AHA2005 特集(11月22日、29日)  (AHA2005)
  非ステロイド系抗炎症薬のリスク (AHA2005)
  日帰りステント留置術 (AHA2005)
  2型糖尿病と心血管死亡率
  シルデナフィルの心臓に対する有益性

11月22日、29日のDOLNewsは、AHA特集のため、こちらをご覧ください。
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心筋梗塞後患者に対するアスピリン以外の非ステロイド系抗炎症薬使用は用量依存的死亡のリスクを増加させる [2005-11-15]

Use of a nonsteroidal anti-inflammatory drug other than aspirin after myocardial infarction increases risk for death in dose-dependent fashion
心筋梗塞後患者に対するシクロオキシゲナーゼ2阻害薬を含むアスピリン以外の非ステロイド系抗炎症薬使用、特に高用量の使用は用量依存的死亡のリスクを増加させる、と2005年AHA学会で発表された。デンマークの研究者らは1995〜2002年に退院した心筋梗塞患者58,432人の記録を調査した。退院後、41%の患者がジクロフェナク、イブプロフェン、または非特異的なこの類の薬剤投与を受けていた。10%あまりがrofecoxib またはcelecoxibを投与されていた。アスピリンの使用に関しての分析は行われなかった。非ステロイド系抗炎症薬を内服している者としていない者とでは、心筋梗塞の再発の頻度に差はなかった。しかし、これらの薬剤の使用により総死亡率の明らかな上昇が認められた。つまり、rofecoxibを25mg/day以上内服しているとハザード比は5.03、celecoxib 200mg/day以上で4.24、ジクロフェナク 100mg/day以上で3.76、イブプロフェン 1,200mg/day以上で1.96であった。低容量のcelecoxib (1.70)およびrofecoxib (2.23)でも有意に死亡のリスクは上昇したが、イブプロフェン (0.66)またはジクロフェナク(0.74)は低用量では影響がみられなかった。

EASYトライアルのデータによると経橈骨動脈的血管形成術およびステント留置術は、1ショットの抗血小板薬投与を行い、日帰り手術で施行可能であるとAHA学会で発表された [2005-11-15]

EASY trial data indicate that angioplasty plus stenting via the radial artery can be done as a day procedure
EArly Discharge after Trans-radial Stenting of CoronarY arteries(経橈骨動脈冠動脈内ステント留置後早期退院)トライアルでは、1ショットのabciximabを投与する群(その後4〜6時間で退院)とabciximabの初期投与後に静脈内点滴投与を12時間行う群(翌日退院)を比較した。30日複合一次エンドポイントには死亡、心筋梗塞、緊急血行再建術、重大出血、穿刺部位の合併症、および重症血小板減少症が含まれた。あらかじめ定義してあった合併症のために点滴投与群に移動した患者を考慮に入れて補正した結果、有害事象発症率は1ショット投与群で13.5% 、点滴群で10.2%であった。この差は30日後および6ヵ月後において統計学的に有意ではなかった。患者の追跡調査は現在進行中である。

新たなデータによると2型糖尿病治療薬muraglitazarは重大な心血管事故および死亡のリスクを上昇させるようである [2005-11-08]

New data review shows that type 2 diabetes medication muraglitazar appears to increase risk for major adverse cardiovascular events and death
米国ではまだ認可されていない2型糖尿病治療薬muraglitazarは重大な心血管事故および死亡のリスクを上昇させるようである、とJournal of the American Medical Association 10月20日号に掲載された。米国食品医薬品局(FDA)に提供された外部のデータ解析(24〜104週間にわたる5トライアル、用量は 5mg/day以下)の結果、死亡、心筋梗塞、および脳卒中はmuraglitazar 内服患者2,374人中35人(1.47%)に発症し、一方、プラセボまたはピオグリタゾン内服群を合わせた群では1,351人中9人(0.67%)であった。複合エンドポイントに関してはmuraglitazar内服による相対リスクは2.23であった。この結果は心血管エンドポイントの範囲を拡大しても狭めても同様であった。特記すべきことに、患者は比較的若年であった(平均年齢55歳以下)。筆者らは、特に薬剤の心血管リスクを考慮に入れた臨床試験が必要であると述べている。

シルデナフィルは心収縮のβ刺激軽減により心臓に有益をもたらす可能性がある [2005-11-08]

Sildenafil may have a significant cardiac benefit through reduction of beta-adrenergic stimulation of myocardial contractility
シルデナフィルは末梢血管に対する効果のみが考えられていたが、心収縮に対するβ刺激軽減効果を介して心臓に直接的な有益をもたらす可能性がある、とCirculationオンライン版10月24日号に掲載された。健康な男女計35人(平均年齢30歳)にドブタミン注射を2回行った。彼らは2回の注射の間にシルデナフィルまたはプラセボを内服する群に無作為に割り付けられた。初回の注射後、心収縮力は両群ともに150%増大した。プラセボ群においてはこの増加は2回目の注射後にも同様の増加が認められた。しかし、シルデナフィルを投与された群においてはこの増加は半分に抑えられ、結果として血流量および血圧の増加が有意に少なかった。シルデナフィル群では2回の注射の間に心機能には変化がなく、安静時の心臓に副作用を及ぼさないことが示された。
 
 
 

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