪性腫瘍の診断から2〜3ヵ月以内が最高であり(53倍)、転移がある場合は局所病変のみの場合と比較しリスクが20倍高かった。ある種の変異を有する場合にも血栓塞栓症のリスクが上昇した。
住居区のラドンへの暴露はヨーロッパにおいて有意な肺がんの原因であり、喫煙者は最も影響を受けやすい、とBritish
Medical Journal 1月29日号に掲載された。研究者らはヨーロッパの肺がん患者7,148人およびコントロール14,208人の過去と現在の住居のラドンレベルを計測した。研究者らはまた、非喫煙者における長期の間接喫煙の効果を含む詳細な喫煙歴を調査した。その結果、ヨーロッパにおけるラドンに起因する肺がん死は年間20,000例であり、肺がん死の9%、総がん死の2%を占めるとの結果を得た。肺がんのリスクはラドンへの暴露の程度に比例し増加した。ラドンは喫煙の影響を倍増するため、喫煙者ははるかに高リスクであった。
分子学的検査により、エストロゲン依存性のリンパ節転移のない、全般的に低リスクの乳がん患者の再発リスクおよび化学療法による成功率を予測することが可能である、とNew
England Journal of Medicine 12月30日号に掲載された。研究者らは、タモキシフェントライアルの対象者447人および志願者250人の遺伝子の固定組織標本を使用し、16の遺伝子パネルを開発した。最終的なリスクスコアは1から100に分類した。この検査のリスク評価に対する有効性に関しては、タモキシフェンの他のトライアルの対象となった668人の患者群において確認されている。リスクの低い患者群においては10年間の再発のリスクは6.8%であった。中等度、高リスクの患者群におけるその割合はそれぞれ14.3および30.5%であった。
Pグリコプロテインと呼ばれる蛋白の悪性細胞間の輸送により、化学療法反応細胞に長期の遺伝子的な薬剤耐性が出現するのに十分な長さの一時的な耐性をどのようにして獲得するのかが説明される可能性がある、とProceedings
of the National Academy of Sciences オンライン版1月17日号に掲載された。米国の研究者らはin
vitroおよびin vivo両方の実験でこの現象を確認し、この発見により腫瘍内の細胞間の情報伝達に対する新たな考え方が得られるであろうと確信を持っている。この検査は蛋白輸送に基づく一時的な抗がん療法に対する抵抗性は同定しないため、今回の結果は腫瘍検体の遺伝子解析的な含みがある。