American College of Cardiology と American Heart Associationが末梢性血管疾患の実践ガイドラインを初めて出版する [2005-12-27]

American College of Cardiology and American Heart Association release first practice guidelines for peripheral arterial disease
多くの医師グループにより現在実施されている最良の末梢性血管疾患治療の新たなガイドラインの基盤をAmerican College of Cardiology および American Heart Associationが共同で出版した。このプロジェクトの中心は、早期発見治療により機能障害を予防し生命を救うことができるという点に置かれている。このガイドラインには早期病変や腎動脈狭窄を疑わせる兆候を診断するための臨床上の手がかりなどが含まれている。動脈瘤は、手術やカテーテル治療を行うべき場合と注意深く経過観察をするのが最良の場合についても勧告が掲載されている。また、客観的にみた診断法や手術およびカテーテル治療の利点と欠点も掲載されている。このガイドラインでは運動、食事、禁煙、および薬物療法の役割を含めた治療法の選択に重点を置いている。さらに、このガイドラインには臨床上の治療方針決定のためのクリニカルパスウェイや治療アルゴリズムも記されている。

不整脈原性右室異形成症の危険因子の同定により若年アスリートの診断率が上昇し死亡が減少する可能性がある [2005-12-27]

Identification of risk factors for arrhythmogenic right ventricular dysplasia may increase diagnosis rate and decrease deaths among young athletes
若年アスリートの心臓突然死の主な原因である不整脈原性右室異形性症(ARVD)に関する新たな知見により、今後死亡率が低下する可能性があるとCirculationオンライン版12月12日号に掲載された。多くの人種からなるARVDの患者100人のデータが解析された:そのうち69人は生前に診断された。めまい、動悸、および意識消失は思春期の頃、すなわち早い時期に出現していた(診断時の平均年齢は31歳)。家族歴は主な危険因子であった。診断前に死亡した31人のうち8人は生前に兆候を示しており、そのうち5人は意識消失発作を起こしていた。心室内の脂肪や線維組織の病的沈着(正常組織との置き換わり)を確認するためには、心電図、心エコー、核磁気共鳴画像(MRI)、および組織生検が通常必要である。診断され除細動器を植え込まれた患者47人中29人は植え込み後2年間に少なくとも一回は除細動されていた。筆者らは、特に若年者の運動に関連した意識消失発作は注意深く評価する価値があると強調している。

心筋梗塞後30日間の脳卒中発症のリスクは一般人口におけるリスクの44倍である [2005-12-20]

Risk of stroke in the 30 days after a myocardial infarction is 44 times the risk level of stroke for the general population
心筋梗塞後の患者の発症から30日間の脳卒中のリスクは44倍高く、この脳卒中のリスクの高いレベルは少なくとも数年間持続するようである、とAnnals of Internal Medicine 12月6日号に掲載された。米国の研究者らはある大規模なメディカルセンターで1979〜1998年に治療を受けた心筋梗塞患者2,160人の医療記録を解析し、入院後患者が脳卒中発症かつ/または死亡したか否かを観察した。ほとんどの患者は約6年間追跡調査された。興味深いことに、心筋梗塞発症後30日間の脳卒中のリスクが44倍であること、および3年間のリスクが2〜3倍であることは、この研究が行われた20年間の間に大きな変化は認められなかった。筆者らは医師らに、初回心筋梗塞後には総合的な血管のリスクファクター像を考慮に入れ説明し、患者がそれに従い各々のリスクファクターを管理できるよう援助する必要があると述べている。

ヘパリンに抗体をもっている患者は心臓手術後の死亡または重篤な合併症のリスクが2倍近く高い [2005-12-20]

Patients with antibodies to heparin have nearly double the risk for death or serious complication following heart surgery
ヘパリンに抗体をもっている患者は心臓手術後の死亡または重篤な合併症のリスクが2倍近く高い、とJournal of Thoracic and Cardiovascular Surgery 12月号に掲載された。米国の研究者らは、ある2つの大規模なメディカルセンターで冠動脈バイパス術または弁置換術を施行される予定の患者466人に対しParsonnetリスクスコアを評価し、またヘパリンの抗体を検査した。リスクスコアに関わらず、抗体陽性の患者は死亡や入院期間が10日以上長いリスクが2倍近く高かった。入院滞在期間延長はつまり心筋梗塞、脳卒中、感染、腎障害などの合併症を現わしている。研究者らは、ヘパリン抗体を有する患者においてはヘパリンを用いることにより血液凝固や炎症を引き起こす血液成分を活性化し、心筋梗塞、不整脈,脳卒中、およびその他の合併症のリスクを増大させるものとの仮説を立てている。

SYNERGYトライアルの結果、虚血性心疾患イベント再発のリスクの高い患者におけるenoxaparinおよび未分画ヘパリン投与の予後に対する効果は同等であることが示された [2005-12-13]

SYNERGY trial shows patients at high risk for recurrent ischemic cardiac events have comparable outcomes with enoxaparin or unfractionated heparin
非ST上昇急性冠症候群に対し早期の血行再建術を施行され、入院中にenoxaparinまたは未分画ヘパリンを使用されたハイリスク患者の1年後の予後は同等である、とJournal of the American Medical Association 11月23日号に掲載された。Enoxaparin、血行再建、糖タンパクIIb/IIIa阻害薬を用いた新たな治療戦略の利点(Superior Yield of the New Strategy of Enoxaparin, Revascularization, and Glycoprotein IIb/IIIa Inhibitors :SYNERGY)トライアルでは9,978人の患者を対象とした。開始後6ヵ月間に541人(5.4%)が、1年間に739人(7.4%)が死亡した。6ヵ月間の死亡または非致死性心筋梗塞は、enoxaparin投与患者のうち872人(17.6%)、未分画ヘパリン投与患者のうち884人(17.8%)に認められた。180日間の再入院はenoxaparin投与患者の858人(17.9%)に、未分画ヘパリン投与患者の911人(19.0%)に認められた。1年後の総死亡率は二つの治療群間で差はなかった。

未熟児で生まれた若年男性は高血圧のリスクが高く、その高血圧の程度は出産時の早産の程度による [2005-12-13]

Young men who were born prematurely may be at a higher risk for hypertension that is proportionate to the degree of prematurity at birth
未熟児で生まれた若年男性は高血圧のリスクが高いようである、とのスウェーデンのスタディ結果がCirculation 11月22日号に掲載された。1973〜1981年に生まれた男性計329,495人が1993〜2001年に徴兵され、その際に血圧測定が行われた。満期産の者と比較し極端に早期産(29週未満)の男性は収縮期高血圧のリスクが約2倍であり、非常に早期産(29〜32週)の者は収縮期高血圧のリスクが45%増加し、中等度早期産(33〜36週)の者はそのリスクが24%増加した。筆者らは、早期産による身体的ストレスがこの有意な早期発症の高血圧の原因であるとの仮説を立てている。彼らは、他の民族や人種においてもこの結果が当てはまるかどうかをさらに研究する必要があると強調している。

Rimonabantは脂質代謝異常を有する過剰体重または肥満の患者の心血管および代謝リスクファクターを広範囲にわたり改善する [2005-12-06]

Rimonabant improves a wide variety of cardiovascular and metabolic risk factors in overweight or obese patients with abnormal blood lipid profiles
New England Journal of Medicine 11月17日号に掲載されたphase III RIO-Lipidsトライアルのデータによると、rimonabantは脂質代謝異常を有する過剰体重または肥満の患者の様々な心血管および代謝リスクファクターを改善するとのことである。その効果には、ウエスト周囲径や体重の減少、耐糖能改善、降圧に加え、中性脂肪レベルの低下、HDLコレステロールの増加などが含まれた。さらに、10%以上の体重減少を示したのはrimonabant投与患者の32.6%であったのに対し、プラセボ投与患者におけるその割合は7.2%であった。ベースラインの時点でメタボリックシンドロームの診断基準に当てはまった患者はrimonabant群の52.9%、プラセボ群の51.9%であった。スタディ終了時(1年後)、この割合はリモナバント群では25.8%であり、プラセボ群では41%であった。

American Heart Associationの緊急処置の新たなガイドラインでは心肺蘇生法に関して心臓マッサージ(胸部圧迫)に重点を置くように改定された [2005-12-06]

New American Heart Association emergency care guidelines include changes to cardiopulmonary resuscitation with an emphasis on chest compressions
Circulationオンライン版11月24日号に掲載された、心肺蘇生および緊急心血管処置の2005年版 American Heart Association (AHA)ガイドラインでは、心肺蘇生法に関して心臓マッサージ(胸部圧迫)をより有効にさせることに重点を置き改定された。このガイドラインは International Liaison Committee on Resuscitationが発行した文書である、「Consensus on Science and Treatment Recommendations(科学および治療勧告における総意)」に基づいたものである。心肺蘇生法の最も有意な改定は、新生児を除き全ての患者に対し、人工呼吸に対する胸部圧迫の割合を胸部圧迫15回に対し呼吸2回から胸部圧迫30回に対し呼吸2回に変更したことである。この変更は、1セット間の胸部圧迫1回ごとに循環血液を増加させ、心臓マッサージ中断後の循環血液を維持しなくてはならないとのいくつかの研究の結果から導き出された。
 


 
 

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