冠動脈疾患患者に対する心筋内血管内皮細胞増殖因子遺伝子投与の効果を観察した初めての無作為プラセボコントロールトライアルの結果、血流に有意な改善はないが心機能の改善が認められたとthe
Journal of the American College of Cardiology 4月5日号に掲載された。このスカンジナビアのトライアルでは、血行再建術では治療効果の望めない患者80人が対象とされた。半数の患者は遺伝子を含有したプラスミドを関心虚血領域に注射され、残りの半数は遺伝子を含有しないプラスミドを注射された。遺伝子を注入された患者の注射領域の壁運動を2種類の独立した方法により評価したところ、プラセボと比較し有意な改善が認められた。治療開始前に、患者は遺伝子治療により増悪する可能性のある腫瘍に関してスクリーニングを受けた。また、両群ともに動脈硬化の進行は認められなかった。この研究に対するコメントには、この小規模研究の結果は治療の標的としての心筋微小血管系の研究をさらに発展させるのに値すると述べられている。
高齢の男女においては内臓脂肪によりメタボリックシンドロームのリスクが増大する、とArchives
of Internal Medicine 4月11日号に掲載された。米国の研究者らは70〜79歳の高齢者3,035人の脂肪分布(CTを用いて)およびメタボリックシンドロームの有無を評価した。男女とも体重(標準、過剰体重または肥満)には関係なく、内臓脂肪とメタボリックシンドロームに関連が認められた。腹部の皮下脂肪がメタボリックシンドロームの予測因子と考えられたのは、標準体重の男性においてのみであった。筋間脂肪は、標準および過剰体重の男性における予測因子であった。筆者らは、高齢者においては体重が標準であることを理由にメタボリックシンドロームの可能性を否定しないよう呼びかけている。
安定狭心症の患者において有酸素運動およびストレス解消は、うつおよび感情的な苦痛を軽減し心血管リスク指標を改善する、とJournal
of the American Medical Association 4月6日号に掲載された。運動誘発性狭心症を有する患者計134人(男性92人、女性42人、40〜84歳)は、通常の治療、通常の治療に監視下有酸素運動を組み合わせたもの、および通常の治療にストレス解消トレーニングを組み合わせたもののいずれかを受けた。その結果、行動療法(運動またはストレス解消)群の患者においては通常の治療のみを受けた患者と比較し、平均うつ病スコアがより低下し苦痛スコアが低かった。さらに、両行動療法群の患者は、精神的ストレステストに伴う左室駆出率の低下が小さく、運動中の壁運動異常のレベルが低く、心拍変動が良好であった。筆者らは、通常の臨床的な指標を評価する大規模な研究が必要であると主張している。
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American
Heart Associationは、シクロオキシゲナーゼ2阻害薬は、リスクの低い薬剤の使用が不可能な場合や無効な場合に、可能な限り短期間使用するよう提唱している [2005-04-12]
American Heart Associationは、選択的シクロオキシゲナーゼ2阻害薬は非ステロイド性抗炎症薬などの低リスクの薬剤の使用が不可能な場合や無効な場合に使用すべきであるとの米国政府の提案を支持している、とCirculation
3月22日号に掲載された。学会はシクロオキシゲナーゼ2阻害薬が心血管リスクを増大させたとの報告を受けて、薬剤は、特に長期投与が予測される場合には既知のリスクが低いものから使用し、リスクの高い薬剤は他の薬剤が無効な場合に、可能な限り低用量で短期間の使用にすべきである、との一般的な原則を支持している。
従来のリスクファクターを有さない閉経後女性においては白血球数が心血管疾患および死亡のリスクを予測する可能性がある、とArchives
of Internal Medicine 3月14日号に掲載された。米国の研究者らはWomen's Health
Initiative Observational Studyの対象となった、ベースライン時に心血管疾患およびがんを有さない50〜79歳の女性72,242人のデータを解析した。6年間の追跡期間の後、白血球数が上位から4分の1に含まれるものは下位から4分の1に含まれるものと比較し冠動脈疾患死のリスクが2倍であった。また、これらの群は非致死的心筋梗塞のリスクが40%、脳卒中のリスクが46%、総死亡リスクが50%高かった。C反応性蛋白(CRP)
で補正した多変量解析モデルにおいても、白血球数はCRPレベルに匹敵する独立した冠動脈疾患リスク予測因子であった。