心不全の新たなガイドラインは早期診断と使用可能薬剤をすべて使用することに焦点を当てている [2005-08-30]

New guidelines for heart failure focus on early diagnosis and use of full range of available treatments
American College of Cardiology および American Heart Associationがオンラインで公表した心不全治療の新たなガイドラインでは、早期診断と使用可能薬剤、特にいくつかの新たに開発された治療法、をすべて使用することに焦点を当てている。この拡大された心不全のガイドラインでは“うっ血性”という文字の使用を中止した。この言葉は心駆出率が正常だが拡張障害を有する患者に適用されないからである。さらに心不全は、無症状だが治療の必要なリスクファクターを有し難治性の疾患を有する者から、移植が不可能であればホスピスケアを受けるべき患者までの4つのステージに分類された。増加している患者に対する長期または永続的な他の治療法としては、左室補助装置や植込み型除細動器が含まれている。

術後心房細動の管理および予防に焦点を当てたエビデンスに基づく初のガイドラインが出版された [2005-08-30]

The first evidence-based guidelines for postoperative atrial fibrillation are published with a focus on prevention as well as management of the dysrhythmia
心臓手術後の心房細動の予防および管理に焦点を当てたエビデンスに基づく初のガイドラインがCHEST 8月号に掲載された。胸部心臓外科、循環器科、麻酔科、および疫学の専門家からなる研究班が無作為コントロール試験を再検討した。ガイドラインの勧告の中心は、予防、心拍コントロール、同調律への回帰、抗凝固療法に関する議論を含む血栓塞栓症の予防に置かれた。全体としてガイドラインでは術後心房細動の予防および心拍コントロールにはカルシウム拮抗薬よりもベータブロッカーを使用することを勧めている。ベータブロッカーが使用できない患者の同調律維持にはアミオダロンも考慮される。心臓手術後の心房ペーシング(特に単心房でなく両心房ペーシング)は心房細動の発生を減少させることが示されている。

バルサルタンは急性心筋梗塞後の低左心機能患者の心血管死を減少させる [2005-08-23]

Valsartan reduces risk for cardiovascular death in patients with poor left ventricular function after myocardial infarction
アンジオテンシン受容体拮抗薬バルサルタンは急性心筋梗塞後の低左心機能患者の心血管死を減少させるための使用を米国で承認された。この新たな承認は主に、心筋梗塞後死亡のハイリスクの患者14,703人に対し、バルサルタンとカプトプリル、および両者併用の効果を比較した国際研究VALIANT (VALsartan In Acute myocardial iNfarcTion)trialの結果に基づいている。VALIANT trialにおいてバルサルタンは心血管疾患死亡率を減少させ、再梗塞や心不全による入院を減少させた。しかし、治療群間の総死亡率に差はなかった。

臨床的に健康なメタボリックシンドロームの成人は彼らよりはるかに高齢の者と同様の潜在性動脈硬化の徴候を示す [2005-08-23]

Clinically healthy young adults with metabolic syndrome show signs of subclinical atherosclerosis associated with much older people
臨床的に健康なメタボリックシンドロームの成人は彼らよりはるかに高齢の人々に典型的な潜在性の動脈硬化の徴候を示す、と Journal of the American College of Cardiology 8月2日号に掲載された。研究者らは、ある地域の健常な白人およびアフリカ系米国人の小児および成人を追跡調査した長期心臓病態研究に参加した米国の若年成人(20〜38歳、平均年齢32歳)507人を調査した。全員の頸動脈中内膜壁厚が超音波を使用し計測された。頸動脈壁厚が最も厚かった者は年齢、性別、人種、喫煙歴に関係なくメタボリックシンドロームを有する確率が2〜3倍高かった。筆者らは医師らに、若年者にも中年まで待つことなく心血管疾患リスク階層化を考慮し、リスクファクターのコントロールをするよう主張している。

スタチンは拡張不全患者の生存率を改善させる可能性がある [2005-08-09]

Statin therapy may improve survival in patients with diastolic heart failure

スタチン療法は拡張不全患者の生存率を改善する可能性がある、とCirculation 7月19日号に掲載された。ある主要な医療機関で治療された拡張不全患者137人の3年間の経過をレトロスペクティブに解析した結果、スタチンを内服していた患者はスタチンを内服せず、ACE阻害薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬などを内服していた患者と比較し生存率が22%低かった。高血圧や他の心血管疾患などの交絡因子で補正後も、スタチンで治療された患者の方が生存率が良好であった。これらの人々におけるこのスタチンの効果を確認する無作為前向きトライアルが必要であるが、筆者らは医師らに、高リスクの患者にはスタチン療法を考慮すべきであると主張している。

ヘリコバクターピロリと心房細動 [2005-08-09]

Helicobacter pylori infection may be related to development of atrial fibrillation

ヘリコバクターピロリ感染が心房細動発症に関係している可能性がある、とHeart 7月号に掲載された。英国の研究者らは他に基礎心疾患を有さない心房細動患者59人と年齢の一致した脂質プロファイルの類似した健常ボランティア45人を評価した。心房細動群には明らかに高血圧患者が多かった。対象者は全員心電図およびC反応性蛋白(CRP)の測定を受けた。また、ヘリコバクターピロリ保菌の有無を直接検査した。心房細動患者は健常ボランティアと比較し、ヘリコバクターピロリを保有している確率が約20倍高く、また彼らのCRPレベルは約5倍高かった。筆者らは、ヘリコバクターピロリ感染による慢性胃炎により心房細動が発症しやすい可能性がある、と述べている。

NOTCH1遺伝子の変異が先天性および後天性の心疾患の原因となる大動脈弁形成過程での欠陥に関連している [2005-08-02]

Mutation in the NOTCH1 gene is tied to developmental flaws in formation of the aortic valve leading to both congenital and adult heart disease

重症大動脈弁疾患に罹患した2家族のDNA解析の結果、同じ遺伝子NOTCH1上の異なる変異が示され、この遺伝子が大動脈弁の発生の過程できわめて重要な役割を果たしていることが示唆された、とNatureオンライン版に掲載された。米国の研究者らは一つ目の家族11人のDNAをスキャンした。この家族には重度の大動脈弁狭窄症の小児から大動脈弁置換を必要とする重度の石灰化を有する50〜60歳代までが存在した。何らかの大動脈弁疾患の徴候のある者はすべてNOTCH1の変異を有していた。二つ目の家族は軽症であったが、同じ遺伝子に異なった変異を有し、この結果から研究者らはNOTCH1が弁形成の要の遺伝子であると確信した。筆者らは、この変異が二尖弁形成の唯一の原因ではないかもしれないが早期発症の重度石灰化の原因となっている可能性があると考えている。家族歴のある小児の早期のスクリーニングにより、有意な石灰化の発生を遅らせる方法が導かれる可能性がある。

初期段階の腹部大動脈瘤形成に関連した炎症過程において好中球が重要な役割を果たしているようである [2005-08-02]

Neutrophils appear to play a key role in the inflammation associated with early-stage development of abdominal aortic aneurysms

初期段階の腹部大動脈瘤形成に関連した炎症過程において好中球が重要な役割を果たしているようである、とCirculation 7月12日号に掲載された。2種類の改変されたげっ歯類(一時的に循環する好中球を除去されたマウスと好中球の血管組織への接着に必要な蛋白を欠損させたラット)を、腹部大動脈を損傷する物質エラスターゼで処理した。改変された動物すべてがごく軽度の動脈瘤の徴候を示したか全く徴候が見られなかったのに対し、通常の動物には2倍または4倍もの大きさの大動脈瘤が形成された。論評者は、このような大動脈瘤は,特に高齢者においては論議のされない問題であり、この新たな発見により遺伝子学的なリスクや高血圧および喫煙のリスクを有する人々の動脈瘤発症を遅延させる方法が導かれる可能性がある、と述べている。

 
 

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